B.B. King入門 ─ 押さえておきたい必聴レコードと聴きどころガイド

はじめに — B.B. King を聴く意味

Riley B. "B.B." King(1925–2015)は、20世紀のブルースを代表するギタリスト/シンガーであり、その一本のギター「Lucille」に込めた歌うようなギター・フレーズと豊かなビブラートは、ロックやソウル世代にも決定的な影響を与えました。本コラムでは、ビギナーから中級コレクターまでに向け、B.B. King の「押さえておきたい」レコードを深掘りして紹介します。各作品の聴きどころや代表曲、当時の背景に触れ、彼の音楽性がどう発展したかを辿ります。

B.B. King の音楽的特徴(聴くポイント)

  • 「歌う」ギター:短いフレーズを歌うように弾き、ボーカルとギターを対話させるスタイル。無駄なフレーズを削ぎ落とした上での濃密さが魅力。
  • ビブラート:指先と手首を使った独特のビブラートが音色の個性を決定づける。1音ごとの「表情」が豊か。
  • フレーズの間合い(スペース):休符や間の使い方で感情を溜め、解放する演奏が多い。
  • バンドとの対話:ホーンやピアノ、リズム隊と作る呼吸感。特にライブ録音での反応が聴きどころ。
  • 多様なクロスオーバー:ブルース・ルーツにロック、ソウルやポップの要素を取り込み、時代に応じて音を更新していった。

おすすめレコード(深掘り解説)

1) Live at the Regal (1965)

なぜ必聴か:B.B. King を語る上で外せないライヴ盤。シカゴのRegal Theatreでの熱演を収め、観客との呼吸、ギターと歌の「対話」が生々しく記録されています。演奏の切れ味、テンポ感、観客の歓声が一体となった高揚感はスタジオ録音では得られない魅力。

  • 代表曲(盤内の聴きどころ):“Every Day I Have the Blues”、“Sweet Little Angel”、“How Blue Can You Get”
  • 聴きどころ:短く凝縮されたソロの一つ一つ、観客を引き込む語り口、ホーン・アレンジとの掛け合い。

2) Completely Well (1969)

なぜ必聴か:B.B. King の代表曲となった“The Thrill Is Gone”を収録したスタジオ作。ストリングスを配したアレンジと、よりモダンなプロダクションでブルースがポップ市場にも届いた転機的作品です。

  • 代表曲: “The Thrill Is Gone” — オリジナルは別作者の曲ですが、B.B. のバージョンが世界的ヒットに。
  • 聴きどころ:悲哀を帯びたトーン、余白を活かしたフレージング、当時の録音技術が作る温度感。

3) Indianola Mississippi Seeds (1970)

なぜ必聴か:南部ルーツへの回帰とロック/ソウル系ミュージシャンとの融合が顕著な一枚。プロデューサーやゲストにロック系の顔触れを迎え、ブルースの語法を拡張しています。

  • 代表曲: “Hummingbird”、“Chains and Things” など(多彩な編成での演奏が楽しめる)
  • 聴きどころ:ギターの表情はそのままに、異なる楽器の色を取り込むことで生じる化学反応。

4) Live in Cook County Jail (1971)

なぜ必聴か:受刑者を前にしたライヴ録音で、観客の緊張感とB.B.の慈愛に満ちたパフォーマンスが対照的。社会的文脈の中でブルースが果たす役割を考えさせられる記録でもあります。

  • 代表曲:当日のセットはアコースティック寄りの曲から迫力あるブルースまでバランスよく収録。
  • 聴きどころ:観客の反応、静と動のコントラスト、歌心の深さ。

5) Riding with the King (Eric Clapton & B.B. King) (2000)

なぜ必聴か:晩年の名コラボ作品であり、世代を超えたギター・デュオの魅力が詰まったアルバム。B.B.の古典的ブルースとClaptonのルーツ回帰志向が共鳴しています。グラミー受賞作でもあります。

  • 代表曲:タイトル曲 “Riding with the King” をはじめ、ブルース・スタンダードや新たな解釈が並ぶ。
  • 聴きどころ:二人のギターの音色対比、老練なプレイの円熟味。

6) 1950–60年代のシングル/編集盤(入門用)

なぜ必聴か:B.B. King はシングル中心にキャリアを築いた時期が長く、初期のヒット群をまとめた編集盤は彼の音楽的ルーツと発展を時系列で追いやすい。初期の“Three O'Clock Blues”や“Every Day I Have the Blues”などが含まれるものがおすすめです。

  • 聴きどころ:初期のサウンド・プロダクション、地元ラジオや黒人コミュニティでの受容のされ方、シンプルな編成での表現力。

各作品の聞き分け方・楽しみ方

  • ライブ盤(Regal、Cook Countyなど)は観客とのやり取りや瞬発力を楽しむ。フレーズの生々しさ、MCや曲間の空気感に注目。
  • スタジオ盤(Completely Well、Indianola…)はアレンジやプロダクション、サウンドの質感に注目。ストリングスやホーンの使い方で時代性が見える。
  • コラボ盤(Riding with the Kingなど)はプレイヤー同士の化学反応を味わう。リズムの噛み合わせやソロの掛け合いに耳を傾けると面白い。
  • ボーカルとギターの「会話」を追う:B.B.は歌い終わりにギターで応答することが多い。その呼吸を追うと彼の表現の核心が見えてきます。

盤の選び方(初心者向けの実用アドバイス)

  • まずは代表的な1〜2枚(例:Live at the Regal と Completely Well)を押さえると、ライブとスタジオでの両側面が理解できます。
  • 編集盤やベスト盤は入門に便利。年代順に並べられたものなら初期からの変遷が掴みやすいです。
  • コラボ作品はB.B.の「後期の円熟」を体感するには最適。初めて聴く人にもとっつきやすいアレンジが多いです。

最後に — B.B. King の残したもの

B.B. King の魅力は「ギターが歌う」こと、そしてブルースが持つ普遍的な感情表現を誰よりもわかりやすく伝えた点にあります。上に挙げたレコードは、その多様な側面(初期の直球ブルース、クロスオーバー期、ライヴのダイナミズム、晩年のコラボレーション)を代表する作品群です。これらを通して、歌うことと弾くことの一体感、そしてブルースが世代を越えて伝える力を感じ取ってください。

参考文献

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