The Crusaders(クルセイダーズ)名盤ガイド|歴史・おすすめアルバム&聴きどころを年代別に解説
The Crusaders — 名盤ガイド:歴史・サウンド・聴きどころを深掘り
The Crusaders(初期は The Jazz Crusaders)は、60年代のハードバップ/ソウルジャズを母体に、70年代以降はジャズとファンク、R&B、フュージョンの狭間で独自の道を切り開いたグループです。鍵盤のジョー・サンプル、テナー/バスのウィルトン・フェルダー、ドラムのスティックス・フーパー、トロンボーンのウェイン・ヘンダーソンらによる演奏は、黒っぽいグルーヴと洗練されたメロディー感覚が同居しており、ジャズ・ファンクの重要な基盤を築きました。
聴く前の文脈:The Jazz Crusaders から The Crusaders へ
グループは60年代には「The Jazz Crusaders」としてハードバップやブルース感の強いソウルジャズを発表し、70年代になると「The Crusaders」としてエレクトリック楽器やポピュラー志向を強めます。昔ながらのジャズ・コンボ的な即興性と、当時のブラック・ミュージックの流行(ファンク、R&B)を吸収した洗練されたサウンドが共存するのが彼らの魅力です。アルバムごとに編成や比重が変わるため、時代別に聴き比べると彼らの進化がよく分かります。
おすすめレコード(深堀解説)
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Freedom Sound(初期:The Jazz Crusaders)
なぜ聴くべきか:初期の代表作で、彼らの“黒い”メロディー感とハードバップ寄りの即興が濃縮されています。タイトル曲「Freedom Sound」はグループのアイデンティティを象徴する一曲で、リズム隊のタイトさとホーンの乾いた切れ味が際立ちます。
聴きどころ:トロンボーンとテナーの前衛的でありながらソウルフルな掛け合い、ジョー・サンプルのピアノによる和声的な“色づけ”。アコースティック楽器主体のサウンドは、後年の電化路線と比較すると“生々しさ”が際立ちます。
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The Jazz Crusaders at the Lighthouse(ライブ盤)
なぜ聴くべきか:ライブでの熱量、インタープレイ(メンバー間の対話)がダイレクトに伝わる名録音。クラブ現場で育んだグルーヴと即興の伸びやかさを体感できます。
聴きどころ:テンションの高いソロ回し、観客の反応が入ることでスタジオ録音とは違った息遣いが感じられます。Crusadersの“演奏者集団”としての魅力を知るのに最適な一枚です。
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Tough Talk(初期〜中期の橋渡し)
なぜ聴くべきか:初期のジャズ志向と、後のソウル/ファンク志向が混じり合う重要な時期の作品。リズムの押し引きやアレンジ感覚に、将来の方向性の萌芽が見えます。
聴きどころ:曲によってはより“黒っぽい”グルーヴを押し出しており、ソウルフルなフレーズとジャズ的ソロが自然に融合しています。バンドのアンサンブル力を堪能できる一枚です。
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Southern Comfort(中期:電化・ファンクの導入)
なぜ聴くべきか:70年代に入ってからの“電化”とファンク化を象徴する作品群の一枚。アコースティック路線からシンセやエレピなどの鍵盤サウンドが前面に出てきます。
聴きどころ:ジョー・サンプルのエレクトリック鍵盤がサウンドの輪郭を作り、ウィルトン・フェルダーのサックスがソウルフルなメロディを担います。ジャズの即興的要素を残しつつ、ダンサブルな感触を持つ曲が多いのが特徴です。
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Chain Reaction(中期〜後期のファンク/ジャズ・フュージョン)
なぜ聴くべきか:リズム志向が強まり、フュージョン的な要素とR&B的なプロダクションが混ざる時期の代表作。バンドのポピュラー志向が明確になりますが、演奏の質は高いままです。
