エグベルト・ジスモンチをアナログで聴く:必携LP名盤ガイドとレコード収集のコツ(Água e Vinho・Dança das Cabeças)
はじめに — レコードで聴くエグベルト・ジスモンチの魅力
ブラジル音楽の豊かな土壌とジャズ/現代音楽の知性を自在に横断する作曲家・演奏家、エグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)は、1970年代以降の世界的な評価によってレコード(アナログLP)収集の対象としても高い人気を誇ります。本稿では彼の代表的な曲と、それが初めて、あるいは重要な形で収録されたレコード(オリジナルLPや主要プレス)の情報を中心に、音楽的な解説とヴィニール(レコード)収集の視点から詳しく掘り下げます。
短い経歴と音楽的輪郭(レコード史的な位置づけ)
エグベルト・ジスモンチは1947年生まれのブラジルの作曲家/演奏家で、ギター(特にアコースティック系)とピアノを基盤に、ブラジルの民俗音楽、クラシック、ジャズ的即興を融合した独自の音世界を構築しました。1970年代に欧州の名門レーベルECMと関係を持つようになり、長年にわたって高音質なLPリリースが続いたため、オリジナルのアナログ盤は音楽的価値だけでなく音質面でもコレクターに評価されています。
代表曲とそれが収録された注目レコード
ここでは、とくにレコード(LP)としての入手価値や歴史的意義が高い作品を中心に取り上げます。各作品について、初出(あるいは重要なLPリリース)の情報、曲の解説、レコード盤としての特徴と入手の指針を述べます。
「Água e Vinho」 — 初期の代表作(LP: Água e Vinho/1972)
- LP情報(ポイント):1972年に発表されたアルバム「Água e Vinho」は、ジスモンチの名を国内外に知らしめた重要作です(オリジナルはブラジルのレーベルでのリリース)。タイトル曲「Água e Vinho」は彼の代表曲として広くカバーされ、ポピュラー性と作曲家としての深さを兼ね備えた楽曲です。
- 音楽的特徴:この時期のジスモンチは、ブラジルのフォーク要素を基礎に、クラシック的な和声や自由なリズム感を取り込んでいます。表題曲は歌ものとしての親しみやすさを持ちつつ、細やかなコード進行や独特のフレージングが際立ちます。
- レコードとしての評価:オリジナルのブラジル盤は入手がやや難しく、国内盤/海外盤の再発(日本盤・輸入盤)も散見されます。オリジナルプレスはコレクター市場で人気が高く、ジャケットやマトリクス(※盤刻印)を確認することが大切です。
「Dança das Cabeças」 — ECMでの飛躍(LP: Dança das Cabeças/1977)
- LP情報(ポイント):1977年の「Dança das Cabeças」は、エグベルト・ジスモンチと打楽器奏者ナナ・ヴァスコンセロス(Naná Vasconcelos)との即興的なデュオを中心に構成された名盤で、ECMレーベルからリリースされました。ECMの国際流通により欧州・日本でも高い評価を受け、オリジナルのドイツ/欧州プレスや日本初回盤は収集対象となっています。
- 音楽的特徴:この作品はギター/ピアノ的な楽器と多彩なパーカッション(ボイスを含む)が絡み合い、即興と構成の境界を曖昧にする独自の空間を生み出しています。ブラジルの伝統リズムに根ざしながら、モダンなミニマル的要素や自由即興の呼吸も感じられ、ジスモンチの国際的評価を決定づけた一枚です。
- レコードとしての評価:ECMは1970〜80年代のLPで高品位なマスタリングと印刷品質を保っており、オリジナルのECMプレス(特に欧州製)は音質評価が高いです。日本盤では帯付きのものや、初期のプレスにかぎって帯・解説が充実していることが多く、状態次第でプレミアムがつきます。
ECM期以降の主要LP群(概説)
1970年代後半から1980年代にかけて、ジスモンチはECMで作曲的・編曲的に多彩なアルバムを発表しました。ソロ作品、トリオや大編成、民族楽器を取り入れたアルバムなどバリエーションが豊富で、LPとしてのフォーマットでも数多くリリースされています。ECMというブランドはLPの盤質・ジャケット美にも影響し、オリジナルの欧州プレスや日本国内盤(帯付き)はコレクション価値が高いのが特徴です。
レコード収集の実務的ポイント:何を見て買うか
- オリジナル盤と再発盤の識別:ジャケットのデザイン、背表記、レーベル(ECMならロゴ、カタログ番号)、盤のマトリクス(A面/B面の刻印)を確認してください。再発は音質やプレスが異なることがあります。
- プレス国の違い:ECMなどはドイツやイギリス、日本といったプレス国ごとに音の傾向が異なると言われています。オリジナル欧州プレスが好まれることが多いですが、国内盤(日本盤)の帯・解説の有無はコレクション価値を大きく左右します。
- 保存状態(コンディション):ジャケットの角打ち、盤のスクラッチ、インナースリーブの有無、帯や解説書の状態は価格に直結します。音質を重視するなら盤面のL判定(視覚的な傷)だけでなく、実際に再生確認ができるものを選ぶのが安心です。
- 情報ソースの活用:オリジナルのリリース年やカタログ番号、リイシュー年はDiscogsなどのデータベースで確認すると確実です。出品者の説明だけに頼らず、写真で盤面や刻印を確認してください。
代表曲の演奏的・文化的読み解き(選曲の意義)
ジスモンチの代表曲群は、単に「名旋律」を寄せ集めたものではなく、ブラジルの地域的リズムや世俗音楽的な語法を深層に持ちながら、作曲技法と即興表現が同居する点が大きな特徴です。アナログLPで聴く際には、曲の空間表現やダイナミクス、マイクの距離感などがより直接的に伝わるため、CDやデジタル配信とは異なる「場」の感覚を味わえます。とくに「Dança das Cabeças」のようなデュオ録音では、マイク配置や盤のダイナミクスが演奏の臨場感を決定づけます。
まとめ — レコードで味わうジスモンチ
エグベルト・ジスモンチは作曲家としても演奏家としても多面的であり、レコード(LP)はその多面性と録音当時の空気を最もダイレクトに伝えるメディアです。代表的な「Água e Vinho」「Dança das Cabeças」をはじめ、ECM期のオリジナルプレスや帯付き日本盤はコレクターにとっての重要なターゲットになります。購入にあたっては盤・ジャケットのコンディションやマトリクス、プレス国を確認し、Discogs等で照合することをおすすめします。
参考文献
- エグベルト・ジスモンチ - Wikipedia(日本語)
- Egberto Gismonti - Wikipedia(英語)
- Egberto Gismonti | AllMusic
- Egberto Gismonti | Discogs(リリース別のプレス情報確認に便利)
- ECM Records(公式サイト、ジスモンチのECM作品情報等)
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