ジャコ・パストリアスのおすすめレコード6選|入門〜コアコレクションの聴きどころと選び方
イントロダクション — ジャコ・パストリアスとは何者か
ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius、1951–1987)は、フレットレス・ベースを革新し、ジャズ/フュージョンの低音部表現を根本から変えた伝説的ベーシストです。メロディを歌わせるようなハーモニクス、超絶的なテクニック、リズム・セクションとの会話力、作曲・編曲センス──いずれも彼の特徴で、ソロ作・参加作を通じて今日のベーシストに多大な影響を与え続けています。本コラムでは「レコード」として手元に置きたくなるおすすめ盤を厳選し、それぞれの聴きどころや選ぶポイントを深掘りします。
おすすめレコード・ガイド(入門〜コアコレクション)
1. Bright Size Life — Pat Metheny(1976)
なぜ買うか:ジャコを「完全に」知るために欠かせない出会いの一枚。パット・メセニーのデビュー作で、若きメセニーのギターとジャコのベースが独特の空間を作り上げています。ジャコの初期プレイ(メロディアスかつ歌うようなライン)がよく聴ける作品です。
- 聴きどころ:ベースがメロディを担う瞬間の自然さ、トーンの温かさ。アンサンブル内での「間」の取り方。
- 注目曲例:タイトル曲「Bright Size Life」など(詳細は盤情報を参照してください)。
- 購入のヒント:ジャズ/ECMの初期サウンドが好みならオリジナル盤や良質なリイシューを検討。
2. Jaco Pastorius(自作アルバム、1976)
なぜ買うか:ジャコ名義の最初期ソロ作で、彼の多面性(ソロ曲、フュージョン・ファンク、ハーモニクスを活かしたミニマルな曲など)がまとめて聴けます。ソロ・ベースの代表作「Portrait of Tracy」など、ベーシストなら一度は聴くべき名演を収録。
- 聴きどころ:ハーモニクスを使ったソロ表現、ベースの「ボーカル化」。アレンジ面でも彼のセンスが光る。
- 注目曲例:「Portrait of Tracy」(ハーモニクスの名作)、「Donna Lee」など。
- 購入のヒント:初期ものはコレクターズアイテム扱いになることも。再発盤は入手しやすいので、聴く目的なら良質なリマスター盤でOK。
3. Heavy Weather — Weather Report(1977)
なぜ買うか:フュージョン史上の金字塔。ジャコ加入期のWeather Reportを代表する作品で、ロック的な躍動感とジャズ的即興が結実しています。ジャコ作の「Teen Town」など、ベースが前面に出るトラックもあり、彼のパフォーマンスをバンドコンテクストで堪能できます。
- 聴きどころ:「Birdland」のような名曲のアンサンブル、ジャコのベースが曲の推進力となっている部分。
- 注目曲例:「Teen Town」(ベースが主役級の扱い)、「Birdland」(バンドの代表曲)など。
- 購入のヒント:フュージョンの名盤として音色・ミックスの違いが盤によって大きいので、レビューを確認して良好なマスタリングの盤を選ぶのがおすすめ。
4. Word of Mouth(1981)
なぜ買うか:ジャコの作曲・編曲能力が最大限に表現された野心作。ビッグバンド的編成やオーケストレーションを用い、ソロ名作とは異なる「作曲家ジャコ」を知ることができます。音的には大胆で、聴き応えがあります。
- 聴きどころ:大編成アレンジにおける低音の役割、ジャコのソロだけでなく曲構成力に注目。
- 注目曲例:アルバム全体を通したドラマ性や、曲ごとのアレンジの多様さ。
- 購入のヒント:アレンジや楽器の鳴りを重視するならステレオ感の良いカッティングの盤が望ましい。
5. The Birthday Concert(ライブ記録)
なぜ買うか:ライヴでのジャコの破壊力を体感できる一枚。スタジオ録音とは異なる即興のスリリングさ、エネルギー、テクニックの爆発が詰まっています。ライブ盤は彼の生々しさを知るために不可欠です。
