バーニー・ケッセルの名盤5選とレコードで味わうモダンジャズギターの魅力
バーニー・ケッセルとは
バーニー・ケッセル(Barney Kessel)は、20世紀を代表するジャズギタリストの一人であり、その卓越したテクニックと豊かな音楽性で多くのジャズ愛好家を魅了してきました。1923年にカリフォルニアで生まれ、1950年代から60年代を中心に数多くの重要なレコードを残しました。彼の演奏はモダンジャズの中核に位置し、特にウェストコーストジャズのシーンで重要な役割を果たしています。
バーニー・ケッセルの音楽的特徴
ケッセルのギターは、滑らかで流麗なコードワークとシングルラインのフレーズが特徴です。そのスタイルはチャーリー・クリスチャンの影響を強く受けていますが、それだけに留まらず、独自の解釈やヴォイシングを作り上げています。フレーズにはブルースやハードバップ、時にはボサノヴァの影響も垣間見え、常に時代の最先端を行く柔軟性と深みを備えていました。
バーニー・ケッセルの名盤紹介
ここでは、特に評価が高く、レコードで聴くべきバーニー・ケッセルの名盤を5枚紹介します。いずれも1950〜60年代に制作され、ジャズファンのみならずギタリストにとっても重要な作品です。
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1. Let's Cook! (Contemporary Records, 1957)
おすすめ度の非常に高いこのアルバムは、モダンジャズギターの古典的名盤として知られています。コンテンポラリー・レーベルからのリリースで、当時のウェストコーストジャズのスタイルを色濃く反映。リラックスしたスウィング感とインタープレイが素晴らしく、ケッセルのギターがフロントに立つインスト曲が中心です。アート・ペッパー(アルトサックス)との共演も素晴らしく、ジャズギターの魅力を存分に味わえます。
おすすめの曲:「Let's Cook!」「On the Trail」「You'd Be So Nice to Come Home To」
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2. Easy Like (Contemporary Records, 1956)
ケッセルの穏やかで味わい深い演奏が光るミディアムテンポを中心とした作品。リズム隊にはレッド・ミッチェル(ベース)とラス・ケネディ(ドラムス)が参加し、適度なグルーヴ感を作り出しています。全体に「聴きやすい」雰囲気がありながら、ギターのテクニックやセンスが隅々まで光る一枚です。
おすすめの曲:「You'd Be So Nice to Come Home To」「Softly」「Easy Like」
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3. A Song for You (Contemporary Records, 1969)
1969年の録音ですが、70年代ジャズギターの先駆けともいうべき充実の内容。ケッセルの成熟したプレイが聴けると同時に、多様なソングチョイスで広がりを見せます。ケッセル特有の抑制と叙情が融合し、深い感動を呼ぶ作品です。レコード盤での評価は高く、ビンテージ盤のコンディションにも注目されています。
おすすめの曲:「A Song for You」「Turn Out the Stars」「Girl Talk」
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4. Volley (Contemporary Records, 1957)
ケッセルとバド・ショウのギター・デュオアルバム。2本のギターが絡み合うスタイルはジャズギターの中でも稀有な試みで、新鮮かつ洗練されたサウンドを楽しめます。お互いのフレーズに呼応しあい、トリッキーなパッセージも軽々とクリアする技術の高さが特徴です。レコードで聴くと空気感や定位の良さが際立ち、特にギター愛好家にはマストアイテムです。
おすすめの曲:「Spring Is Here」「Have You Met Miss Jones?」「There Will Never Be Another You」
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5. Kessel Plays Standards (Norgran Records, 1954)
このアルバムはノーグラン・レコード (後のVerve Records) からリリースされ、当時のスタンダード曲を洗練されたアレンジで演奏しています。シンプルながらもしなやかで抜けの良いギターサウンドが特徴。ジャズのスタンダードナンバーを好きな人には特におすすめの、バーニー・ケッセルの初期名盤です。
おすすめの曲:「My Funny Valentine」「Polka Dots and Moonbeams」「Easy to Love」
レコードの魅力とコレクターアイテムとしての価値
これらのアルバムは、ほとんどが1950年代を中心にコンテンポラリー・レコードやノーグランなどの名門レーベルからリリースされており、オリジナル盤は現在でも中古レコード市場で高い人気を誇っています。特にオリジナルのプレスは音質が素晴らしく、ケッセルの繊細かつダイナミックなギターの魅力を余すところなく伝えてくれます。
また、当時のジャズ盤はモノラル録音も多く、その温かみのあるサウンドはデジタルでは再現しきれない特別な雰囲気を持っています。レコードのジャケットデザインも当時のアートワークが楽しめ、所有する喜びも大きいです。ジャズギターの名演を原音に近い形で体験したい方にとって、バーニー・ケッセルのレコードは何よりの宝物となるでしょう。
まとめ
バーニー・ケッセルはその卓越した技術と独自の音楽性でジャズギター史に不朽の足跡を残しました。今回紹介したレコードは、その魅力を深く味わうことのできる名盤ばかりです。特にオリジナルのビンテージ盤は音質、雰囲気ともに最高級で、コレクターズアイテムとしても価値が高いと言えます。
これからジャズギターを深く探求したい方や、60年代前後のモダンジャズの名演奏を生のサウンドで感じたい方は、ぜひこれらのバーニー・ケッセルのレコードを手に取ってみてください。その甘くクリアなトーン、流れるようなフレーズは、きっとあなたのジャズ体験に新たな光をもたらすことでしょう。


