The Pretty Things入門:S.F. Sorrow〜Parachuteまで必聴レコードおすすめ&購入ガイド
はじめに — The Pretty Thingsとは
The Pretty Things(ザ・プリティ・シングス)は、1960年代ロンドンのR&B/ガレージ・ロック・シーンに登場し、粗削りで攻撃的なサウンドと破天荒なステージングで知られたバンドです。ローリング・ストーンズと同時代に活動を始めましたが、より原始的で実験的な側面を強く残し、1968年のロック・オペラ「S.F. Sorrow」や1970年前後の名盤群で高い評価を得ました。本稿では、初心者からマニアまで楽しめる「おすすめレコード」を中心に、各作品の聴きどころや入手時のポイントを解説します。
おすすめ盤一覧(概観)
- The Pretty Things(1965)- デビュー作、原始的なR&B〜ガレージ
- Get the Picture?(1965)- デビュー直後の充実した楽曲群
- Emotions(1967)- サイケ/メロウ志向の過渡期作品
- S.F. Sorrow(1968)- ロック・オペラの金字塔、必聴
- Parachute(1970)- バンドの成熟、名盤との評価が定着
- Freeway Madness / Silk Torpedo / Savage Eye(1970s)- フォーク〜グラム/アダルト志向の変遷を追う好資料
The Pretty Things(1965) — デビュー作の原石感
特徴:初期の荒々しいR&B志向が前面に出た作品で、シンプルだがテンションの高い演奏とフィル・メイのボーカルが魅力です。ロックンロールやリズム&ブルースに根ざした生々しいサウンドは、後のサイケ・期やコンセプト作へ向かう出発点となります。
聴きどころ:シングル・ヒット曲やカバー曲も含め、演奏の生々しさと荒々しい勢いを最初に体感できる一枚。バンド初期のエネルギーを味わいたい人に最適です。
入手のポイント:オリジナルの初期プレスはコレクター価値がありますが、内容的には良好なリマスターや国内再発CDでも十分に楽しめます。
Get the Picture?(1965) — 初期の充実作
特徴:デビュー作に続く2作目で、よりバリエーション豊かな楽曲構成が見られます。シングル志向のポップかつ攻撃的な曲と、バンド独自の荒々しさが混在します。
聴きどころ:より洗練されたメロディーとアレンジが垣間見え、初期の代表曲やライブで定番になったナンバーも多く含まれます。初期の流れを追う上で外せない一枚です。
Emotions(1967) — サイケデリック期への過渡
特徴:サイケデリック/バロック的要素を取り入れた実験的な作品。前作までのR&B色から一歩踏み出し、曲ごとに色彩の違う楽想を試しています。
聴きどころ:歌詞やアレンジに心理的・詩的な深みが増し、後の「S.F. Sorrow」へとつながる思想的な伏線も感じられます。バンドの変化を追いたい人におすすめ。
S.F. Sorrow(1968) — ロック・オペラ、必聴の傑作
特徴:The Pretty Thingsの代表作にして、初期のロック・オペラの金字塔と評されるアルバムです。主人公“S.F. Sorrow”の一生を描くコンセプト・アルバムで、物語性のある曲順と統一感のある音世界が魅力。
聴きどころ:叙事的な歌詞、幾つものムードを繋ぐ流れ、サイケデリックとポップの融合。サウンド面ではストリングスやキーボード、ギター・ワークの工夫が随所に見られ、ロック史における重要作です。ビートルズや同時代のサイケものと比較しても独自性が際立ちます。
入手のポイント:多くの再発・デラックス盤が出ています。オリジナルLPはコレクターズアイテムですが、ボーナス曲やセッション音源を含むリマスターCDやデジタル版は物語性を補完する資料として有用です。
Parachute(1970) — 新たな成熟、名盤の評価
特徴:メンバーの成熟と演奏力の向上が感じられる、バンド屈指の名作。歌詞、アレンジともに深みが増し、ポップとは一線を画した“バンドの音楽性”が確立されています。
聴きどころ:トータルで聴くことを強く推奨する作品で、曲間の繋ぎやムードの変化にこそ魅力があります。メロディラインの強さ、アンサンブルの精度の高さが際立つ一枚です。
入手のポイント:オリジナルLPは音質面で魅力的ですが、近年のリマスター盤はダイナミクスや音像が改善されており、リマスター+ボーナストラック付きの盤を手に入れるとより深く楽しめます。
1970年代以降の注目作 — Freeway Madness, Silk Torpedo, Savage Eye など
特徴:70年代はサウンドの幅がさらに広がり、フォーク、グラム、AOR的要素など時代に応じた変化を見せます。バンドの硬派な面だけでなく、ポップ感覚やメロウな側面も楽しめます。
聴きどころ:時代ごとのプロダクションの違いを楽しむのがポイント。ファンにとっては「バンドがどのように変遷したか」を追うこと自体が大きな魅力です。
代表曲(入門用)
- Rosalyn — 初期の代表的なシングル。荒々しいR&Bの魅力が詰まっています。
- Don't Bring Me Down — バンドを代表するヒットシングルのひとつ(1960年代中期)。
- (※アルバムごとの名曲は各盤ごとに異なるため、まずは「S.F. Sorrow」や「Parachute」を通しで聴くことを推奨します)
どの盤から聴くべきか(初心者向けガイド)
- まずは「S.F. Sorrow」を一気に聴く:コンセプトとバンドの個性が凝縮された傑作で、彼らの魅力をもっとも端的に理解できます。
- 続けて「Parachute」:バンドの成熟した演奏と楽曲構成を楽しめます。
- 原点を知りたいならデビュー作と「Get the Picture?」:初期の勢いとR&B〜ガレージ感覚を体感できます。
収集・購入時のアドバイス(版・再発について)
- オリジナル盤はコレクター価値が高い反面、価格も上がっています。音質重視なら信頼できるリマスター盤を選ぶと良いでしょう。
- デラックス版やボーナス収録がある再発は、セッション音源や未発表曲が含まれることが多く、バンドの全体像を知るには有益です。
- ライナーノーツや解説の充実度も購入の判断材料に。来歴や楽曲解説が詳しい物は聴取体験を深めます。
さらなる探索 — ライブ盤・コンピレーション
ライブ盤やBBCセッション集、レアトラックを集めたコンピレーションは、プリティ・シングスのもう一つの顔(ライブの破天荒さ、スタジオ外の実験性)を知るのに最適です。スタジオ作品と合わせて聴くことで、バンドの多面的な魅力が見えてきます。
まとめ
The Pretty Thingsは、R&B出自の荒々しい原石からサイケ/コンセプト作品、そして成熟したアルバムまで幅広く魅力を放つバンドです。まずは「S.F. Sorrow」と「Parachute」を押さえ、その後デビュー作や1970年代作を辿ることで、彼らの音楽的変遷と個性を深く味わえます。リマスターやデラックス盤を活用すれば、初期の未発表音源やセッションも享受でき、コレクションとしての楽しみも広がります。
参考文献
- The Pretty Things — Wikipedia(日本語)
- S.F. Sorrow — Wikipedia(英語)
- The Pretty Things — AllMusic
- The Pretty Things — Discogs
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