The Charlatansのアナログ盤完全ガイド — Some Friendly〜Tellin' Storiesの初回プレス見分け方と保存・購入のコツ
はじめに — The Charlatansとレコード文化
イギリスのロックバンドThe Charlatans(英国では単にThe Charlatans、米国流通時はThe Charlatans UKと表記されることがある)は、マッドチェスター/ブリットポップ期を経て長く活動を続けるバンドの一つです。Tim Burgess(ヴォーカル)、Rob Collins(キーボード)、Martin Blunt(ベース)、Jon Brookes(ドラム)らを中心にしたオリジナル・ラインナップは、その独特のオルガン/ハモンド風鍵盤サウンドとソウルフルなグルーヴで早期から注目を集めました。
このコラムではバンドの“名盤”を中心に、特にレコード(アナログ盤)に関する情報を優先して掘り下げます。初期盤の仕様やプレス違い、ジャケットや盤質のチェックポイント、また買い手として押さえておきたい鑑定のコツなども解説します。コレクター目線での実務的な情報も多めに盛り込みました。
Some Friendly(1990) — デビュー作と初期シングルの価値
Some Friendly はThe Charlatansのデビュー・フルアルバム(1990年)で、代表曲「The Only One I Know」を含む作品です。当時のシーン(マッドチェスター〜アシッドジャズの周辺)において、オルガンを中心にした厚みのあるサウンドで存在感を示しました。
- レコード事情:リリース当初はLP(通常盤)と同期間にプロモ盤、12インチ/7インチシングルのバリエーションが多数存在しました。UKオリジナル・プレスはコレクター人気が高く、オリジナル・スリーヴや帯に相当するものは流通量が限られるため状態次第で価格が跳ねます。
- 見分け方:初回プレスはジャケットのフォントやクレジットの微差、内袋の有無、レーベルの刻印(ランオウト)などで判別できます。ジャケットのエッジ(角)の痛みやシール跡を確認してください。
- 音質とマスター:初期アナログは当時のアナログ・マスターテープからカッティングされているため、CDリマスターや後年の再発と比べると音の「自然さ」を好む向きが多いです。ただし使用されているカッティングやプレス工場によって個体差が出ます。
Between 10th and 11th(1992) — サウンドの拡張とレア盤の存在
Between 10th and 11th(1992年)は、よりダークで実験的なサウンド要素が見られる作品です。バンドはこの時期にプロデューサーとしてFloodなどを起用し、従来のオルガン主体のアレンジに加えてスタジオワークでの音像作りに力を入れました。
- プレスとヴァリアント:このアルバムから12インチのリミックスや特典付きアナログのヴァリアントが増え、地域別(UK/US/欧州/日本)でジャケットやライナーノーツに差があります。特にプロモ盤(白ラベル)や限定カラー盤はコレクター間で高値になることがあります。
- 注意点:90年代初頭のアナログ再生が再評価される中、オリジナルの盤は経年でノイズやスクラッチが入りやすいです。購入時はターンテーブルでの試聴が可能なら必ず確認しましょう。盤質の評価は中古市場での価格に直結します。
Up to Our Hips(1994)〜The Charlatans(1995) — 中期のレコード事情
1994年〜1995年の時期はバンドが商業的にも安定してきた時期で、シングルカットの保有数や12インチのリミックスがさらに増えたため、バリエーション収集の面白さが深まります。ジャケット写真やアートワークの差異、国内向け(日本)にのみ付属したライナーノーツ(日本語解説)や帯の有無は、コレクションの価値を左右します。
- 日本盤の特徴:日本で流通した国内プレスの帯付き初版は、コレクターからの人気が高い傾向があります。帯の表記・解説者名・販売元表記などで真贋や年代を判定しやすいです。
- 盤面とジャケットの保存:アナログはジャケットの折り目や背表紙のクラック(割れ)に弱いので、保存状態の良い個体は希少価値が高くなる点に注意してください。
Tellin' Stories(1997) — バンドの転換とアナログ再評価の契機
Tellin' Stories(1997年)は、Rob Collinsの事故死という悲劇の後にリリースされたアルバムで、バンドの歴史的に重要な作品です。商業的にも大きな成功を収め、多くのシングルがカットされました。アナログ盤は、当時の人気を反映して多数プレスされましたが、プロモ盤や限定盤は現在でも人気があります。
