Pentangle(ペンタングル)完全ガイド|名盤アナログレコードと代表曲で味わう英国フォークとジャズの融合

Pentangle(ペンタングル)とは?

1960年代後半の英国フォークリヴァイヴァルの中心的存在として知られるPentangle(ペンタングル)は、ジャズとフォークを独自に融合させたスタイルで多くのファンを魅了しました。1967年に結成されたこのバンドは、ジョン・レンボーン(ギター)、ジェリー・ドナヒュー(ギター)、ジャッキー・マクシー(ヴォーカル、バンジョー)、ダニー・トンプソン(ウッドベース)、テリー・コックス(ドラムス)という5人のメンバーで構成されていました。彼らの音楽は、アコースティック楽器を基調としながらも複雑なアンサンブルと高い演奏技術を誇り、今なおフォーク・ロック史において重要な位置を占めています。

レコードにおけるPentangleの代表作

Pentangleの音楽をディープに味わいたいなら、やはりオリジナルのアナログレコードが最適です。各アルバムはその時代背景や音響技術も感じられ、CDやストリーミングとは違った温かみや臨場感があります。ここでは特にレア盤や名盤とされる代表的なLPを紹介します。

『The Pentangle』(1968)

メジャーデビュー作であり、Pentangleの世界観が最も純粋に表現されたアルバムです。特に「Light Flight」はその繊細なハーモニーとジョン・レンボーンの巧みなギター・プレイが光る名曲。英国フォークをベースにしつつジャズ的な即興演奏も随所に入るこのアルバムは、初版のレコードがコレクターズアイテムとなっています。

  • レーベル:Transatlantic Records(UK)
  • 初出:1968年
  • 特徴:アナログらしい温かみのある音質と自然な楽器の響き

『Sweet Child』(1968)

1stに続くセカンドアルバムで、Pentangleのジャズ志向とフォークルーツのさらなる融合が進んだ作品です。収録曲「Once I Had A Sweetheart」や「I’ve Got A Feeling」はアコースティック楽器の多彩な音色が楽しめ、ダニー・トンプソンのベースラインの旋律的な美しさが際立っています。レコードでは通常ジャケットに帯が付く日本盤も価値が高く、音質へのこだわりも感じられます。

  • レーベル:Transatlantic Records(UK)
  • 初出:1968年
  • 注目ポイント:アナログならではの暖かさと透明感が魅力

『Basket of Light』(1969)

Pentangleの商業的な成功を決定づけた名盤です。シングル・カットもされた「Light Flight」はこのアルバム収録曲のなかでも特に有名で、英国でヒットしました。フォークとジャズが絶妙に溶け合ったリズミカルな演奏は、Pentangleの代表曲として今もなお多くのミュージシャンに影響を与えています。オリジナルLPは高額で取引されており、アナログ愛好家には必携の1枚と言えるでしょう。

  • レーベル:Transatlantic Records(UK)
  • 初出:1969年
  • 特徴:録音のクリアさとエネルギッシュな演奏で名高い

Pentangleの音楽性と名曲解説

Pentangleの最も特筆すべき特徴は、単なるフォークバンドにとどまらず、ジャズの即興性やブルースの感情表現を自然に取り入れている点です。そのため彼らの楽曲は一見伝統的な英国フォークに見えながら、リズムや構成に自由さや複雑さがあります。

「Light Flight」

「Light Flight」はバンドの代表曲として知られています。この曲はもともとシングルとしてもリリースされ、英国シングルチャートにもランクインしました。テンポは軽快でメロディはシンプルながらも、メンバーのアンサンブルの精緻さが際立っている点が魅力です。リリース当時のアナログレコードはすでに入手困難で、良好なコンディションのオリジナル盤は高価な値段で取引されています。

「Once I Had A Sweetheart」

この曲はダニー・トンプソンの流麗なベースラインが導入部から魅力的に響き、ジャッキー・マクシーの儚げな歌声とジョン・レンボーンの繊細なギターが絡み合う美しい曲です。ジャズに通じる流動的なリズム感があり、アナログ盤ならではの柔らかいサウンドで聴くと、その繊細な演奏がより伝わってきます。

「SallyGo 'Round The Roses」

「SallyGo 'Round The Roses」は伝統的なフォークソングのカヴァーですが、Pentangleの手にかかるとどこか幻想的で神秘的な色合いを帯びます。控えめながらも緻密なアレンジが施されていてレコードの針を落とす瞬間から引き込まれる名演です。オリジナルのLPはジャケットアートも美しく、コレクション価値も高いです。

レコード収集の視点からPentangleを楽しむ

Pentangleのレコードは単なる音源としてだけでなく、アートワークや音響特性、製造時期による微妙な違いを味わう楽しみがあります。1960年代のTransatlantic Recordsからリリースされたオリジナル盤は、ヴィンテージレコード市場でも高い評価を受けています。

  • ジャケットデザイン:丁寧に手がけられたアートワークは、当時のフォークムーブメントの雰囲気を伝える重要な要素です。特にUK盤の初版は質感が良く、フォークファン以外からも人気があります。
  • プレスの違い:オリジナルのUKプレスは音の解像度やダイナミクスに優れているため、より深く音楽の細部を楽しめます。再プレス盤や他国プレス盤と聴き比べるのも面白い体験です。
  • 希少盤:中にはジャケットのデザイン違いやステレオ・モノラル盤の違いによって、マニア垂涎のレア盤も存在します。英米両国のレコード店やオークションで探す楽しみがあります。

おわりに

Pentangleは60年代末から70年代初頭にかけて活躍したものの、その影響力は今日もなお色あせることなく、多くのフォーク、ジャズ、ロックミュージシャンに影響を与え続けています。彼らの音楽を最も生々しく感じられるアナログレコードは、単なる懐古趣味ではなく、今も新鮮な魅力を放っています。もし機会があれば、ぜひオリジナルLPをワードローブに加え、その深い音世界に浸っていただきたいと思います。