The Flying Burrito Brothers完全ガイド|カントリー・ロック先駆者の歴史とレコード収集の極意

The Flying Burrito Brothersとは何か?

The Flying Burrito Brothers(ザ・フライング・ブリトー・ブラザーズ)は、1960年代後半から1970年代初頭にかけて活動したアメリカのロックバンドであり、カントリー・ロックというジャンルの先駆者の一つとして知られています。彼らの音楽は、ロックのエネルギーとカントリー・ミュージックの伝統的な旋律を融合させ、新たなサウンドを生み出しました。彼らの影響は、その後のウェストコーストロックやオルタナティブ・カントリーにも大きな影響を与えました。

結成の背景とメンバー構成

The Flying Burrito Brothersは、1968年にリサ・マリーの夫であり元バッファロー・スプリングフィールドおよびバーズのギタリスト、バーニー・クロスビーとクリス・ヒルマン(元バーズ)が中心となって結成されました。2人は、バーズ時代に既にカントリーとロックの融合を志向しており、さらにその道を追求しようとしたのです。その他のメンバーには、リック・ロウンスデール(ギター/ボーカル)、クリス・ピーテルソン(ベース)、ミイ・パイパー(キーボード)が参加しました。

レコードリリースと初期の活動

The Flying Burrito Brothersのデビューアルバムは1969年にリリースされた『The Gilded Palace of Sin』です。このアルバムは、メンバーの才能と新鮮なサウンドが評価され、カントリー・ロックの名盤としてその名を残しています。

  • 『The Gilded Palace of Sin』(1969年、A&Mレコード): このアルバムはバンドの代名詞ともいうべき作品で、伝統的なカントリーサウンドにロックのアグレッシブさとサイケデリック要素を融合。特に「Christine's Tune」や「Sin City」などがカントリー・ロックファンの間で高く評価されました。
  • アナログ盤の初版は緑色のA&Mレーベルで、ジャケットはアーティスティックなイラストが特徴的です。特に現代では初版のオリジナルプレスはコレクターズアイテムとして人気があります。

サウンドの特徴と革新性

彼らの音楽は、主にバーニー・クロスビーのペダルスティールギターが特徴的であり、カントリー特有の哀愁漂う音色をロックアレンジで大胆に取り入れました。また、クリス・ヒルマンのボーカルとギタープレイは、バーズでの経験を活かした繊細で多彩な音楽性を持ち込みました。このように彼らは、カントリー音楽にロックの即興性を組み合わせることで、その後のカントリー・ロック及びアウトローロックの基礎を築いたと言えます。

セカンドアルバム『Burrito Deluxe』とその後の展開

1970年にリリースされた2作目のアルバム『Burrito Deluxe』(A&M)は、よりポップな要素を取り入れた作品で、バンドの音楽性が多様化しました。このアルバムのレコードは初回プレスで黒色のA&Mレーベルが特徴です。特に「Colorado」は後に多くのアーティストにカバーされ、バンドの代表曲として知られています。

しかし、この時期からメンバー間の不和や方向性の違いが顕著になり、2013年にはバーニー・クロスビーが脱退したため、以降の作品は名前こそ引き継がれたもののオリジナルメンバーの影響は薄れていきました。

レコード収集のポイント

The Flying Burrito Brothersのオリジナルアナログレコードは、カントリー・ロックやヴィンテージロックのレコード市場で非常に人気があります。特に以下のポイントに注意すると良いでしょう。

  • レーベルの種類とプレス: 初版のA&Mレコードは緑色レーベル(1969年盤)や黒色レーベル(1970年盤)が存在し、状態の良いオリジナルプレスはコレクターの価値が高い。
  • ジャケットの状態: 彼らのアルバムはアートワークも評価されているため、ジャケットの保存状態が価格に大きく影響する。
  • シングル盤の存在: 「Christine's Tune」などのシングルカット盤も希少性があり、コレクターズアイテムとなりやすい。

バンドの影響とその後の評価

The Flying Burrito Brothersは、カントリー・ロックの草分けとして今日でも高い評価を受けており、後のエミルー・ハリスやニール・ヤング、ローリング・ストーンズ、グラム・パーソンズの音楽性に大きな影響を与えています。グラム・パーソンズは、彼らの結成において関与し、その役割は非常に大きいですが、公式にはメンバーとしてのクレジットは少ないため、その真相はファンの間でも語り草となっています。

一方で、レコードコレクターやヴィンテージ音楽ファンにとって、The Flying Burrito Brothersのオリジナル盤はただの音源以上の文化的遺産とされ、その独特のサウンドとともに手元に残す価値が高い存在です。

まとめ

The Flying Burrito Brothersは、カントリー・ロックの創始者として音楽史に確固たる足跡を遺したバンドです。1969年の『The Gilded Palace of Sin』を筆頭に、彼らのアナログレコードは今なお収集家たちから高く評価されています。バーズやグラム・パーソンズなどの影響を受けつつ、独自の音楽を追求した彼らの作品は、単なる過去の遺産ではなく、今も新しいリスナーを魅了し続けています。特にオリジナルプレスのレコードは、音質の良さと歴史的価値を兼ね備えており、カントリー・ロックを語る上で欠かせないアイテムとなっています。