Jeff Porcaro必聴レコードとグルーヴの聴き方:Rosanna Shuffle徹底解説+Toto/Boz Scaggs名盤ガイド

Jeff Porcaro — 概要と音楽的な位置づけ

Jeff Porcaro(1954–1992)は、Totoの創設メンバーであり、1970〜80年代のロサンゼルス・セッション・シーンを代表するドラマーです。限りなく「歌う」ようなグルーヴ感、絶妙なゴーストノート、そして一音一音に説得力のあるポケット感覚で幅広いジャンルの作品を支えました。本コラムでは、Porcaroの演奏を深く味わえるおすすめレコードを中心に、代表曲ごとの聴きどころや聴き方のポイントを掘り下げます。

おすすめレコード(必聴セレクション)

  • Toto — Toto (1978)

    Totoのデビュー作。バンドとしての演奏力とスタジオ・ミュージシャンとしての即戦力が混ざり合った作品で、Jeffのグルーヴがバンドの土台を支えます。

    おすすめ曲と聴きどころ:

    • Hold the Line — 彼のシンプルながら推進力のあるバックビートをじっくり聴くと、曲全体のテンポ感やダイナミクスの作り方が分かります。
    • Girl Goodbye — フィルやブレイクの処理、曲展開に合わせたタッチの切り替えに注目。
  • Toto — Toto IV (1982)

    商業的にも批評的にも大成功を収めたアルバム。Porcaroの名声を決定づけた1枚で、特に「Rosanna」はドラマーの教科書的トラックとして有名です。

    おすすめ曲と聴きどころ:

    • Rosanna — 「Rosanna Shuffle」と呼ばれる独特のシャッフル・グルーヴが聴きどころ。Purdie系のシャッフルに見られるスネアのゴーストノート、ハイハットのシンコペーション、バスドラのタイミングが複合して生まれる独特のスイング感を分解して聴いてみてください。
    • Africa — ドラムは派手さを抑えつつ全体をドライブ。タイトな手数と音色の選択で、楽曲の広がりを支えるプロフェッショナルな手腕が分かります。
  • Boz Scaggs — Silk Degrees (1976)

    Porcaroを一躍スタジオ界の“売れっ子”にした名盤。軽やかなファンク〜AORのグルーヴが詰まっており、彼の“ポケット”感が遺憾なく発揮されています。

    おすすめ曲と聴きどころ:

    • Lowdown — タイトでスモーキーなグルーヴが曲全体を牽引する代表例。手数は多くないが、打点やアクセント位置の正確さでグルーヴが決まる好例。
    • Lido Shuffle — ツブ立ちの良いスネアとスウィング感でダンス感を生む構成。小さなディテール(シンコペーション、ゴーストノート)に注目。
  • Toto — Hydra(1979)/Turn Back(1981)

    Totoの発展過程が追えるアルバム群。実験的なアレンジやロック寄りの曲もあり、Porcaroの幅の広さ(ロック、ファンク、ソウル的な感覚)を確認できます。

    おすすめ曲:スローナンバーのダイナミクス処理、複雑なフィル回し、楽曲ごとのタッチの変化を聴き比べてみてください。

セッションワークを楽しむための聴き方ガイド

Jeff Porcaroのすごさは「派手さ」ではなく「精度と音楽性」にあります。以下のポイントで聴くと彼の真価がよく分かります。

  • ポケット(ポケットに入る=グルーヴが体の中にすっと入ってくる感覚)を意識して聴く。スネアのゴーストノートやバスドラムの“遅れ”が生むスイング感を探してください。
  • 小さなディテールを追う。シンコペーションのアクセントやハイハットのオープン具合、フィルの“余白”が曲を動かす部分です。
  • 曲ごとの役割分担を見る。Porcaroはソロを取って自己主張するタイプではなく、歌やアレンジを引き立てることを第一にしています。伴奏としての“抑制された技術”を評価しましょう。
  • コンテクストで聴く。例えば同じシャッフルでも、Totoのロック曲とBoz Scaggsのファンク調では目的が違います。どの音が前に出てどれが支えるかを比較してみてください。

代表的なテクニック解説(Rosanna Shuffle を中心に)

「Rosanna Shuffle」はPorcaroの代名詞的なグルーヴです。ざっくり分解すると以下の要素が組み合わさっています。

  • シャッフル感の基礎:3連のノリをベースにしたスウィング
  • ハイハットの細かな開閉で刻むシンコペーション
  • スネアのゴーストノートで作る「裏拍の密度」— これがグルーヴの“空気感”を作る
  • バスドラムの配置はタイトで無駄がなく、楽曲のキックに対する明確なアクセントを付ける

教科書的な分解はできますが、実際のグルーヴは「音の間(スペース)」や手の重さ、タイミングの微妙なずれ(人間味)に宿ります。Porcaroはその微妙な遅れと音圧の調整が非常に巧みでした。

聞き比べと発見のための実践的なアドバイス

  • 同じ曲のライブ音源や別ミックス(デモ、リマスター)と比較して、スタジオ録音でのタイトさや音色の選び方を確認する。
  • ヘッドフォンでスネアの裏側(ゴーストノート)を探す。大掛かりなフレーズよりも細かい粒の揃い方がPorcaroの特徴です。
  • ベースラインとの関係を意識する。Porcaroはベーシストと“呼吸”を合わせることでグルーヴを作ります。

Porcaroの遺した影響とまとめ

Jeff Porcaroは「どう叩くか」以上に「何を選んで叩かないか」という選択眼で多くの楽曲を完成させました。派手な派手なテクニックをひけらかすタイプではなく、音楽全体のために最適なビートを提供するという姿勢が、彼を現代のドラミング史における重要人物にしています。Totoの名曲やBoz Scaggsのグルーヴは、その代表例として何度でも聴き返す価値があります。

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参考文献