The Isley Brothers(アイスリー・ブラザーズ)必聴レコード完全ガイド — 年代別おすすめ名盤と聴きどころ

The Isley Brothers — 必聴レコード深堀りガイド

The Isley Brothers(アイスリー・ブラザーズ)は1950年代末から活動を続けるアメリカR&B/ソウル/ファンクのレジェンドです。シンプルなコーラス・ナンバーからハードなロック風ギターを取り入れたファンク、80年代のスムースR&Bまで、多様な音楽性を一貫した「家族のハーモニー」と「グルーヴ感」でつないできました。本稿では代表的な時代ごとのおすすめレコードをピックアップし、それぞれの聴きどころや背景を深掘りして解説します。

キャリアを俯瞰するポイント

  • 初期(1950s〜60s):ゴスペル由来のコーラスとダンス・ナンバーで人気を獲得。「Shout」やモータウン期のヒットでグループの基礎を築く。
  • 自主管理/ファンク化(late 1960s〜70s):T-Neckレーベルの設立で独立し、ファンクやロックの要素を強化。Ernie Isleyのギターがバンド・サウンドの核になる。
  • 黄金期(1970s mid):グループを拡張した「3+3」編成によりバンドとしての表現力が飛躍。ソーシャルなテーマやスロウまで幅広い名曲を生む。
  • 80s〜90sのR&Bシーンへの影響:ポップ/R&B的なアレンジでヒットを続け、後のヒップホップ/R&Bで素材としてサンプリングされる曲を多数輩出。

代表曲(まず押さえておきたい名曲)

  • Shout(1959) — 初期のライブの興奮を象徴するパーティー・アンセム。
  • This Old Heart of Mine(Is Weak for You) — モータウン期の泣きメロ/アップリフティングな一曲。
  • It's Your Thing(1969) — 自主路線への転換を象徴する大ヒット、ファンク志向の始まり。
  • That Lady(1973) — Ernieのギターが際立つロック寄りのファンク・ナンバー。
  • Fight the Power / For the Love of You(1975) — ファンクの力強さと美しいスロウの両面を示した代表作群。
  • Between the Sheets(1983) — 80年代R&Bの名バラード。後のサンプリング・ソースとしても有名。

おすすめレコード詳解(時代別セレクション)

Shout(シングル/初期録音・1959年頃)

聴きどころ:コール&レスポンス、熱狂的なコーラス、ライブ感に満ちたパフォーマンス。パーティー・ソングとしてポップ・カルチャーに根づいた1曲です。The Isley Brothersを語る上で外せない“原点”の一つ。

This Old Heart of Mine(シングル/1966)

聴きどころ:モータウン期の職人的なソングライティングと、切なさを表現するボーカル。若き日のグループがモータウンのサウンドに溶け込み、ヒットチャートで存在感を示した時期の代表曲です。

It's Our Thing(アルバム:1969)

聴きどころ:「It's Your Thing」を含む作品で、T-Neckを通じた自主制作の成功を示すアルバム。自己決定とファンク志向を打ち出し、以降の展開(よりバンド志向のサウンド)へのターニングポイントになります。

ポイント:ここから彼らは単なるコーラス・グループから、演奏力の高いバンドへと変化を始めます。

3 + 3(アルバム:1973)

聴きどころ:兄弟トリオに若手3人(Ernie、Marvin、Chris)を加えた「3+3」体制での初期を象徴する作品。R&B、ロック、ファンクが混ざり合い、Ernieのギターが際立つナンバー(代表曲「That Lady」)など、ダイナミックなアレンジが特徴です。

ポイント:編成の拡大によってリズム隊と楽器アレンジの幅が広がり、アルバム全体の表現力が格段に向上しました。

The Heat Is On(アルバム:1975)

聴きどころ:ファンク・ナンバーの「Fight the Power」と、スローで繊細な「For the Love of You(Part 1 & 2)」という両極の魅力を同一作品内で聴かせます。70年代中期の彼らの“商業的かつ芸術的な成熟”を感じられる一枚です。

ポイント:シングル志向の強さとアルバム全体の統一感が両立している点が特長。ラジオでも流れたヒット曲が多く、入門盤としても最適です。

Harvest for the World(アルバム:1976)

聴きどころ:タイトル曲「Harvest for the World」を筆頭に、社会的テーマや普遍的メッセージを込めた作品。ソウル/R&Bとしての深みと、メロディの良さが際立ちます。プロダクションは落ち着きがあり、歌とコーラスに耳が行きます。

Between the Sheets(アルバム:1983)

聴きどころ:タイトル曲「Between the Sheets」はスムースで大人の色気が漂う名バラード。80年代サウンドの洗練性が加わった一方で、グループのコアであるハーモニーはそのまま。後のヒップホップ/R&Bシーンで多くサンプリングされ、別の文脈でも頻繁に参照される名曲です。

ポイント:1980年代のプロダクション感(シンセやプログラミング)を受け入れつつも、歌の存在感が損なわれない作りになっています。

聴きどころのガイド:何を注目して聴くか

  • ボーカル・アレンジ:Ronaldのリードと兄弟のコーラスの掛け合い。声質の違いを生かしたアレンジに注目。
  • Ernie Isleyのギター:60s後半〜70sでのロック寄りのギター・サウンド(ジミ・ヘンドリックス的な色合いも感じられる)が楽曲のドライブ感を作る。
  • グルーヴとストリングス/ホーンの使い分け:ファンクではリズムの密度、バラードではストリングスでの情感演出が効いている。
  • 編成の変化:トリオ期と「3+3」期、80sの再編成といった時代ごとの音の質の違いをたどると、グループの進化が見えてきます。

初心者向け入門順(聴く順番の提案)

  • まずは代表曲集(コンピ)やシングル群で「Shout」「It's Your Thing」「That Lady」「Between the Sheets」などの“顔”を把握。
  • 次に70年代中期のアルバム(The Heat Is On、Harvest for the World)で制作力と幅を確認。
  • さらに3+3期のアルバムでバンドとしての表現、Ernieのギターをじっくり聴く。
  • 最後に80年代のBetween the SheetsでR&Bの変遷と後世への影響を体感する、という流れがおすすめです。

コレクション的に注目したい点

  • 時代別に音像が大きく変わるため、同じアーティストでも「雰囲気の違う名盤」が多数ある点が魅力。
  • サンプリング元としての価値も高く、80sの曲はヒップホップ・ネタとして聴き直すと新たな発見がある。
  • ライブ音源や編集盤には名演が多いので、スタジオ盤と併せて聴くとバンドの表情がより立体的になります。

終わりに

The Isley Brothersは単なる時代の産物にとどまらず、R&B/ソウル/ファンクの歴史を横断する存在です。歌の美しさ、アンサンブル、楽曲の幅広さ――どの時期から入っても楽しめる、多層的なカタログを持っています。本稿で挙げたアルバムを軸に、自分だけの“ベスト・イシレー”を見つけてください。

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