ピノ・パラディーノ完全ガイド:必聴おすすめレコードとフレットレス・ベースの聴きどころ

はじめに — Pino Palladinoとは

ピノ・パラディーノ(Pino Palladino)はウェールズ出身のセッション/ツアー・ベーシスト。フレットレス・ベースを駆使したメロディックで歌うようなラインと、ジャンルを横断する柔軟なグルーヴ感で知られ、ポップ、ソウル、R&B、ロック、ジャズなど数多くの名盤に参加してきました。本稿では「ピノを知るためのおすすめレコード」を中心に、その聴きどころと彼の演奏的特徴を深掘りして紹介します。

おすすめレコード(代表作・名盤を深掘り)

  • Paul Young — No Parlez(1983)

    ピノにとって一躍注目を浴びた初期の大ヒット作。シングル「Wherever I Lay My Hat (That's My Home)」の低く歌うようなベース・ラインは彼の名を世に知らしめました。

    聴きどころ:この曲でのシンプルかつ表情豊かなフレットレスのニュアンスを耳で追ってください。音量は派手ではないものの、曲全体のムードを作る“声”としての役割が明確に聴き取れます。

  • D'Angelo — Voodoo(2000)

    モダンなネオソウルの金字塔。ピノはQuestloveやその他のプレイヤーとともに、温かくしなやかなグルーヴを支えています。特に「Untitled (How Does It Feel)」などでのベースは、楽曲の“呼吸”を作る重要な要素です。

    聴きどころ:フレーズの“間”や音の立ち上がり・減衰に注目。ピノのラインは単にルートを弾くだけでなく、スラップやソロを使わずにグルーヴを前へ押し出す方法を教えてくれます。

  • John Mayer Trio — Try!(2005)

    ジョン・メイヤー、スティーヴ・ジョーダンと組んだトリオ名義のライヴ盤。ピノのアンサンブル能力と即興でのレスポンス力が生きた演奏が多数収録されています。ブルース寄りのアレンジでベースの存在感が際立つ場面が多いです。

    聴きどころ:「Gravity」などのナンバーでは、ボーカルとギターの間を埋めつつ、シンプルなフレーズで曲のエモーションを下支えします。ライブならではのテンポ変化やダイナミクスに対する反応の速さを味わってください。

  • The Who — Endless Wire(2006)およびツアー録音

    ジョン・エントウィッスル亡き後、ピノはツアー・ベーシストとしてザ・フーに参加。2006年のスタジオ作「Endless Wire」でも彼のプレイが聴けます。伝説的ベーシストの後任という難しい立場で、楽曲の骨格を壊さずに自身の色を添える演奏を見せています。

    聴きどころ:エントウィッスルのオリジナル・ラインをリスペクトしつつ、スタジオ録音やライブでの微妙なアレンジの差を比較して聴くと、ピノの“曲を大事にする”プレイ感覚がよく分かります。

  • John Mayer — Continuum(2006)ほか(参加作)

    メイヤーのソロ作でもピノは重要な役割を果たしています。スタジオでの繊細なダイナミクス作りや、楽曲ごとに変化するタッチの使い分けが参考になります。

    聴きどころ:スタジオ録音ならではの繊細なニュアンス。ピノの音はミックスの中で“歌う”ことが多いので、ボーカルやギターのフレーズとどう絡んでいるかに注目してください。

さらに深く聴くためのポイント(演奏面の注目点)

  • 「声としてのベース」:ピノ最大の特徴は、ベースをメロディや歌と同じように扱うこと。ルートを支えるだけでなく、歌の補助線やカウンターメロディを作る場面が多いです。

  • 「フレットレスの表情」:ピノはフレットレスで知られる時期が長く、滑らかなグリッサンドや微妙なピッチの揺れを活かすことで、暖かく歌う音色を作ります。曲のニュアンスを豊かにする道具として使っている点に注目。

  • 「シンプルさと選球眼」:多くの曲でフレーズ自体は簡潔。だがその“どの音を抜くか・入れるか”の判断が楽曲の説得力を決めます。過剰な動きがなくとも引き込まれる理由はここにあります。

  • 「セッション力とアンサンブル」:名プレイヤーとの共演が多く、各楽器との空間と返答を重視したライン取りをします。ドラムやピアノとの対話を意識して聴くと面白いです。

おすすめの聴き方(どこを注目するとピノの凄さが分かるか)

  • 低域だけでなく中域の「歌い」の部分を追う:ベースの中域がメロディを支える場面が多いので、ミックスの中盤帯域にも耳を向けてください。

  • ボーカルのすぐ下で何をしているかを確認する:ベースがボーカルのフレーズに対してどんな補完・応答をしているかで彼の作法が見えます。

  • ライブ録音での即興レスポンス:ライヴではフレーズのバリエーションや応答の速さがわかります。Try!のようなライブ盤は特に学びが多いです。

ピノのプレイから学べること(ベーシスト以外のリスナーにも有益な視点)

  • 「曲を最優先にするアプローチ」:卓越した技術は持ちつつも、常に楽曲のための役割を優先する姿勢は、音楽制作やバンドワーク全般に応用できる教訓です。

  • 「声のある楽器」:どの楽器も“語る”ことができるという視点。ピノのベースはその典型で、楽曲内での語り口に注目すると音楽の聴き方が広がります。

さらに聴きたい人のための「参加作」リスト(抜粋)

  • Paul Young — No Parlez(1983)

  • D'Angelo — Voodoo(2000)

  • John Mayer Trio — Try!(2005) / John Mayer — Continuum(2006) 等

  • The Who — Endless Wire(2006)およびツアー音源

  • その他:エリック・クラプトンや多数のアーティストのセッション参加(クレジットは各作品で確認を)

最後に

ピノ・パラディーノは「聴くほどに発見がある」タイプのベーシストです。派手なソロは少ないものの、楽曲の血肉になるプレイは何度も繰り返し聴くことでその妙が分かります。まずは上で挙げた数枚をじっくり聴いて、ボーカルやギターと“会話”するベースの役割に意識を向けてみてください。

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