デヴィッド・フォスターおすすめ名盤8選|プロデュースの聴きどころとアレンジ解説
David Fosterとは — 「ヒットメーカー」の軌跡
デヴィッド・フォスター(David Foster)はカナダ出身の作曲家/プロデューサー/アレンジャー。1970年代後半からアダルト・コンテンポラリー/ポップの世界で数多くのヒット曲と名盤を生み、シンガーやバンドの“商業的成功”を後押ししてきた人物です。ピアノ/キーボードを軸にした緻密でドラマティックなアレンジ、オーケストレーション的なストリングス使い、そしてメロディを最大限に活かすプロデュース手法が特徴です。
フォスター関連のおすすめレコード(深掘り)
Chicago — Chicago 16(1982)
なぜ聴くか:フォスターがプロデュースを担当し、バンドの商業的復活を果たした作品。代表曲「Hard to Say I'm Sorry」はピーター・セテラとの共作で、シンセとストリングスを織り交ぜたAOR的サウンドが完成されています。フォスターの“ポップな壮麗さ”がバンドのブラス・サウンドと融合した好例です。
聴きどころ:曲構成におけるクライマックスの作り方、ピアノ/ストリングスの重ね方、ボーカル(Cetera)の扱い方。バンド色を残しながらも親しみやすいラジオ・フレンドリーな仕上がりになっています。
Chicago — Chicago 17(1984)
なぜ聴くか:フォスター期の集大成とも言える商業的成功作。シングル「You're the Inspiration」などのバラード群はフォスターの“壮大なポップ・バラード”の典型で、80年代中盤の産業的ヒットメイキングを学ぶのに最適です。
聴きどころ:洗練されたプロダクション、コーラスの重ね、シンセの音作り。アルバム全体でのテンポ配分や、ヒット曲を際立たせるアルバム構成にも注目してください。
Earth, Wind & Fire — I Am(1979)
なぜ聴くか:このアルバムにはフォスターが共作に関わった「After the Love Has Gone」が収録されており、R&B/ファンク色の強いバンド・サウンドにフォスター流のメロディ志向が入った名曲です。フォスターはバラードだけでなくソングライティング面でもポップスに影響を与えています。
聴きどころ:リズム隊とホーン・アレンジの中に溶け込むバラードのメロディ。ストリングスやコード進行の抑揚がいかに楽曲の感情を押し上げるかを学べます。
Whitney Houston — The Bodyguard: Original Soundtrack Album(1992)
なぜ聴くか:映画サウンドトラック全体が商業的大ヒットを記録しましたが、フォスターが手がけたバラード「I Have Nothing」(共作)は、映画/サウンドトラックにおける大仰で美しいバラード作法を極めた1曲です。ホイットニーのボーカルを最大限に引き出すプロダクションは学ぶ価値大。
聴きどころ:ボーカルのダイナミクスを活かす空間作り、ストリングスやピアノの間の“余白”を活かした演出、ヴォーカルと伴奏のバランス感覚。
Céline Dion — Falling into You(1996)
なぜ聴くか:フォスターはセリーヌ・ディオンの大ヒット曲群の制作に深く関与しています。「Because You Loved Me」などの大作バラードを通じて、ポップ・スターとともに“世界規模のラブバラード”を作る手腕がよく分かります。
聴きどころ:壮大なストリングス、サビでの声の伸ばし方、イントロからクライマックスへの高低差の付け方。映画的なスケール感を持つプロダクションが特徴です。
Josh Groban — Josh Groban(2001)
なぜ聴くか:新人発掘・プロデュースとしてのフォスターの手腕が発揮された作品。クラシカル・ポップの方向性を商業的に成立させ、Grobanという市場を開拓しました。ヴォーカルの魅力を際立たせる編曲・選曲が学べます。
聴きどころ:声質に合わせたキー選び、管弦楽的アレンジの使いどころ、曲ごとの演出の差し込み方。新人の素材をどう磨いて完成に導くかが分かります。
Michael Bublé(セルフタイトル、あるいは It's Time 周辺)
なぜ聴くか:フォスターはBubléにも関わり、現代的なムード歌謡・スウィング味のあるポップを広めるのに貢献しました。伝統的なスタンダード・ソングと現代プロダクションの融合例として参考になります。
聴きどころ:ブラス/ストリングスの扱い、スウィング感とポップ感の両立、楽器間のバランス感覚。
David Foster — Hit Man: David Foster & Friends(ライブ/コンピレーション)
なぜ聴くか:フォスター自身のキャリアを俯瞰できるライブ/コンピレーション作品。彼が共演してきた歌手たち(セリーヌ、ホイットニー的な大物ではなくても)のパフォーマンスや、楽曲アプローチの幅が垣間見えます。プロデューサー視点での“楽曲の見せ方”が学べる一枚です。
聴きどころ:ライブでのアレンジ変更、スタジオ版との比較、フォスター自身のピアノ演奏やディレクション力。
各アルバムを聴くときのポイント(音作り以外)
メロディとハーモニーの関係性:フォスター作品はメロディが中心です。どのパートが主旋律か、和音進行でどう感情を増しているか注意して聴くと発見があります。
ダイナミクスの設計:曲の盛り上げ方(ビルドアップ)を楽器編成やコーラスでどう作っているかを分析してみてください。
ヴォーカルの魅せ方:フォスターはボーカルの強みを引き出すアレンジを得意とします。イントロ、間奏、サビでの声の見せ場の作り方に注目。
ジャンル横断力:R&B、AOR、ポップ、スタンダード系など様々なジャンルを手がけているため、同一人物の手法が異ジャンルでどう応用されているか対比して聴くと理解が深まります。
こんな人におすすめか
プロダクションやアレンジの“曲を飽きさせない演出”を学びたいミュージシャン/プロデューサー志望の人。
80〜90年代の大作ポップ/AOR/バラードの黄金期を楽しみたいリスナー。
シンガーの魅力を最大化する「支える音作り」に興味があるボーカリスト。
まとめ
デヴィッド・フォスターの魅力は「メロディを中心に据え、ドラマティックに見せる」プロダクションにあります。今回挙げた作品群は、その手法が最もストレートに現れたものばかりです。制作側の視点で聴くと、アレンジの小さな仕掛けや、楽曲ごとの細やかな配慮が発見でき、音楽理解が深まります。
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参考文献
- David Foster — Wikipedia
- Chicago 16 — Wikipedia
- Chicago 17 — Wikipedia
- I Am (Earth, Wind & Fire album) — Wikipedia
- The Bodyguard: Original Soundtrack Album — Wikipedia
- Falling into You — Céline Dion — Wikipedia
- Josh Groban (album) — Wikipedia
- Michael Bublé — Wikipedia
- After the Love Has Gone — Wikipedia
- I Have Nothing — Wikipedia


