ハンク・ジョーンズの名盤アナログレコード5選|ジャズ界の伝説を高音質で楽しむ方法

ハンク・ジョーンズとは?ジャズ界の生ける伝説

ハンク・ジョーンズ(Hank Jones、1918年7月31日 - 2010年5月16日)は、アメリカ合衆国のジャズピアニストであり、そのキャリアは70年以上にわたります。バップからモード・ジャズ、クールジャズに至るまで多彩なスタイルを自在に操り、その繊細かつ緻密なタッチと豊かなハーモニー感覚は、多くのミュージシャンやジャズファンから絶大な支持を受けています。さらに、有名な兄弟たち(ドラマーのエルヴィン・ジョーンズ、ベーシストのイラスムス・ジョーンズ)とともにジョーンズ家としても知られ、ジャズ史に大きな足跡を残しました。

ハンク・ジョーンズのレコード名盤とは?

ハンク・ジョーンズはソロ名義だけでなく、多くのリーダー作や共演作を残しています。その中でも特にレコードとしての評価が高く、多くのジャズファンのコレクションに必ずといっていいほど存在する名盤について紹介します。今回は、レコードでのリリースにこだわり、オリジナル盤や初出盤の情報を中心に解説していきます。

1. "The Trio" (Mercury MG-36007, 1955)

ハンク・ジョーンズの代表作ともいえる本作は、1955年にマーキュリー・レコードからリリースされたピアノ・トリオ作品です。ベースはパーシー・ヒース、ドラムはケット・バルドウィンが参加。モダンジャズの枠組みをしっかり踏襲しつつ、軽快でありながらも微細なニュアンスを活かしたトリオ演奏が魅力です。

レコードの特徴としては、オリジナルのマーキュリー・レッドレーベル盤が特に音質に優れており、ピアノのタッチ一つ一つが鮮明に伝わってきます。ジャケットのアートワークもシンプルながら洒落たデザインで、1950年代のジャズ盤の雰囲気を楽しめます。

2. "Urbanity" (Clef MGC 666, 1956)

ノーマン・グランツによるクレフ・レーベルからリリースされたこのアルバムは、ハンク・ジョーンズのソロピアノ作品。録音当時の録音技術が極めて良好で、ソロピアノの繊細な表現が余すことなく楽しめます。硬質でありながら温かみを感じる音質が、レコードを通じて生々しく伝わってくる点が魅力です。

初期のアナログLPで聴くと、リバーブ感や小さな音のディテールがより粒立っており、音楽の空間的広がりが非常に豊かに表現されます。ジャケットは、モノクロ写真を用いたシンプルかつクラシカルなデザインで、1950年代のジャズLPの気品を感じさせる一枚です。

3. "Bluebird" (Savoy MG 12022, 1956)

ハンク・ジョーンズのピアニストとしての才気が存分に発揮されたこのアルバムは、“Bluebird”と題されている通り、タイトル曲をはじめ非常に美しいメロディが印象的です。Savoyレコードのオリジナル盤はその深みのあるアナログサウンドで知られ、アナログレコードの温かみとともに作品の持つエモーションが直に響いてきます。

アーティストとしてはハンクのほか、名ベーシストのパーシー・ヒースやドラマーのアート・テイラーも参加し、非常に安定したリズムセクションのもとで、ハンクのピアノが生き生きと輝いています。レコードジャケットもジャズの黄金期を象徴するクラシックなデザインで、コレクターからの評価も高いです。

4. "Porgy and Bess" (Capitol T-761, 1959)

ハンク・ジョーンズがジョージ・ガーシュウィンの名作「ポーギーとベス」の楽曲をジャズアレンジで表現したアルバム。Capitolレコードのオリジナルアナログは、豊かな音像とダイナミクスを兼ね備えており、ハンクの手による独自解釈を存分に堪能できます。

この盤にはクラーク・テリー(トランペット)、エリック・ドルフィー(フルート)、ベン・ワッツ(テナーサックス)など豪華な参加ミュージシャンがそろっており、ジャズの名曲が新鮮で瑞々しいアンサンブルに生まれ変わっています。レコードジャケットは当時のモダンなデザイン性を反映し、視覚的にも楽しめる作品です。

5. "Hank Jones Quartet" (Verve MGV-8126, 1960)

Verveレーベルより1960年にリリースされたこの作品は、ハンク・ジョーンズのクインテットによる録音。チャーリー・マリアーノ(アルトサックス)、ジョージ・デュヴィヴィエ(ベース)ら実力派を迎えた充実のアンサンブルであり、Verveのオリジナル・プレスは高品質な録音として知られています。

レコードならではの暖かみある音響がピアノの繊細さを引き立て、ジャズファンのみならずピアノジャズの入門盤としても最適な一枚です。ジャケットはシンプルながらモダンアート風のデザインが秀逸で、ジャズのモダンさを象徴しています。

レコードならではの魅力とは

  • 音質の良さ:ハンク・ジョーンズの繊細なタッチや音色が、アナログレコードの温かみあるサウンドで鮮明に伝わってくる。
  • ジャケットデザイン:1950〜60年代のレコードは、モダンジャズの洗練されたイメージを反映したアートワークが数多くあり、コレクター魂をくすぐる。
  • オリジナル盤の希少性:初出盤や初期プレスは流通量が少なく、希少性が高いため、コレクター市場でも高値で取引されている。
  • 聴取体験の質:スクラッチノイズや盤の回転による微細な揺らぎも含めて、当時の録音現場の生きた空気感を体感できる。

まとめ

ハンク・ジョーンズは、ジャズピアノの中でも最も優雅で格式の高い演奏をするピアニストのひとりであり、その作品群は数多く存在します。とりわけ1950年代から1960年代にかけてリリースされたオリジナルのアナログレコードは、彼の繊細かつ表現力豊かなピアノを余すことなく伝える貴重な資料として重要です。

ジャズの歴史的な背景を感じながら、その時代の音質でハンク・ジョーンズの名演を楽しみたい方にとって、今回紹介したレコードは必ず押さえておきたい名盤ばかりです。コレクションとしても価値が高いこれらのアナログ盤を通して、ぜひハンク・ジョーンズの芸術的世界に触れてみてください。