ジャズドラマー猪俣猛の名盤レコード5選|アナログで味わう技巧と名演

猪俣猛とは?レコードで楽しむジャズドラマーの巨匠

猪俣猛(いのまた たけし)は、日本のジャズドラマー界を代表する名手の一人であり、その多彩な演奏技術と繊細かつ力強いドラミングで多くのファンを魅了してきました。1950年代から活動を開始し、多数のセッションやバンドで重要な役割を担い、日本のジャズシーンの発展に大きく貢献しました。

猪俣猛の演奏はレコードで味わうのが最も魅力的です。アナログレコードならではの温かみのある音質とダイナミックな音の広がりが、彼のドラミングの微妙なニュアンスをよりリアルに体感させてくれます。ここでは、猪俣猛のおすすめレコードを中心に、その魅力や聞きどころについて解説していきます。

猪俣猛おすすめレコード一覧

  • 1. 猪俣猛カルテット – 『Very Bird』 (Victor, 1968)
  • 2. 荒木一郎 with 猪俣猛 – 『Jazzy Ver.』 (Toshiba, 1970)
  • 3. 猪俣猛 & バーンスタイン – 『Jazz Session』 (King Records, 1975)
  • 4. 猪俣猛トリオ – 『Drum Talk』 (East Wind, 1973)
  • 5. 猪俣猛 & 佐藤允彦 – 『Tokyo Jazz Night』 (Denon, 1971)

1. 猪俣猛カルテット – 『Very Bird』 (Victor, 1968)

『Very Bird』は猪俣猛がリーダーを務めた代表作の一つで、ヴィクターから発売されたLPレコードです。ハードバップを基調としながらも、猪俣独自の繊細でありながらタイトなリズム感が随所に光る作品です。レコードのカッティングも非常に良好で、ドラムのスネアやライドシンバルの響きが温かく、アナログならではの迫力を味わえます。

このアルバムは入手困難なプレミアムですが、市場に出回ることがあるため中古レコード店やオークションでのチェックがオススメです。お探しの際は盤質に注意し、針飛びのない良好なコンディションのものを選んでください。

2. 荒木一郎 with 猪俣猛 – 『Jazzy Ver.』 (Toshiba, 1970)

荒木一郎はロック・ポップスの歌手として知られていますが、この『Jazzy Ver.』は猪俣猛が参加し、ジャズ寄りのアレンジを加えた珍しい一枚です。猪俣のドラミングはシンプルながらもメロディアスな展開をサポートし、他の楽器との絡みも見事です。

レコードの音質はオリジナルプレスが良好で、極端な音圧コンプレッションもかかっていないため、ダイナミックレンジの広い音を楽しめます。アナログで聴くことで、猪俣猛の微妙なブラシワークのニュアンスが味わえ、CDやデジタル配信とは一味違う体験になります。

3. 猪俣猛 & バーンスタイン – 『Jazz Session』 (King Records, 1975)

ジャズキーボーディスト、バーンスタインとの共演によるこの『Jazz Session』は、猪俣猛のフレキシブルで創造的なドラミングが冴えわたる名盤です。ライブ感あふれる録音で、レコード盤を通して演奏の呼吸感やメンバー間の緊張感を肌で感じられます。

1960〜70年代の良質な日本ジャズレコードはプレスの質が高く、特にこの盤は細かなシンバルの残響やバスドラムの深みがしっかり出ています。中古レコード市場でも評価が高く、ジャズドラマーの猪俣猛の名演を求めるマニアにおすすめです。

4. 猪俣猛トリオ – 『Drum Talk』 (East Wind, 1973)

『Drum Talk』は猪俣猛の名前を冠したトリオ編成のジャズレコードで、ドラムを前面に押し出した構成になっています。彼の独自のドラミング哲学や楽曲へのアプローチをダイレクトに感じられる作品です。

East WindレーベルのLPは音響設計にも定評があり、この『Drum Talk』ではドラムセット各部の定位やビートの打ち込みがクリアに聴き取れます。猪俣の細やかなブラシワークやタム回りの叩き方から、彼の技巧と音楽性が明瞭に伝わってくるでしょう。

5. 猪俣猛 & 佐藤允彦 – 『Tokyo Jazz Night』 (Denon, 1971)

伝説的ピアニスト佐藤允彦とのコラボレーションによる『Tokyo Jazz Night』は、東京ジャズシーンの熱気を封じ込めたライブアルバムです。猪俣のドラミングはリズミカルでありながらもアーティスティックな表現力が際立っています。

Denonのレコード盤はソニー製造の高品質なカッティングが特徴で、繊細なピアノタッチや細かいドラムの響きもシャープに刻まれています。レコードで聴けば、当時の空気感やライブハウスの臨場感までもが蘇ります。

猪俣猛のレコードを選ぶ際のポイント

  • 盤質の状態を見る:傷や反りがあるとノイズや音飛びの原因になるため、できるだけ良好なコンディションのレコードを選びましょう。
  • オリジナルプレスを狙う:再発盤よりもオリジナルの方が音質が良いことが多いので、レコード番号やジャケットのデザインをチェックしてオリジナルか確認しましょう。
  • プレイヤーの機材を整える:アナログの良さを引き出すためには、レコードプレイヤーや針の品質も重要です。特にジャズの場合は繊細な表現が多いため、しっかりした環境で聴くことをおすすめします。
  • ライナーノーツやジャケットにも注目:当時のジャズ評論やミュージシャンのコメントを読みながら聴くと、より深い理解と楽しみが得られます。

まとめ:猪俣猛のレコードはジャズドラミングの奥深さを味わう宝庫

猪俣猛のレコードを聴くことは、単にジャズの名演奏を楽しむだけでなく、時代の空気や録音技術、ミュージシャン同士の化学反応を生々しく感じることを意味します。特にアナログレコードで聴くことで、彼のドラミングが持つ力強さや繊細さの両方が、デジタルでは味わえない独特の温もりを伴って伝わってきます。

今回紹介したレコードは、どれも猪俣猛の多様な側面を切り取った貴重な作品群です。中古市場での流通は限られていますが、根気よく探して良好な一枚を手に入れれば、長く深く楽しめること間違いありません。ぜひアナログレコードを通して、日本ジャズドラミングの真髄を体感してください。