Martin Carthyとは?英国フォーク伝説のレコード作品とビニール収集ガイド
Martin Carthyとは誰か?
Martin Carthy(マーティン・カーシー)は、イギリスのフォークミュージック界を代表する伝説的なギタリスト兼シンガーソングライターです。1941年にロンドン郊外で生まれ、1960年代からフォークミュージックの再興運動において中心的な役割を果たしてきました。彼の影響はイギリスのみならず、世界中のフォークミュージシャンに及び、その技術と解釈は今なお多くのアーティストに尊敬されています。
Martin Carthyのレコード作品の歴史
Carthyのレコードキャリアは1960年代初頭から始まりますが、特に彼のソロアルバムはイギリスフォークの再評価に大きく貢献しました。ここでは彼の主要なレコード作品を年代順に紹介し、その特徴について解説します。
初期のレコード作品
- "Martin Carthy" (1965): 初のソロアルバム。伝統的なイギリス民謡をベースにした作品で、シンプルながら技巧的なギターと力強いボーカルが高く評価されました。フィッシャーズ・フェイバリット・トラディショナル・ナンバーを多く収録。
- "Second Album" (1966): 「Martin Carthy」の続編的なアルバムで、さらに多様な民謡をアレンジ。自身のギター奏法も進化し、フォークギターの新たなスタンダードを築いた作品です。
1970年代とFaerie Taleの時代
- "Prince Heathen" (1969): より深い伝統楽曲の掘り下げが見られ、より複雑な物語性のある曲が多く収録。シリアスなトーンと技巧的なギターはこの時代の英国フォークの重要な象徴となりました。
- "Landfall" (1971): 電子音楽の台頭があった時代にあって、あえてアコースティック中心のフォークサウンドを追求した作品。透明感あるギターと語り口は多くのフォークファンに愛されました。
1970年代後半と共同作業
- "Because It's There" (1979): 彼のキャリアの中でより完成度の高いソロアルバムの一つ。伝統曲を大胆にアレンジしつつもオリジナリティを発揮。レコードとしての音質も当時としては非常に優れていました。
- この時期には、英フォークグループPentangleのJohn RenbournやDave Swarbrickなどとの共演も多く、音楽性の幅が広がっています。
1980年代以降の活動とレコード作品
- "Out of the Cut" (1982): 自身のルーツに戻りつつ、現代的な要素も取り入れた作品。レコードとしての入手は難しいものの、フォーク愛好家の間ではカルト的な人気を誇ります。
- "Right of Passage" (1988): 伝統的な曲解釈の深化が見られ、アナログのアートワークも素晴らしいことからコレクターズアイテムとなっています。
Martin Carthyのレコードの特徴と魅力
Martin Carthyのレコードは、ただ単にイギリスの伝統民謡を録音しているだけではありません。彼は伝統曲の「再発見者」として知られ、多くの曲を自身の感性で再解釈し、その過程で新たな命を吹き込んでいます。以下に、そのレコードにおける主な特徴を挙げます。
- 革新的なギター奏法: カーシーのフィンガーピッキングスタイルは、DADGADチューニングを多用し、複雑かつリズミカルな伴奏で曲に独特の深みをもたらしています。この奏法は後の多くのフォークギタリストに影響を与えています。
- 歌詞の解釈の深さ: 伝統民謡の意味を徹底的に研究し、物語性や感情を豊かに表現。彼の歌唱は感情移入が深く、聴き手に物語の世界を強く印象づけます。
- 高音質なアナログ録音: 多くの初期作品は英国の伝統的なスタジオで録音されており、アナログレコードの温かみと透明感が際立っています。ヴィンテージ・オーディオ愛好家からも評価が高いです。
- アートワークとジャケットデザイン: 当時のイギリスのフォークアーティストのレコードジャケットは、シンプルかつ情緒豊かなデザインが特徴であり、Martin Carthyの各レコードも例外ではありません。
Martin Carthyのビニールレコード収集のポイント
Martin Carthyのレコードをコレクションする場合、特に注目すべきポイントやおすすめのレコードは以下の通りです。
- オリジナル・プレス: 1960年代および1970年代初期のオリジナル・レコードプレスは希少価値が高く、コンディションの良い状態であれば投資対象としても人気があります。
- 限定盤やリマスタリング盤: 一部のレコードは再発も多数ありますが、オリジナルアナログの音質やジャケットのデザインは再発盤と異なるため、可能な限りオリジナルを探すのが望ましいです。
- ライブ録音やセッション盤: 初期BBCセッションなどのライブ音源を収録したレコードも存在し、彼のパフォーマンスの生々しさを楽しめます。
- コラボレーション盤: Dick GaughanやDave Swarbrick、John Renbournなどとの共演作は、フォーク研究家にとって重要なコレクションアイテムです。
まとめ
Martin Carthyは、イギリス伝統フォークに革新をもたらし、その影響は今日のフォークギター奏者やシンガーに色濃く受け継がれています。彼のレコード作品は単なる民謡集ではなく、音楽的解釈の芸術性が凝縮されたものとして、アナログレコード市場でも高く評価されています。これからフォークミュージックを深く掘り下げたい方やビンテージレコードを収集する方にとって、Martin Carthyのレコードはぜひとも押さえておきたい存在です。