- 聴きどころ:ソロパートの即興性、バンドとのリアクション、観客の反応まで含めた「現場感」。
- 注目曲例:ライブならではのロング・インプロヴィゼーションやソロを中心に聴くと良い。
6. Joni Mitchell — Hejira(1976)
なぜ買うか:ジャコの名演がロック/フォーク/ジャズの文脈で光る重要なゲスト参加作。ミッチェルの空間的な歌とジャコのベースが驚くほど自然に溶け合い、新しい伴奏の可能性を提示しています。
- 聴きどころ:伴奏としての最小限のフレーズが曲の重心を作る箇所。ベースが「歌」を支える役割を果たす好例。
- 注目曲例:アルバムのタイトル曲「Hejira」をはじめ、ジャコのフレーズに注目して聴くと発見が多いです。
各アルバムで注目して聴くポイント(技術・表現の視点)
- ハーモニクスの扱い:特に「Portrait of Tracy」のような曲で、単音ではなく倍音を用いた「和音的」表現をどう作っているかを追うと、ジャコの音楽観が見えます。
- メロディ化されたベースライン:ベースが単にリズムを支えるだけでなく、メロディを担う瞬間が多々あります。ラインの歌わせ方、呼吸感、フレージングを真似すると学びが深いです。
- リズムのロック/スイングの両立:ビート感の作り方(リズムセクションとのロック感とスイングの融合)に注目してください。特にフュージョン期の曲で顕著です。
- 作曲・編曲視点:Word of Mouthのような編曲主導の作品では、低音の役割がどう変化するか(テクスチャー作り、ホーンやストリングスとの関係)を分析するとジャコの幅が見えてきます。
聴きどころ別・入門からコアな楽しみ方の順序
- まずは「Jaco Pastorius(自作)」でソロ表現とテクニックの核を掴む。
- 次に「Bright Size Life」でアンサンブル中の存在感を確認。
- 「Heavy Weather」でフュージョンにおけるバンドへの貢献度と名曲群を体感。
- 興味が深まったら「Word of Mouth」「ライブ盤」で作曲・編曲と即興の両面を掘る。
- ジャンル横断の協働作(Joni Mitchell等)で、伴奏としての美学を学ぶ。
中古レコードを選ぶ際の留意点(盤自体のメンテは除く)
ここではサウンドや資料的価値の観点からの選び方を簡潔に述べます。オリジナルプレスは当時のミックスや音色をそのまま再現することが多くコレクション価値がありますが、リマスター/再発盤は音の解像度やノイズ処理が改善されることがあるため「聴く目的」か「コレクション目的」かで選ぶと良いでしょう。日本盤の帯付きはコレクターズアイテムになりやすい点も覚えておくと便利です。
ジャコの影響と現在の聴き手へのメッセージ
ジャコは単に超絶技巧のベーシストではなく、「ベースをどう歌わせるか」を突き詰めた人物です。彼のレコードを通して学べるのはテクニックだけでなく、音楽の中で低音が果たす表現的な役割、アンサンブルにおける対話の在り方、そして作曲/編曲の視点です。ベーシストはもちろん、アレンジャーや作曲家、バンドで演奏するプレイヤー全般にとって学びの多い資産が詰まっています。
最後に:盤を手に入れる際の実用的なチェック項目
- 収録年代とリマスター有無を確認:同じタイトルでもマスターやミックスが異なることがあります。
- ライナー/クレジットを読む:参加ミュージシャンや制作背景が理解を深めます。
- ライブ盤は収録日や編成(メンバー)をチェック:その日の編成で演奏のカラーが大きく変わります。
参考文献
- Jaco Pastorius — Wikipedia
- Jaco Pastorius — AllMusic
- Bright Size Life — Wikipedia
- Heavy Weather — Wikipedia
- Word of Mouth — Wikipedia
- Hejira — Joni Mitchell(Wikipedia)
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