エリック・ドルフィーの名盤LP徹底解説|ヴィンテージレコードとしての価値と魅力とは

エリック・ドルフィーとは

エリック・ドルフィー(Eric Dolphy、1928年6月20日 - 1964年6月29日)は、アメリカのジャズ・ミュージシャンであり、アルトサクソフォン、フルート、バスクラリネットの演奏で高く評価されています。彼は、ビバップやハードバップの枠を超え、自由ジャズやアヴァンギャルドジャズの先駆者として知られており、その革新的なサウンドとテクニックは多くの後進に影響を与えました。

今回は、エリック・ドルフィーの代表曲とそれらのレコードに関する情報を中心に解説していきます。特にヴィンテージレコードの視点から作品の魅力を掘り下げていきましょう。

エリック・ドルフィーの代表的なレコード作品

ドルフィーのキャリアは短かったものの、その中で発表されたアルバムは数多く、ジャズ史に名を刻む名盤が多いです。代表的な作品には以下のようなものがあります。

  • Out to Lunch! (1964年)
  • Outward Bound (1960年)
  • Far Cry (1960年)
  • Eric Dolphy Presents Five Elements (1964年)
  • Iron Man (1963年録音、1968年リリース)

これらの作品はオリジナルのLP(レコード)でのリリースが多く、いずれもジャズ・コレクターから高い評価を得ています。それぞれの作品の特徴を詳しく見ていきましょう。

Out to Lunch!(ブルーノート、1964年)

ドルフィーの代表作の一つである「Out to Lunch!」は、1964年にブルーノートからリリースされました。マルグリュー・ミラーやボビー・ハッチャーソン、ジャック・ディジョネットらと共演し、構築的ながらも実験的なサウンドが特徴です。

このアルバムは、ブルーノートのオリジナルUSプレスのレコードが非常に人気が高く、希少価値も高いです。特にオリジナル・ジャケットの紙質や盤自体の音質が第一級で、ジャズ・レコードの中でも「最高峰のアヴァンギャルド作品」として知られています。

盤面にはブルーノートのロゴと同じブルーのラベルが貼られており、コードはBST 84165。これもコレクターにとって価値のあるポイントです。ジャケットは芸術的なデザインで有名なReid Milesが担当しました。

Outward Bound(プレスティッジ、1960年)

「Outward Bound」はエリック・ドルフィーのリーダーデビュー作で、プレスティッジ・レコードからリリースされました。こちらは比較的早期の録音で、ドルフィーのキャリア初期の音を堪能することができます。

特徴はドルフィーのアルトサックスを中心に、ハードバップ的な要素が強いこと。チャーリー・マーシャルやジョージ・グレッド・マクファーリンとの共演で、彼の斬新なフレージングが際立っています。

オリジナルのプレスティッジLPはマト番号がPRLP 7101。初期のブラック・ラベルが使われているものは特に評価が高く、状態によっては高値をつけることがあります。ジャケットもシンプルながらアート性があり、レコードファンに根強い人気があります。

Far Cry(リバーサイド、1960年)

「Far Cry」はリバーサイド・レコードから1960年にリリースされたアルバムで、マル・ウォルドロン(ピアノ)やチャーリー・ヘイデン(ベース)といった豪華メンバーが参加しています。

このアルバムはドルフィーの複数の管楽器を使用した多彩なサウンドが光り、アヴァンギャルドとモーダル・ジャズの融合を感じさせる作品です。特にバスクラリネットの演奏が印象的で、彼ならではの独創的な表現が聴けます。

リバーサイドのオリジナルLP(RLP 12-322)は、レア盤としても知られており、特にジャケットの「裏ジャケ」の写真やライナーが非常に充実。音質も初期プレスの方が良いと評判で、コレクターの間で高値で取り引きされることがあります。

Eric Dolphy Presents Five Elements(アワード、1964年)

「Eric Dolphy Presents Five Elements」はドルフィーが1964年にニューヨークで録音しながらも、リリースが後年になった作品です。自由度の高いインプロヴィゼーションが中心で、ジャズの即興性が最も表れた作品の一つと言えます。

アワード・レコードからのオリジナルは希少で、市場ではあまり多く出回っていません。ジャケットもブラック&ホワイトの写真を中心としたシンプルなデザインですが、その希少性ゆえに熱心なジャズ・レコード愛好家の間で強い需要があります。

Iron Man(アワード、1968年)

「Iron Man」は1963年に録音されましたが、アルバムとしては1968年にアワード・レコードからリリースされました。後期のドルフィーの精神世界が色濃く反映されている作品です。

このアルバムもレコード市場ではレア物として扱われており、特にオリジナル盤はジャズファン必携の一枚です。録音とリリースのタイムラグがあるため、ドルフィーの没後に注目され始めた作品でもあります。ブラックラベルのアワード盤は音質も優れており、コレクターズアイテムとして根強い人気を誇ります。

エリック・ドルフィーのレコード収集の魅力

エリック・ドルフィーの作品は、リリース年代が1950年代後半から1960年代前半に集中しており、その多くは今なおヴィンテージ・レコードとして高い価値を持っています。LPレコードの美しいジャケットデザインとともに、当時のアナログ録音ならではの温かみのある音質が楽しめるのも魅力です。

特に以下の点がレコードコレクターに支持される理由です。

  • オリジナルプレスの希少性と市場価値の安定
  • アナログならではの深みのある音質
  • Reid Milesなど著名デザイナーによる魅力的なジャケットアート
  • 当時のスタジオやマスタリング技術の特徴を感じられる
  • ジャズ史に残る重要作品を所有する喜び

そのため、ドルフィーのLPを手に入れることは、単なる音楽鑑賞だけでなくジャズの歴史の一部を物理的に所有することにほかなりません。

まとめ

エリック・ドルフィーは短いキャリアながら多くの革新的なジャズ作品を残しました。彼の代表作である「Out to Lunch!」や「Outward Bound」、「Far Cry」などはオリジナルLPの状態の良いものが高い価値を持ち、ジャズファンやレコードコレクターの垂涎の的となっています。

ヴィンテージレコードという視点で彼の作品に触れることは、ジャズの黄金期を体験することと同義であり、ドルフィーの音楽的革新性をより深く味わうことができます。もしレコード収集を通じてジャズの歴史を学びたい、あるいは本物のアナログサウンドを楽しみたいという方がいれば、エリック・ドルフィーの名盤をぜひ探してみることをお勧めします。