フランコ・コレッリ完全ガイド:おすすめレコード・ベスト盤とライヴ/スタジオ別の聴きどころ
はじめに — フランコ・コレッリとは
フランコ・コレッリ(Franco Corelli, 1921–2003)は、20世紀を代表するイタリアのテノールの一人です。圧倒的な高音の伸び、金属的で明るい声色、そして舞台上での強い存在感(“disegno drammatico”)により、ヴェルディやベッリーニ、プッチーニ、ベリーニらのドラマティックな役柄を得意としました。録音とともに多数のライヴ音源が残されており、スタジオ録音とは異なる瞬発力とアドリブ的な高音でのカタルシスを楽しめる点が魅力です。
コレッリの声と歌い方の特徴
- 高音域の鮮烈さ:ヘヴィーなドラマティック・テノールながら高音に驚くほどの輝きがある。
- “squillo”(金属的な響き):遠くに抜ける“切れ”があり、オーケストラを突き抜ける発声。
- 男声の色気と強さの両立:ロマンティックなアリアでも情熱的に押し切る表現力。
- ライブでの即興的な魅力:アジリティや絶頂の高音はライヴ録音でより顕著に聴けることが多い。
おすすめレコード(聴きどころと選び方)
以下は「コレッリの魅力がよく分かる」代表的なレパートリー別のおすすめレコード(LP / 再発盤でも入手可能)です。各項目に聴きどころを添えますので、目的に合った盤を選んでください。
1. ヴェルディ:イル・トロヴァトーレ(Manrico)
おすすめ理由:マンリコの「Di quella pira」をはじめ、ドラマティックな高音と英雄的な表現がコレッリの真骨頂。スタジオ録音よりもライヴでの瞬発力が際立つことが多く、スリリングなテンションを味わえます。
2. ヴェルディ:アイーダ(Radamès)
おすすめ理由:雄大でロマンティックな「Celeste Aida」など、叙情性と英雄性のバランスが秀逸。立ち上がりのブレスや高音の伸びでコレッリの魅力がよく分かります。
3. プッチーニ:トスカ(Cavaradossi)
おすすめ理由:情感の深さと熱情的な叫びを両立できる役。レチタティーヴォからアリアへの移行や「E lucevan le stelle」の歌い回しに注目してください(※プッチーニ作品は作品ごとに色合いが異なるため、複数録音を比較するのがおすすめ)。
4. ヴェリズモ/レパートリー(カヴァラリア・ルスティカーナ、パリアッチなど)
おすすめ理由:短いが情熱的なフレーズが連続する地元系レパートリーは、コレッリの持つ“生々しさ”と情念の表現をストレートに楽しめます。
5. オペラ・アリア集/ベスト盤(コンピレーション)
おすすめ理由:代表アリアを網羅した編集盤は、コレッリ入門に最適。いくつかのライブ録音とスタジオ録音が混在することが多いので、瞬発力の差や録音年代の違いを楽しめます。レパートリーの幅広さを一枚で把握したい場合に便利です。
各盤を楽しむための聴きどころ
- 高音の“決め”を比べる:同じアリアでもスタジオ録音とライヴ録音で高音の出し方や伸び、強さが異なります。両者を聴き比べるとコレッリの多面性が見えてきます。
- フレーズの色付け(rubato)とアゴーギク:コレッリは表情付けがダイナミックなので、テンポの揺れやポルタメントの使い方を追うと表現意図が掴めます。
- 共演者との化学反応:共演ソプラノや指揮者、合唱との相互作用で演奏の印象が大きく変わるため、特にオペラ録音では共演者情報にも注目してください。
初心者向けの聴き順
- まずは代表アリア集(ベスト盤)で声の“素顔”を把握する。
- 次に、イル・トロヴァトーレやアイーダのフル(または抜粋)で役としての表現力を確認。
- 最後に複数のライヴ録音を聴き比べ、舞台上の即興性やその日の“熱”を味わう。
LPを選ぶ際の注意点(演奏面の視点で)
- 演奏年・録音年を確認する:コレッリの声は年代により色味や力の出方が変化します。若い頃の伸びやかな高音、成熟期の力強さ、晩年の色彩感といった違いに着目すると興味深いです。
- スタジオ録音かライヴ録音かを意識する:スタジオは精密で均質、ライヴは瞬発力と興奮が魅力。好みで選んでください。
- 共演陣と指揮者:名指揮者や名ソプラノとの共演盤は音楽的完成度が高く、作品世界に深く入れます。
特にチェックしてほしい代表アリア(入門用)
- Di quella pira(『イル・トロヴァトーレ』)— 英雄的で技術と気迫が問われる名場面。
- Celeste Aida(『アイーダ』)— 美しい叙情と高音の持続が見もの。
- E lucevan le stelle(『トスカ』)— 内面の悲哀と声の色が際立つ。
- Vesti la giubba(『道化師』)などのヴェリズモ系(聴く機会があればぜひ)
おすすめリスト(入門・中級・コレクター向け)
- 入門:代表アリア集/ベスト盤(EMI / Decca 等の編集盤) — コレッリの“顔”を短時間で把握できます。
- 中級:イル・トロヴァトーレ/アイーダのライヴ録音 — ドラマ性と高音のスリルを体感できます。
- コレクター:複数年代のライブ音源を比較できる全集・複数枚組編集盤 — 声の変遷や舞台の即興性を深く楽しめます。
まとめ
フランコ・コレッリは「一聴してそれと分かる声」を持った歌手で、録音を通じてその魅力を何度も再発見できます。まずは代表アリア集で声の特徴をつかみ、次にイル・トロヴァトーレやアイーダなどの主要レパートリーのフル演奏で役としての厚みを味わうのがおすすめです。スタジオとライヴを比較すると、コレッリの表現の幅や舞台上での爆発力がより明確に分かるでしょう。
参考文献
Franco Corelli — Wikipedia
Franco Corelli — AllMusic
Opera News(検索でCorelli関連記事を参照)
Franco Corelli — Discogs(ディスコグラフィ検索)
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