マーティン・カーシー完全ガイド|英国フォークの巨匠と名曲を彩るアナログレコードの魅力
イギリスフォークの巨匠、マーティン・カーシーとその名曲の世界
マーティン・カーシー(Martin Carthy)は、英国フォーク界における最も重要なシンガー兼ギタリストの一人として知られています。1960年代初頭から活動を続け、その独特なギター奏法と力強く繊細な歌声で、伝統的な英国のフォークソングを現代に蘇らせました。彼の作品はフォークミュージックの歴史の中でも貴重な位置を占めており、多くのミュージシャンに影響を与え続けています。
ここでは、特にアナログレコードに焦点を当て、マーティン・カーシーの代表的な作品とその名曲について詳しく解説していきます。
マーティン・カーシーのレコード作品と代表曲
カーシーのレコード作品は1960年代からリリースされており、当時のフォークブームの中で非常に高い評価を受けました。彼のアルバムは英国の伝統曲を中心に収録されており、古い曲に新しい命を吹き込むことで、フォークの魅力を世界に広げました。
- Martin Carthy (1965)
マーティン・カーシーの初のソロアルバムであり、UKフォークのスタンダードとして知られています。アナログレコードの当時のオリジナル盤は、トランペットレーベルからリリースされており、現在ではヴィンテージレコードとしても非常に人気があります。このアルバムには、「Scarborough Fair」「Springhill Mine Disaster」など、カーシーの名を確立した名曲が収録されています。
- Martin Carthy and Dave Swarbrick (1967)
デイヴ・スウォーブリックとの共演アルバム。フォークフィドルとカーシーのギター&歌が見事に調和した作品で、レコード盤としてもコレクターに人気の高い一枚です。当時のUKフォークシーンの熱気を感じられる内容です。
- Byker Hill (1967)
このアルバムは、カーティスのキャリアにおいても重要な作品の一つです。タイトル曲の「Byker Hill」は伝統的な鉱夫の歌で、カーシーの歌唱とギターアレンジによって蘇りました。リリース当時のオリジナルアナログ盤はUKのTopic Recordsからリリースされていますが、特に英国フォークマニアの間で人気があります。
名曲解説:フォークの伝統を受け継ぐ歌声とギター
「Scarborough Fair」
「Scarborough Fair」はイギリスの伝統的なバラッドで、カーシーの代表曲としても有名です。1965年のソロデビューアルバムに収録されています。彼のアレンジはシンプルながら繊細で、アコースティックギターのフンワリとしたアルペジオとともに、物語性のある歌詞が聴き手の心に深く響きます。
この曲は後にポール・サイモン&アート・ガーファンクルがアメリカでアレンジを施しヒットさせましたが、カーシーのバージョンはより伝統的で素朴な魅力があります。レコード収集家によって初期盤は高値で取引されることも多い作品です。
「Springhill Mine Disaster」
これは実際の炭鉱事故を題材にした労働者のフォークソングであり、カーシーは1958年にこの曲を初めてレコーディングしました。彼のレコード版は1960年代初頭の重要な社会派フォークとして評価されています。伝統的な調べに乗せて、当時の労働者の苦労と悲哀を静かに伝えます。
「Byker Hill」
伝統的な労働者の歌「Byker Hill」もカーシーの名演が際立つ一曲。リリース当時の原盤はトピック・レコードからリリースされました。重厚なフィドルとの掛け合いも特徴的で、炭坑労働の厳しい一面をリアルに感じさせます。強烈なリズムとコール&レスポンスが特徴的で、ライブでも人気のナンバーです。
マーティン・カーシーのギター奏法と音楽的特徴
カーシーの音楽的魅力の一つは、彼の独特なギター奏法にあります。彼は伝統的なフィンガースタイルを守りつつ、複雑なチューニングやリズムパターンを多用し、単なる伴奏にとどまらないギターサウンドを作り上げました。
特に彼が好む「ドロップDチューニング」や「クロスピッキング」の技術は、後のフォークムーブメントやロックにまで多大な影響を与えています。1940〜1960年代の英国フォークリバイバルの重要な推進役の一人として、マーティン・カーシーのレコードはその歴史的価値も大きいのです。
レコード収集としてのマーティン・カーシー作品の魅力
現在、マーティン・カーシーのアナログレコードはフォーク音楽の愛好家の間で希少価値が高まっています。特に1960年代に英国トランペットレーベルやトピック・レコードからリリースされた初期盤は、状態の良いものは高値で取引される傾向にあります。
- オリジナルプレスのジャケットデザインや、インサート付録の有無で価値が変わる
- アナログ盤特有の暖かみのある音質が、カーシーのギターと声の魅力を引き立てる
- 英国フォークリバイバルをリアルタイムで経験した資料的価値も高い
中古レコードショップやオークションなどでは、彼のアルバムが時折見かけられ、フォークマニアやヴィンテージレコード収集家の注目を浴びています。特に英国のTopic RecordsやTransatlantic Records時代の初期プレスは入手困難ですが、保存状態のよいものは希少品となっています。
まとめ:伝統を未来へ紡ぐマーティン・カーシーの足跡
マーティン・カーシーは単なるフォークシンガーではなく、英国伝統音楽を次世代へと継承する架け橋としての役割を果たしてきました。彼のアナログレコードは、1940〜1960年代の英国フォーク復興期の息吹を感じる貴重な音源です。
「Scarborough Fair」や「Byker Hill」といった名曲はその後のフォークミュージックのスタンダード曲となり、収集家やフォークファンにとっては宝物のような作品群です。これらの作品はレコードというフォーマットでこそ、その温もりと時代性を感じ取ることができます。
これからレコード収集を始める人も、マーティン・カーシーの作品はぜひ手に入れてほしい一枚。彼の歌声とギターは、静かにしかし力強く、イギリスの伝統音楽が持つ永続的な魅力を証明しています。