- 限定盤の事情:「One to Another」などのシングルは、カラー・ヴァイナルやピクチャー・ディスクで出されたことがあり、見た目のインパクトでコレクター需要が高くなります。ただし見た目重視の生産は音質が劣る場合もあるため、購入時は音質の確認も重要です。
- 追跡ポイント:オリジナルUK盤のマトリクス(デッドワックス刻印)やレーベル面の仕様、ジャケット内側のクレジット表記の有無を確認すると、正確な版別が判別できます。
以降の作品と再発の潮流(1999年以降)
1999年以降のアルバムもレコードでのリリースが続き、2000年代以降のアナログ復権の波に乗って再発も多数行われました。再発盤は音質やマスタリング、プレス工場の違いで評価が分かれるため、オリジナル・マスター盤(初回プレス)と比較してどちらを好むかはコレクターごとの判断になります。
- リマスターの扱い:近年のリマスター再発は音像が「クリア」になりやすい一方で、原盤のダイナミクス感が失われることもあります。オリジナルの「厚み」を求めるなら初期のアナログ盤を重視するのが一般的です。
- 再発の利点:国内流通の再発は帯や日本語解説が付く場合があり、コレクションの観賞用・資料用としての価値は高いです。
レコード収集の実務ポイント — 購入・鑑定・保存
ここでは中古レコード購入者が実際に役立つチェックポイントを列挙します。
- 版(プレス)を確認する:ジャケットの印刷やバーコード、レーベルに記載のカタログ番号、マトリクス(デッドワックス/ランアウト)刻印で初回か再発かを判定します。詳しい版別はDiscogsなどのデータベースで参照しましょう。
- 試聴する:ノイズ、クリック、プチノイズ、チャンネルバランスを確認。特に90年代以降のプラスチック系ジャケットは盤が擦れている場合が多いです。
- ジャケットと付属物:帯、インサート、ポスター、ステッカー、内袋の有無は価値に直結します。特に日本盤の帯や解説は重要です。
- 保存方法:アナログ盤は直射日光を避け、立てて保管。高温多湿を避け、盤とジャケットの接触によるリングウェアを防ぎます。
- 相場感の把握:同一タイトルでもグレードや版別で価格差が大きく、オリジナル・プロモもコレクター間で高値になります。購入前にオンライン相場を確認しましょう(例:DiscogsのSold履歴、国内中古レコードショップの通販ページなど)。
コレクター向け・具体的な検索キーワード
レコードを探すときに入力すると有効なキーワード例を挙げます。英語・日本語両方で検索するとヒット率が上がります。
- 「The Charlatans Some Friendly original pressing」
- 「The Charlatans Between 10th and 11th UK press runout」
- 「Tellin' Stories 7\" picture disc」
- 「The Charlatans Japanese pressing 帯」
- 「promo white label The Charlatans 12\"」
まとめ — レコードで聴くThe Charlatansの魅力
The Charlatansは、オルガンを主体としたサウンドとイギリス特有のソウル/ロックの融合で、アナログ盤との相性が良いバンドです。初期のオリジナル・プレスは音質と雰囲気の両面で魅力があり、シングルや限定盤にはコレクター心をくすぐる仕様が多く存在します。購入時は版別、盤質、付属品の有無をしっかり確認し、可能なら試聴してから手に入れるのが安全です。
今回取り上げた代表作以外にも、シングルのリミックス盤やプロモ盤、海外盤の仕様違いなど、掘れば掘るほど面白い発見があるのがThe Charlatansのレコード収集の魅力です。
参考文献
- The Charlatans (English band) — Wikipedia
- Some Friendly — Wikipedia
- Between 10th and 11th — Wikipedia
- Tellin' Stories — Wikipedia
- The Charlatans — AllMusic(バイオグラフィーとディスコグラフィー)
- The Charlatans — Discogs(リリース別のプレス情報)
- The Charlatans — Official Charts(チャート情報)
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