John Foxx入門:Ultravox〜MetamaticからCathedral Oceansまでの名盤と聴きどころ

プロフィール

John Foxx(本名 Dennis Leigh、1948年9月26日生まれ)は、イギリス出身の音楽家・作曲家・ヴィジュアル・アーティストです。1970年代初頭に結成されたバンド、Ultravox(初期メンバー)での活動を経て、1979年頃にソロへ転向。冷ややかで未来的なシンセ・サウンドを前面に押し出したソロ第1作『Metamatic』(1980年)は、ポストパンク/エレクトロの重要なマイルストーンとなりました。その後もアンビエントや現代音楽的要素を取り入れながら、視覚芸術と結び付いた多彩な作品群を発表しています。

キャリア概観

  • 初期・Ultravox期:Dennis Leigh 名義で活動を開始し、後に John Foxx としてステージネームを採用。Ultravox の初期作品群はグラムやパンク、初期の電子音楽的要素を併せ持つ実験的なサウンドでした。
  • ソロ初期(1980年代):メタマティックと称される冷徹な電子音響で独自の世界を提示。「Underpass」「No-One Driving」などのシングルでそのスタイルを確立しました。
  • 中期以降(1990年代〜):音楽制作と並行してヴィジュアル・アートの制作に力を入れ、1997年発表の『Cathedral Oceans』シリーズなどアンビエント寄りの作品を展開。1990年代後半以降はLouis Gordon や Benge らとのコラボレーション/ユニット(John Foxx + Louis Gordon、John Foxx and The Maths)で活動を再活性化させました。

代表曲・名盤(入門ガイド)

  • Ultravox 時代
    • 「Hiroshima Mon Amour」 — 初期 Ultravox を代表する楽曲で、Foxx の冷静なボーカルとシネマティックな構成が光ります。
    • 『Systems of Romance』 — Ultravox の中でも重要な転換点となったアルバム。後のエレクトロ・ポップへの架け橋的存在。
  • ソロ期
    • 『Metamatic』(1980) — 代表作。シンセベースのミニマルな音像とモノクロ的な都市イメージが特徴。「Underpass」「No-One Driving」などを収録。
    • 『The Garden』(1981) — Metamatic の機械的冷たさとは対照的に、より叙情的でメロディアスな面を見せる作品。
    • 『Cathedral Oceans』(1997 ほか) — アンビエント/環境音楽的な作品群。教会音響をイメージした重層的サウンドスケープが特徴で、視覚作品とも強く結び付いています。
    • John Foxx + Louis Gordon『Shifting City』(1997)など — 電子機器の温度感やリズム感を前面に出したコラボ作。
    • John Foxx and The Maths の諸作(2009年前後以降) — アナログ/モジュラー機材を駆使した現代的なエレクトロニクス作品。

音楽的特徴と魅力

John Foxx の音楽は一言で言えば「未来的な静けさ」と言えます。具体的には以下の要素が大きな魅力です。

  • ミニマルで計算されたシンセサウンド:余計な装飾をそぎ落とし、単純なフレーズやリズムの反復によって強いイメージを作り出します。
  • 都市と機械への眼差し:歌詞やサウンドは都市の孤独、機械/人工物との関係、時間の流れの不安定さなどを主題にすることが多く、聴き手に冷澄で映像的な情景を提示します。
  • 視覚芸術との融合:元々ヴィジュアル・アーティストであることから、アルバムアートワークやインスタレーション、映像表現と音楽が密接に結び付いています。音像だけでなく「空間」や「光景」を制作する感覚が強い。
  • ジャンル横断的な活動:ポストパンク、シンセポップ、アンビエント、実験音楽まで幅広く横断しており、一貫した美学のもとで多様な表現を行っています。

ライブと表現手法

Foxx のライブは単なる演奏の場ではなく、「音と光と空間」を組み合わせて世界観を再現する場です。近年はアナログ機材やモジュール・シンセを前面に出したライブも多く、演奏の生々しさと緻密な音作りが同居します。また、ライブでは過去作の新解釈(アンビエント版・リミックス的アプローチ)も行われ、作品を固定されたものにしない柔軟性も魅力です。

影響と評価

John Foxx の初期ソロ作品は、後のシンセポップ/エレクトロニック・ミュージックに大きな影響を与えました。特に80年代初頭のエレクトロ・シーンにおいては、彼の提示した「機械的で孤高な美学」が参照されることが多く、現在も多くのミュージシャンやリスナーに支持されています。批評的には、冷たさと詩的情緒を両立させる点が高く評価され、アンビエント期の作品群は音楽外の美術界隈からも注目を集めました。

聞きどころ・入門のすすめ

  • まずは『Metamatic』を聴く:John Foxx の基本がここにあります。シンセ・ポップの原型とも言えるシンプルさと鋭さを体感できます。
  • Ultravox の初期作品を聴いて背景を知る:Foxx がどのような文脈で音楽を作り始めたかが理解できます(例:「Hiroshima Mon Amour」など)。
  • アンビエント側も試す:『Cathedral Oceans』などで Foxx のもう一つの側面、空間描写の強さを味わってください。
  • コラボ作で現代的な再解釈を楽しむ:Louis Gordon や Benge との共作は、古典的なエレクトロ観を現代に接続する良い入門になります。

まとめ

John Foxx は単なるシンセ・ポップの作家ではなく、音と視覚を一体化させた表現者です。都市の風景、機械の律動、孤独な詩情――そうしたテーマを一貫して探究し続けてきた点に彼の独自性があります。初期の冷たい電子音から、アンビエントの広がり、近年のアナログ再評価まで、時代を通じて魅力を保ち続けるアーティストです。エレクトロニック音楽やヴィジュアル・アートに興味があるなら、ぜひその作品世界に触れてみてください。

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