バディ・デフランコの代表曲と名盤を徹底解説|モダン・ジャズ・クラリネットの革新者をアナログレコードで聴く
バディ・デフランコの代表曲についての解説
ジャズの歴史の中で、クラリネット奏者バディ・デフランコ(Buddy DeFranco)は、モダン・ジャズの風を吹き込んだ重要人物として知られています。スウィング・ジャズ全盛期のクラリネット奏者とは一線を画し、ビバップやモダン・ジャズの領域でクラリネットの可能性を拡張した彼の功績は特筆すべきものです。本稿では、バディ・デフランコの代表曲を中心に、その特徴や背景、レコード(アナログ盤)に関わる情報を踏まえつつ詳しく解説します。
バディ・デフランコとは?
バディ・デフランコ(1923年~2014年)は、アメリカ・ペンシルバニア州出身のクラリネット奏者です。1930~40年代のスウィング時代にはクラリネットは主にダンス音楽のための楽器とされていましたが、デフランコはチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーらが牽引したビバップに強く影響を受け、自身のクラリネット奏法を革新しました。1940年代後半から1950年代にかけて、彼はモダン・ジャズ・クラリネット奏者として第一線で活躍し、その後も長く活動を続けています。
代表曲とアルバムにみるバディ・デフランコの魅力
ここでは、彼の代表曲と、それが収録された主なレコードについて紹介し、その音楽的な特徴や時代背景に触れていきます。特に、アナログレコードというフォーマットにこだわったリリース情報を優先しています。
1.「Blue Concept」
「Blue Concept」は、1947年にリリースされたシングルで、バディ・デフランコの名をジャズシーンに強く印象づけた代表曲の一つです。この曲は彼の初期録音の中でもビバップ傾向の強い演奏で、チャーリー・パーカーに影響を受けたフレーズが際立っています。
- レコード盤情報:1947年リリースのベツレヘム・レコード(Bethlehem Records)からの7インチシングルとして流通。B面には「Opus de Bop」などが収録されることが多い。
- 特徴:スウィングとは一線を画すかなりアグレッシブな即興演奏。高速フレーズと複雑なコード進行にクラリネットが絡む斬新なサウンド。
- 演奏メンバー:バディ・デフランコ(クラリネット)を中心に、ギターやピアノ、ベースのトリオ構成が多い。
このレコードは当時まだ珍しかったモダン・ジャズ・クラリネットの魅力を伝える役割を果たしました。ヴィンテージの7インチ盤はコレクターズアイテムとしても高値で取引されています。
2. アルバム『The Supreme Squeeze』(1956年)
1956年にリリースされた『The Supreme Squeeze』は、バディ・デフランコの代表的な長尺アルバムとして知られるLPレコードです。NOREP Recordsなど複数レーベルからプレスされていますが、初期オリジナル盤は極めて貴重です。
- 楽曲の多様性:モダン・ジャズの複雑な和声を用いながらも、職人技のスイング感を失わず、デフランコのクラリネットがしなやかに展開する。
- 注目曲:「It's Always You」「I Can't Get Started」「Speak Low」などのスタンダードを大胆にアレンジ。
- レコードの特徴:モノラルLPで、ジャケットのデザインは当時モダン・ジャズらしいシンプルかつ洗練されたモノクロ写真を使ったものが多い。
このアルバムは、クラリネットという楽器のジャズでの表現の可能性を示す作品として評価が高く、当時のプレス盤は状態が良ければ中古市場でプレミアがついています。
3.「Yesterdays」
「Yesterdays」はバディ・デフランコのレパートリーの中でも特に人気の高いスタンダードナンバーで、複数のアルバムやライブ録音で演奏されています。特に1950年代のアナログレコード盤では彼独自の解釈によるモダン・ジャズ的なフレーズ展開が楽しめます。
- 収録レコード例:1954年ごろのノーライン(Nocturne Records)盤やベツレヘム・レコードのアルバムに収録。
- 演奏特色:原曲の哀愁あるメロディを保ちつつ、即興が絡んだ複雑なビバップ・ラインをクラリネットで表現。
アナログ盤の「Yesterdays」は、彼の演奏の柔軟性と感情表現の豊かさを感じられる一曲としてジャズファンの間で長らく愛聴されています。
4. 『Buddy DeFranco and Oscar Peterson Trio』(1957年)
1957年、ピアニストのオスカー・ピーターソンとのコラボレーションで制作されたこのアルバムは、バディ・デフランコの代表作の一つです。オスカー・ピーターソン・トリオの強力なリズム&ハーモニーとデフランコのクラリネットが絶妙に絡み合っています。
- レコード情報:Verve Recordsからリリース。モノラルLPがオリジナルで、オリジナル盤はヴィンテージ市場でも高値で取引されている。
- 代表曲:「I Want to Be Happy」「My Old Flame」「Tenderly」など、ジャズスタンダード集。
- 音楽性:クラリネットの美しいトーンとオスカー・ピーターソンのダイナミックなプレイの相乗効果が聴きどころ。
このアルバムは、バディ・デフランコの多彩な表現力と卓越したテクニックが存分に味わえる名盤中の名盤として知られています。
バディ・デフランコのレコードコレクションの楽しみ方
バディ・デフランコの作品はCD化やサブスク配信もありますが、特にレコードで聴くことにこそ独特の魅力があります。収録当時の録音技術やミックス、プレス品質による音質の違いが味わえ、またジャケットのデザインや帯などパッケージとしての魅力も堪能できるのがアナログ盤の良さです。
- ヴィンテージ盤はモノラル録音が多く、流麗なクラリネットの音色が非常にクリアに聴こえる特徴がある。
- ジャズファンやコレクターの間では、オリジナル盤の状態によって価格が大きく変動するため、盤質やジャケットの保存状態にもこだわりたい。
- 当時のレコードレーベル(Bethlehem、Verve、Nocturneなど)ごとに独自の音作りがあり、聴き比べる楽しみもある。
また、オークションや中古レコードショップ、専門のジャズ・レコードフェアで探すことで、希少な初回プレス盤に出会えることもあります。バディ・デフランコの功績をより深く味わううえで、こうしたレコード収集は一つの魅力的な趣味となっています。
まとめ
バディ・デフランコは、ジャズ史においてクラリネットをモダンな表現の舞台に押し上げた偉大な奏者です。代表曲「Blue Concept」や『The Supreme Squeeze』などのアルバム、オスカー・ピーターソンとの共演盤は、彼の革新性と卓越した技術を示す重要な作品群です。これらは今なおアナログ・レコードとして愛好者に支持されており、音質や盤の状態をこだわる人にとっては最高のサウンド体験が楽しめます。
モダン・ジャズのクラリネット奏者としてのバディ・デフランコの足跡をたどり、彼の代表曲をオリジナルレコードで聴き込むことは、ジャズの深みと歴史を体感する上で極めて有意義なことと言えるでしょう。


