ウェイン・ショーターの名盤をアナログLPで堪能する|ジャズの革新者の代表作6選とレコードの魅力

ウェイン・ショーターとは誰か

ジャズ史における伝説的なサキソフォン奏者、作曲家として名高いウェイン・ショーター(Wayne Shorter)。1933年に生まれ、モダンジャズの発展に多大な影響を与えた彼の音楽は、1960年代以降のジャズシーンにおいて革新的であり続けています。マイルス・デイヴィスのセクステットやハード・バップの代表的グループ、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの一員として活躍しただけでなく、自身のグループ「ウェイン・ショーター・クインテット」や後年のフュージョン系バンド「ウェザー・リポート」のリーダーとしても知られています。

レコードで楽しむウェイン・ショーターの名曲

近年はCDやストリーミングが広く普及していますが、ウェイン・ショーターのサウンドの魅力を最大限に味わうには、当時のレコード(アナログLP)で聴くのが一番です。ここでは、特にアナログレコードとしてのリリースが重要な彼の代表作と、その名曲について解説しましょう。

1. 『ジュリアン・プリーストリー』(Julian Priester) のセッションに参加

1970年前後、ウェイン・ショーターは複数のアーティストのレコードに参加していますが、その一つにトロンボーン奏者ジュリアン・プリーストリーのアルバムがあります。正式なリーダー作ではありませんが、ショーターのサックスが随所に光り、彼の独特なフレーズやシンコペーションが味わえます。これらのアルバムは当時プレスされたレコードで聴くと、音の温かみやダイナミクスが格別で、ショーターの独特なサウンドバランスを実感できるでしょう。

2. 『ナウズ・ザ・タイム』(Now's the Time) - ソロ作品の傑作

ウェイン・ショーターは60年代〜70年代にかけて多くのソロアルバムをリリースしています。なかでも「ナウズ・ザ・タイム」は特筆すべき作品で、マイルス・デイヴィス・バンド卒業後の彼の新たな創造性が詰まった1枚です。

  • 録音:1964年
  • レーベル:ブルーノート
  • レコード番号:BST 84136 (モノラル)

このアルバムでは、ショーター自身の独創的な作曲センスとサックスの技巧が調和しており、音質にこだわったブルーノートのオリジナルプレスのレコードは、楽器の鳴りや細かなニュアンスも忠実に再現します。ジャズファンにとっては定番のレコードです。

3. 『アダムズ・アップル』(Adam's Apple) - 名曲の宝庫

1966年リリースの『アダムズ・アップル』は、ウェイン・ショーターの代表作として知られるアルバムです。こちらもブルーノートのオリジナルレコードで聴くと、その卓越した演奏が生々しく感じられます。

  • 収録曲には「アダムズ・アップル」「マメー・ウルム」「ザ・グッバイズ・ウィン」などがあり、いずれもジャズの名曲として知られる
  • アコースティックなサウンドとショーターのメロディの美しさが光る作品

ぜひ、このレコードのオリジナルプレス盤で、60年代のジャズの息吹を味わってみてください。

4. 『スピーク・ノー・イーヴル』(Speak No Evil) - 不朽の名盤

1966年の名盤『スピーク・ノー・イーヴル』は、ウェイン・ショーターの最高傑作の一つです。ブルーノートレコードの代表作に位置づけられており、レコード盤での再生は独特の音の深みが感じられます。

  • 収録曲:タイトル曲「Speak No Evil」、スタンダード「Witch Hunt」、オリジナル「Infant Eyes」など、今も多くのミュージシャンにカバーされる曲が多数
  • メンバーはハービー・ハンコック、フレディ・ハバードなど超一流揃い
  • オリジナルのアナログ盤はレアでコレクターズアイテム

このレコードはスタジオでの演奏の緊張感とライブ感を絶妙に融合させており、アナログならではの温かみのある音質で、ショーターの繊細さや力強さが際立ちます。

5. 『ザ・モーメンタス・ハンドフル』(The All Seeing Eye)

1965年リリースのこの作品は、よりコンセプチュアルで前衛的なジャズに挑戦しています。当時、ブルーノートレコードから発表されたこのアルバムのレコードは特に音響面に優れており、ショーターの複雑なメロディやリズムを鮮明に伝えます。

レコードで聴くことで、ショーターが当時抱えていた内面の深さや不確定な感情がより強く伝わってくるため、ジャズファンにはマストアイテムともいえます。

6. ウェザー・リポート時代の名曲とレコードの魅力

ウェイン・ショーターは70年代に入るとジャズフュージョンの先駆者的バンド「ウェザー・リポート」の共同リーダーとなり、その名曲は多くの人に知られています。特にLPレコードのリリースはアルバムごとに音響の質が高く、アナログならではの音の分離や深さが味わえます。

  • 『ブラック・マーケット』(1976年、CBSレコード) - この白熱したライブ感と豊かなダイナミクスはオリジナル盤でこそ真価を発揮
  • 『ヘッド・ハンターズ』からの盟友との共演など、ライブ盤LPも名作揃い

ウェザー・リポートのレコードは、当時のジャズとロックの融合を形にし、楽器の配置やエフェクトの効果などがアナログで楽しめるため、コレクションとしても非常に価値があります。

まとめ

ウェイン・ショーターの音楽は、多様なジャズの形態をカバーし、革新的かつ繊細な表現力に満ちています。近年はデジタル配信やCDが主流ですが、彼の名作群はオリジナルLPレコードで聴くことにより、その時代の音楽的背景やエンジニアリングの妙技を肌で感じられます。

特にブルーノートからの60年代の名盤群や、ウェザー・リポートの初期作品は、アナログならではの透明感と臨場感が味わえ、ウェイン・ショーターの真髄に一歩近づけることでしょう。ジャズ愛好家であれば、ぜひオリジナルプレス盤を手に入れて、アナログならではの豊かな音響世界に浸っていただきたいと思います。