聴きどころ:ビートが前に出る楽曲構成、ホーン・アレンジの工夫、ジョー・サンプルのメロディメイキング。クラブ寄り/ダンス寄りに寄った曲もあるため、リズミカルな側面を楽しみたい人におすすめです。
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Street Life(代表的商業的大ヒット/後期)
なぜ聴くべきか:Randy Crawford をヴォーカルに迎えたタイトル曲「Street Life」は彼らの最大のヒットで、ジャズ/R&Bのクロスオーバーを象徴する一曲です。アルバム全体も洗練されたプロダクションでまとめられており、ポップス寄りの層にも強くアピールしました。
聴きどころ:タイトル曲のシネマティックな盛り上がり、サンプルされやすいフックの強さ、バンド全体のアンサンブル感。ここでのサウンドは“ジャズ・ファンクが商業的に成功した好例”としても教科書的です。
アルバムを選ぶときのポイント(サウンド別の聴き分け方)
- アコースティックで生々しい演奏が好み → 初期(The Jazz Crusaders)作品。ホーンとピアノ主体の生演奏感が楽しめます。
- ファンク/ダンス寄りのグルーヴを求める → 70年代中盤以降のアルバム。エレピやシンセが入りプロダクションも洗練されています。
- 名曲1曲を体験したい → 「Street Life」収録盤。クロスオーバーの成功例として特に有名です。
- ライブの熱気を味わいたい → ライブ盤(例:Lighthouse)を選ぶと、演奏のスリルがダイレクトに伝わります。
聴きどころの具体的なポイント(プレイリスト作りに役立つ)
- ジョー・サンプルのキーボード:アコースティック・ピアノ寄りのフレーズとエレピ/シンセでの色付けがアルバムごとにどう変化するかを追うと、バンドの進化が明瞭に見えます。
- ウィルトン・フェルダーのテナー(兼ベース奏者としての役割):ソウルフルなブロウとシンプルながら効果的なラインが多い点。
- ホーン&アレンジ:初期はコンボ感、後期はアンサンブルとスタジオ・アレンジの比重が増します。アレンジの“隙間”を見るとアレンジャーの工夫が分かります。
- ゲストとの相性:Randy Crawford のようなゲスト・ヴォーカルによってバンドのポップ側面が強調される例があるので、ゲスト参加作もチェックしましょう。
入門から深掘りまでのおすすめ聴取順
- まずは代表曲を1曲:タイトル曲「Street Life」を聴いて彼らの“音の色”を掴む。
- 初期の佇まいを知る:Freedom Sound や初期のスタジオ作、ライブ盤でアンサンブルの生々しさを体験。
- 中期〜後期を通して変遷を聴く:Southern Comfort → Chain Reaction → Street Life の流れで電化とポップ化を追う。
- 好きな時代が見つかったら、同時期の関連ソロ作品(ジョー・サンプル等)や共演作にも手を伸ばすと、新たな発見があります。
まとめ:The Crusaders の魅力とは
The Crusaders の魅力は「ジャズ的即興」と「黒いグルーヴ(ソウル/ファンク)」を自然に融合させた点にあります。初期の生な演奏から、70年代の洗練されたエレクトリック・サウンドまで幅広く楽しめるため、ジャズ入門者〜コアなジャズ・ファン、さらにはファンク/R&B好きまで多くのリスナーに刺さります。アルバムごとに違った顔を見せるバンドですので、時代別に聴き比べることで彼らの音楽的深みをより堪能できます。
代表曲・注目トラック(短めリスト)
- Street Life(代表的クロスオーバー曲)
- Freedom Sound(初期の代名詞的ナンバー)
- Put It Where You Want It(彼ら/ジョー・サンプル周辺でよく知られるグルーヴ曲)
- Keep That Same Old Feeling(ソウルフルな側面を示す楽曲)
参考文献
- The Crusaders - Wikipedia
- The Crusaders | Biography & Discography - AllMusic
- The Crusaders - Discogs
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