Al Jarreau(アル・ジャロウ)入門:名盤・代表曲・聴きどころを徹底解説

Al Jarreau — プロフィール

Al Jarreau(アル・ジャロウ)は1940年3月12日ミルウォーキー生まれ、2017年2月12日に没したアメリカの歌手です。ジャズを基盤にしつつ、ポップ、R&B、ソウルなどジャンルを横断する柔軟な表現力で知られ、キャリアを通じてグラミー賞を7度受賞しました。その独特な声と歌法は「ヴォーカル・インストゥルメント」とも称され、多くの聴衆やミュージシャンに影響を与えました。

音楽性と魅力 — なぜ特別なのか

  • 声そのものを楽器化する技術

    ジャロウはスキャット(語義を持たない音節での即興歌唱)やボーカル・パーカッション、楽器を模した音色作りを多用し、まるで一人でアンサンブルを演奏しているかのような表現を行います。

  • リズム感とフレージングの妙

    ジャズ的なポリリズムやシンコペーションを自在に使い、言葉の強弱や間(ま)を生かしたフレージングで歌に即興性と説得力を与えます。

  • ジャンル横断の適応力

    彼の歌はジャズ・スタンダードからポップ、R&B、フュージョンまで幅広く溶け合い、どの領域でも自然に聴こえる柔軟性が魅力です。

  • 表現力のレンジ

    柔らかい語りかけから力強いシャウトまで、ダイナミクスの幅が大きく、感情の機微を細やかに伝えることができます。

キャリアのハイライト

1970年代に本格的にシーンで注目され、ライヴ盤やスタジオ作を通じて評価を広げました。1980年代には商業的にも大きな成功を収め、ポップ・チャートへの定着とともにテレビのテーマ曲(例:「Moonlighting」)で幅広い層に知られるようになりました。グラミー賞はジャズ、ポップ、R&Bなど複数ジャンルで受賞しており、ジャンルの枠を越えた評価の高さを示しています。

代表曲・名盤(入門ガイド)

  • Breakin' Away(1981)

    商業的に最も成功したアルバムの一つ。シングル「We're in This Love Together」など、ポップ寄りの聴きやすさとジャズ的な隙間の作り方が同居しています。

  • Look to the Rainbow(1977)

    ライヴ録音で、ジャロウの即興性やスキャット表現がダイレクトに楽しめる作品。彼のジャズ・シンガーとしての力量を端的に示す1枚です。

  • We Got By(デビュー盤)

    初期のジャズ志向が感じられる作品で、後の多様な活動の基礎が見えます(タイトルや年は編集によって記載が異なる場合があります)。

  • Jarreau(1983)

    「Mornin'」などを含むアルバムで、ポップとジャズのバランスが良く取れた時期の作品。

  • 「Moonlighting」(テーマ曲/シングル)

    テレビ番組のテーマとして広く知られ、TV視聴者にも名声を広げた楽曲です。

初めて聴く人への聴きどころ

  • 声の“隙間”に注目する

    歌詞以外の音(アドリブのフレーズや合いの手)に耳を傾けると、ジャロウの音楽的センスがよく分かります。

  • スキャットの語彙を味わう

    意味のある言葉だけでなく、音節やリズムがメロディやハーモニーと絡み合うところが醍醐味です。

  • ライブ音源での即興性

    スタジオ録音とは違う、瞬間的な遊びや客とのやり取りを聴くと、彼の師匠肌とも言える魅力が伝わります。

ライブでの魅力

ジャロウはステージ上での即興性、観客とのインタラクション、そしてバンドとの緊密なコミュニケーションを重視しました。曲のフォーマットを変化させたり、ソロを次々と生み出すその姿は「ライブでこそ真価が発揮される」タイプのアーティストです。

影響とレガシー

Al Jarreauは単に“うまい歌手”という枠を超え、ヴォーカルの可能性を広げた存在です。ジャズ・ヴォーカル界だけでなく、ポップ/R&Bのシンガーたちにも影響を与え、多くの若手歌手が彼のフレージングや即興のアプローチを学びました。2017年に亡くなりましたが、その録音やライヴ映像は現在も多くのリスナーに愛され、ヴォーカル表現の指標として残り続けています。

聴取のおすすめシチュエーション

  • リラックスして声の細部(ビブラート、ニュアンス、息づかい)を味わうとき
  • ジャズの即興性を学びたいときの教材的聴取
  • ポップ寄りの名曲で心地よく浸りたいとき

まとめ

Al Jarreauは声を「楽器」として徹底的に使いこなした稀有なヴォーカリストです。ジャンルを超える柔軟性、リズム感に富んだフレージング、そしてライブで生まれる瞬間的な魔法。初めて聴くなら、まずは代表的なスタジオ盤とライヴ盤を1枚ずつ聴き比べることをおすすめします。そこから彼の幅広い魅力がより深く見えてくるでしょう。

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