北村英治の名盤5選|日本ジャズ界レジェンドのクラリネット演奏をアナログで楽しむ
北村英治とその名盤――日本ジャズ界のレジェンド
北村英治(きたむら えいじ)は、日本のジャズ界を代表するクラリネット奏者として知られ、その名演技や独特の音楽性は多くのファンやミュージシャンに愛されています。戦後間もなくジャズが本格的に日本に根付くなかで、北村はクラリネットという楽器の魅力を最大限に引き出し、日本的な感性を融合させたプレイスタイルを確立しました。
彼のレコード作品は、ジャズの黄金時代を映し出す貴重な資料でもあり、コレクターズアイテムとしても非常に価値があります。ここでは、北村英治の代表的名盤を中心に、レコードとしての情報も交えながら解説を行います。
1. 『Jazz Clerinet—北村英治』(ビクター、1973年)
この『Jazz Clerinet—北村英治』は、北村英治の代表作の一つであり、彼のクラリネット奏者としての真髄が存分に楽しめるアルバムです。1973年にビクター(Victor)からリリースされたLPで、録音の質も非常に良好です。ジャズクラリネットの流麗な音色が鮮明に記録されており、まるで目の前で演奏を聴いているかのような臨場感を味わえます。
- 収録曲例:「Stardust」「Moonlight Serenade」「Blue Moon」など、ジャズスタンダードを中心に選曲。北村の持つ柔らかくも情熱的な音色が素晴らしい。
- 編成:クラリネットをメインに、ピアノ、ベース、ドラムといったトリオ~カルテット編成。
- レコードの特徴:オリジナル盤はビクターのイエロージャケットで、リングウェアを抑えたジャケットデザインが秀逸。リリース時期により若干ジャケット仕様が異なります。
ビクターのプレスは当時の日本のレコードとしては比較的高品質で、盤面の質も良好。レコードで聴くことで、デジタルでは味わえないアナログならではの暖かい音質とダイナミズムを体感できます。
2. 『North Village』(東宝レコード、1968年)
1968年の『North Village』は、北村英治がジャズと共に自身のルーツや北国の風景を音楽に投影したアルバムです。東宝レコードから発売されたこのLPは彼の志向の変化を捉えた作品とも言え、和のテイストと西洋ジャズの融合が光ります。
- 収録曲例:「北村ブルース」「Midnight in North Village」「ジャスミンの花」など、自作曲を含むオリジナルに近い作品。
- 特徴:エレクトリックピアノや和楽器的な音色を取り入れ、サウンドの拡張を試みた意欲作。北村の新たな音楽世界が垣間見える。
- レコード情報:東宝レコードは日本映画の配給元東宝カンパニーの音楽部門として設立されたレーベルで、当時は比較的レアなレコードとして知られる。オリジナル盤は今でも高値で取引される。
このレコードは重厚なアナログ盤で、座ってゆっくり聴き込むのに最適。北村の音楽性の幅広さを感じられる一枚としてジャズファンに根強い支持を受けています。
3. 『Eiji Kitamura Plays Benny Goodman』(日本コロムビア、1960年代)
ジャズクラリネットの大家であるベニー・グッドマンに敬意を表したこのアルバムは、北村英治のテクニックと感性が早くから成熟していたことを証明する作品です。日本コロムビアからリリースされたこのLPは、グッドマンの名曲群を北村流に再解釈しています。
- 収録曲例:「Sing, Sing, Sing」「Moonglow」「Let's Dance」など、スウィングの名曲を中心に構成。
- 特徴:スウィングジャズの熱気と北村の繊細なクラリネットワークが融合し、オリジナルとは違った魅力が生まれている。
- レコード詳細:日本コロムビアのプレスは60年代の技術水準を反映し、音の厚みや細かさはこの時代の日本ジャズの水準を示す良好な品質。
この作品は、伝説的クラリネット奏者のリスペクトと、北村自身のオリジナリティが同居しており、レトロなジャケットデザインも魅力です。レコード収集家やジャズ愛好家からの人気が高く、オリジナル盤は特に価値があります。
4. 『北村英治カルテット』(キングレコード、1959年)
1950年代後半、ジャズシーンが戦後の復興とともに盛り上がりを見せた時期にリリースされたこのLPは、北村がカルテット編成でジャズのスタンダードを演奏した名盤です。キングレコードからのリリースであり、彼の代表的な初期作品の一つとなっています。
- 収録曲例:「What's New」「I Can't Give You Anything but Love」「Autumn Leaves」などのジャズスタンダード。
- 特徴:北村のクラリネットはスウィング感たっぷりで、リズムセクションとの一体感が特に聴きどころ。生演奏のライブ感が強く伝わる録音。
- レコード仕様:1950年代のキングレコードがプレスしたモノラル盤。ジャケットはシンプルながらも味わいのあるデザインで、当時のジャズレコードの雰囲気を色濃く残す。
この盤の魅力はモノラルレコードならではの迫力ある音の厚みで、北村の息遣いまでも感じられる点。音質の劣化が気になる場合は、良好な状態のオリジナル盤を見つけることが重要です。
5. 日本ジャズ界の至宝、北村英治のレコードの特徴
北村英治のレコード作品全般に言えることは、「クラリネットの奥深さを引き出した丁寧なアレンジと録音」と「ジャズのスタンダードへの深いリスペクト」です。特に戦後から高度経済成長期にかけて制作されたLP盤は、日本のジャズ界における貴重な遺産として評価されています。
アナログレコードとしての音の特徴も重要です。デジタル化されたサブスク音源では味わいにくい暖かみや空気感が、良好な盤面のアナログレコードだと存分に楽しめます。北村英治の繊細かつ躍動感あるクラリネットの音色は、レコードプレーヤーの針とスピーカーを通すことで鮮明に蘇ります。
また、当時の日本の主要レコードレーベル(ビクター、キング、日本コロムビア、東宝レコードなど)が発売しているため、盤の材質やプレスの品質もそれぞれ微妙に異なり、音の違いを楽しむこともコレクターの醍醐味です。特にオリジナルジャケットのデザインや帯、ライナーノーツの有無なども収集価値を高めています。
まとめ:北村英治の名盤はアナログでこそ味わう価値がある
北村英治の名盤は多く存在しますが、今回紹介した代表作は彼の音楽性と時代背景を理解する上で非常に重要な意味を持ちます。特にレコードという媒体で聴くことで、彼が追求したクラリネットの豊かな音楽表現をリアルに感じられるでしょう。
これから北村英治の音楽に入門する方や、より深く彼の芸術性を味わいたいジャズファンには、ぜひこれらのレコードを探し、当時の録音技術と北村の演奏が織り成す"生きたジャズ"を体験してほしいと思います。
以上の名盤は古書店や専門のレコードショップ、オークションサイトなどで入手可能ですが、保存状態や盤質には十分注意が必要です。良好なオリジナル盤を手に入れ、北村英治が生み出したジャズの世界を堪能してください。


