キルステン・フラグスタード徹底ガイド|ワーグナー名演を聴くためのおすすめレコード・CDと選び方
イントロダクション — キルステン・フラグスタードとは
キルステン・フラグスタード(Kirsten Flagstad, 1895–1962)は、20世紀を代表するノルウェー出身のドラマティック・ソプラノです。特にワーグナー作品におけるブリュンヒルデやイゾルデといった役で不朽の名声を築き、その豊かな音色、強靭かつ艶やかな高音、そして劇的表現力で聴衆を圧倒しました。本稿では、彼女の歌唱をじっくり味わえるおすすめのレコード/CD、各盤の聴きどころ、入門者向けの選び方を詳しく解説します。
選び方のポイント(購入前の考え方)
- スタジオ録音 vs ライヴ録音:スタジオ盤は声の質やニュアンスをじっくり楽しめ、背景ノイズが少ない一方、ライヴ録音は舞台上の迫力や劇的高揚を生で感じられます。フラグスタードは両方に魅力があるため、両方を一枚ずつ持つのがおすすめです。
- コンピレーションとボックスセット:入門者は「ベスト・オブ」的な編集盤で代表的アリアを聴き、気に入ったらスタジオ全集やライブ集へ進むと良い流れです。
- 音質と復刻の評判:盤起こしやリマスターの質は大きく差が出ます。Testament や EMI / Warner の系譜で適切にリマスターされたものは評判が良いので優先して探してください。
- 解説(ライナーノーツ):歴史的背景や歌唱の位置づけが書かれた充実した解説のある復刻盤を選ぶと鑑賞が深まります。
必携のおすすめ盤(入門〜コレクター向け)
1) 入門向け:代表的アリアを集めたコンピレーション
まずは「手軽にフラグスタードの声を知りたい」という方に最適。イゾルデの「Liebestod」やブリュンヒルデの「Immolation Scene」ほか、主要なアリアやシーンを厳選した1枚で、彼女の声の魅力を短時間で体感できます。CDや配信で見つかる“Best of”系のタイトルがこれにあたります。
2) 代表的スタジオ録音(ボックス/全集)
スタジオ録音は声のフォルムや細部が明瞭で、声そのものを聴きたい人に最適です。EMIやDecca系が出しているスタジオ録音集(“Complete Studio Recordings” といったボックス)は、彼女のキャリアを俯瞰できるため、長く聴くコレクションとして価値があります。コストはかかりますが、信頼できるリマスターが付属していることが多く、解説も充実しています。
3) ライヴの名演集(Bayreuth / 世界の公演)
フラグスタードは舞台上での表現力が圧倒的です。特にベートーヴェンやワーグナー作品の大作でのライヴは、“劇場で歌うフラグスタード”を知るうえで欠かせません。Testament 等のレーベルが出している1930年代のバイロイト(Bayreuth)公演や、戦前・戦後のライヴ録音集は、歴史的価値も高く、ドラマ性を求めるリスナーに強く推奨できます。
4) 特定の役・シーンを聴くなら
- イゾルデ(Tristan und Isolde) — 「Liebestod」は彼女の表現力が最もよく現れるレパートリーの一つ。スタジオ収録/ライヴの双方で名演があります。
- ブリュンヒルデ(Die Walküre / Götterdämmerung) — 第三幕の登場や“焼却の場面(Immolation)”など、声のドラマ性と持久力を感じられる箇所を重点的に。
- シグルンデ、その他ワーグナーの女声アリア — どれも“劇的ソプラノ”の典型を提示します。
各盤の聴きどころ(アナリシス)
- 声質と音色:フラグスタードの声は厚みと豊かなハーモニクスが特徴です。高音は明るく伸び、しかし決して鋭く潰れない。中低域の温度感があるため、ワーグナーの重厚なオーケストラにも埋没せずに通ります。
- フレージングと呼吸:長いフレーズを自然に歌いきる持久力と、極めて計算された呼吸管理が聴きどころ。大きなカデンツァやクレッシェンドにおける「溜め」と「解放」が非常に説得力を持っています。
- ドラマ表現:単に美声を聴かせるだけでなく、役柄の心理を声色や語り口で表現する力が突出しています。ライヴ盤ではその瞬発力がさらに明確です。
初心者におすすめの聴き方
- まずはコンピレーションで代表アリアを聴き、フラグスタードの声質と表現に慣れる。
- 次にスタジオ全集で細部(ポルタメント、ダイナミクス、語尾の処理など)を確認。
- 最後にライブ録音で舞台としての総合力(オーケストラとの一体感、臨場感)を体験する、という順序がおすすめです。
どのエディションを選ぶか(実務的なアドバイス)
- 信頼できる復刻レーベル(EMI / Warner / Testament など)や著名ディスクガイドで高評価のものを選ぶ。
- ボックスセットはコストはかかるが音源・解説がまとまっていて勉強になる。単発CDは気軽に試聴するには良い。
- ライナーノーツに歴史的背景や演奏状況の解説があると、史料的価値も含めて楽しめます。
まとめ
キルステン・フラグスタードはワーグナー歌唱の金字塔であり、歌唱の核である「声の質」「フレージング」「劇的表現」のすべてが高い次元で結実しています。まずは代表アリアを集めたコンピレーションで声を知り、スタジオ全集とバイロイト等のライヴ集で深掘りすると、彼女の芸術世界を余すところなく味わえます。音源選びは復刻・リマスターの評判を参考にしつつ、スタジオとライヴ両面を楽しんでください。
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