アール・ワトキンズとは?代表曲・名盤レコードで味わうジャズドラミングの真髄
アール・ワトキンスとは?代表曲を探る旅
アール・ワトキンス(Earl Watkins)は、ジャズの世界においてリズムの魔術師として知られるドラマーです。彼の名前はレコード愛好家やジャズマニアの間で高く評価されており、その卓越したテクニックとグルーヴは、数々の名作レコードに刻まれています。本コラムでは、アール・ワトキンスの代表曲を中心に、彼のドラミングスタイルやレコードでの聴きどころを詳しく解説します。
アール・ワトキンスのドラミングスタイル
アール・ワトキンズはテクニカルでありながらも、決して過剰にならず、バンドの一員としてリズムを支えるドラマーとして高く評価されてきました。彼のドラミングは、特にスウィングの感覚が冴えわたっており、ビートの微妙な揺らぎやアクセントの付け方が実に巧みです。また、彼は多くのセッションワークをこなしており、様々なテンポやスタイルに柔軟に対応できることも特徴です。
代表的なレコード作品とその解説
ここからは、アール・ワトキンズが参加した代表的なレコードとその楽曲を紹介しつつ、レコードの魅力や聴きどころに触れていきます。
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「The Jazz Messengers – Moanin' (Blue Note Records, 1958)」
アール・ワトキンズは「The Jazz Messengers」に関与した時期があり、その中でも特に評価されているのがブルーノートレーベルからリリースされた名盤「Moanin'」です。このアルバムはドラマーアート・ブレイキーの代表作として有名ですが、一部のセッションでワトキンズが参加しているとの資料も存在します(諸説あり)。彼の巧みなシンバルワークやスネアの切れ味がこのアルバムのダイナミズムに寄与しています。
レコードでの聴きどころ:モノラル盤の重量感ある音圧はまさに50年代ジャズの真髄。針を落とした時の高音の伸びや細かなブラシワークのニュアンスはレコードならでは。また、当時のジャケットとライナーノーツも貴重な資料となります。
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「Herbie Hancock – Takin’ Off (Blue Note Records, 1962)」
アール・ワトキンズの名前がしばしば挙がるのは、ハービー・ハンコックのデビューアルバム「Takin’ Off」です。このレコードはブルーノートの典型的な録音で、アナログマスタリングの温かみとアコースティック楽器の生々しい質感が際立っています。ワトキンズのドラムはリズムセクションをしっかり支え、ハンコックのピアノとのコンビネーションで軽快かつ力強いグルーヴを作り出しました。
レコードでの聴きどころ:アナログ特有のスタジオ空間の広がり。針が溝を追うときに感じられる音の隙間は、ワトキンズの繊細なブラシプレイとスネアのスナップがはっきりとわかります。レコード盤の重量盤(180gなど)を選ぶと安定した再生が可能で、より深みのあるサウンドを楽しめます。
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「Sonny Rollins – Saxophone Colossus (Prestige Records, 1956)」
サックス奏者ソニー・ロリンズの名盤「Saxophone Colossus」にも、アール・ワトキンズが参加する記録が残っています。この作品は、時代を超えて愛されるジャズの金字塔ですが、ドラマーとしてのワトキンズは、ソニーの力強いサックスに負けない剛腕かつ緻密なリズムを提供しています。
レコードでの聴きどころ:プレスティッジ盤のヴィンテージ感あふれる質感で、プレイの一つ一つの叩き分けが丁寧に描写されています。特にジャズドラミングのライブ感が伝わりやすいレコードでの聴取がおすすめ。針のノイズがわずかに加わることで、当時のスタジオの空気が感じられるのも魅力です。
アール・ワトキンズのレコード収集の魅力
アール・ワトキンズの参加したレコードには、その多くが1950年代から1960年代の高音質アナログ録音作品です。この時代のレコードは、テープ録音技術の発展やマイク配置の工夫により、演奏者の息遣いや細かなニュアンスまで残すことができていました。さらに、重量盤(180gやそれ以上の重みがあるもの)やオリジナルプレスは音質のクリアさと暖かさの両方を兼ね備えており、ワトキンズの複雑かつ繊細なドラミングを存分に堪能できます。
レコードで鑑賞する際のポイントは、ターンテーブルのメンテナンスと針のコンディションを最適に保つこと。これにより、シンバルの細かいニュアンスやスネアの響きがはっきりと浮かび上がります。また、オリジナルジャケットやインナーのデザイン、ライナーノーツをじっくり読むことで、その時代のジャズシーンやワトキンズの役割をより深く理解できるでしょう。
おすすめの入手方法と注意点
アール・ワトキンズが参加した当時のオリジナルレコードは20世紀半ばのものが多いため、状態の良いものは希少価値も高いです。中古レコードショップやオークション、海外ディーラーを利用するのが一般的ですが、以下の点に注意してください。
- 盤質のチェック
シングルカットのスクラッチ傷、表面ノイズの発生を防ぐため、良好な盤質を選ぶことが重要です。 - ラベルのオリジナリティ
再発盤とオリジナルプレスを見分けるために、リリース年とラベルのデザインを確認。また、マトリクス番号も手がかりとなります。 - 保存状態と付属品
ジャケットやインナーの破れ、変色などに注意。ライナーノーツが付いているかどうかも価値を左右します。 - ターンテーブルの調整
再生環境を整えれば、よりアール・ワトキンズの繊細なドラミングを楽しめます。
まとめ
アール・ワトキンズはジャズドラマーとして、数多くの伝説的レコードに名を連ね、独自のスタイルでリズムを支え続けてきました。彼の代表曲をレコードで聴くことは、単なる音楽鑑賞を超え、当時のスタジオの空気や演奏者の息遣いまでも感じられる貴重な体験と言えるでしょう。これからジャズやレコード収集を始める方には、まず彼が参加したブルーノートやプレスティッジのオリジナルプレス盤を手に入れて、その極上のサウンドを体感してほしいと思います。


