Dianne Reevesの必聴レコード5枚|選び方と聴きどころを徹底ガイド
Dianne Reeves — ジャズ・ヴォーカルの深淵に触れる
Dianne Reeves(ダイアン・リーブス)は、幅広いレパートリーと卓越した即興力で知られるアメリカのジャズ・シンガーです。クラシックなスタンダードからブラジル音楽、R&B 的なグルーヴまで自在に歌い分け、その声の柔軟さとタイム感、スキャットの確かさは多くのリスナーとミュージシャンに影響を与えてきました。本コラムでは「レコードで聴くべき」おすすめアルバムを厳選して紹介し、それぞれの聴きどころを深掘りしていきます。
おすすめレコード(厳選)
In the Moment — Live in Concert
ライブ録音ならではのエネルギーと、リーブスの即興表現が圧倒的に楽しめる一枚。観客とのリアクションや演奏陣とのインタープレイがダイレクトに伝わり、フレーズの反復や伸ばし方、瞬間的なメロディ創出(スキャットやコール&レスポンス)の迫力が味わえます。レパートリーの選曲も多彩で、バラードからアップテンポのジャズナンバー、時にはブラジル音楽の色合いまで自然に横断します。
聴きどころ:ライブならではの瞬間芸(ロングトーンやスキャットの展開)、イントロの余白を活かしたフレーズ造形、バンドとの呼吸。
The Calling: Celebrating Sarah Vaughan
サラ・ヴォーンへのオマージュ作品。ヴォーンのレパートリーや歌唱スタイルからインスパイアされた解釈を、現代の感性で再構築しています。原曲へのリスペクトを保ちつつも、リーブス自身の音楽的語彙(タイムの取り方、音色の揺らし、フレーズの再構成)が明確に出るので、カバー集としての楽しさに加えて、解釈の違いを聴き比べる醍醐味があります。
聴きどころ:ヴォーンの世界観とリーブスの声の対比、情緒の組み立て方、ダイナミクスのコントロール。
Beautiful Life
比較的新しい作品で、モダンなプロダクションと伝統的ジャズのバランスが取れた一枚。オーガニックな伴奏に乗るリーブスの語りかけるような歌唱は、アルバム全体を通じて統一感を感じさせます。ポップ寄りのサウンドメイクやコンテンポラリーなアレンジが導入されているため、ジャズの初心者にも入りやすい作りです。
聴きどころ:歌詞の語り出し、モダン・アレンジでのフレーズ処理、声のテクスチャーに注目。
I Remember(あるいは初期の代表作)
初期の録音群は、リーブスがジャズ歌手としての基礎を築いた時期を映し出します。スタンダードへの取り組みや、若い時期のヴォーカルの純度・挑戦が感じられる作品が多く、以降の表現の基盤を知るうえで重要です。演奏はコンパクトで、歌唱そのものの鮮やかさが前面に出ます。
聴きどころ:原曲へのアプローチの仕方、フレーズ構成の原型、若き日の表現欲。
セルフタイトル作(Dianne Reeves 等)
セルフタイトルのアルバムはアーティストの「自己表現」を強く意識した作りになっていることが多く、リーブスの場合も例外ではありません。プロダクション、選曲、アレンジの全てが彼女の音楽観を反映しており、彼女の多面性(スタンダード、ブラジル曲、ソウルフルな曲など)を一度に把握するのに適しています。
聴きどころ:アルバム全体を通したコンセプト、ジャンル横断性、声の色の使い分け。
各アルバムの楽しみ方(聴きどころを深掘り)
呼吸とポーズを聴く — リーブスは「歌わない瞬間」を効果的に使ってフレーズを生かします。フレーズの終わりや歌と歌の合い間の小さな沈黙(ポーズ)に注意すると、表情の付け方やドラマ性がより明瞭になります。
スキャットとメロディの再構築 — 即興歌唱(スキャット)は単なる技巧の披露ではなく、バンドと会話するための道具です。音の選択、リズムの変化、フレーズの呼応に注目すると、彼女のミュージシャンシップがよく分かります。
アレンジとハーモニーに耳を傾ける — トリオ編成のミニマルな伴奏から、ストリングスやホーンを用いた豪華なアレンジまで幅広く扱います。シンプルな伴奏の中での声の余白感、対して厚みのある編成でのダイナミズムの違いを比較してみてください。
レパートリーの幅を楽しむ — スタンダード、ブラジル音楽、モダンなオリジナルまで、多彩なジャンルが混在します。異なる曲順でアルバムを聴き比べると、曲ごとの歌い方や感情表現の違いが際立ちます。
代表曲(聴いておきたいレパートリー)
以下はリーブスのレパートリーでしばしば登場し、彼女の歌唱スタイルをよく表す曲の例です(オリジナル録音かカバーかはアルバムによって異なります)。これらを通じて彼女の表現の幅を感じてください。
- Misty、My Funny Valentine、Summertime といったスタンダード
- ブラジル音楽のスタンダード(ボサノヴァやMPBの解釈)
- スロー・バラード系の情緒的なナンバー
- アップテンポでのスキャット・ナンバー
はじめての一枚の選び方・聴き進め方
- まずはライブ盤(In the Moment 等)でリーブスの「現場力」を体感するのをおすすめします。ライブは彼女の即興性と観客への語りかけがストレートに伝わります。
- 次にトリビュート系(The Calling 等)で解釈の深さを確認すると、彼女の音楽的ルーツとアプローチが見えてきます。
- その後、モダンなプロダクションの作品(Beautiful Life 等)で現在の表現を追い、過去作と比較して変遷を楽しんでください。
買う/聴くときのちょっとした観点(音楽的に注目すべき点)
- イントロや間奏での短いモチーフが、歌のフレーズにどう繋がるかを追うと、フレージングの構造が分かります。
- 伴奏との「余白」の使い方。音を入れない瞬間が多いほど、声の持つ力が伝わりやすくなります。
- 録音の年代による音色の違い(プロダクションの傾向)も鑑賞ポイント。古めの録音はマイクワークやアレンジの素朴さが魅力です。
まとめ
Dianne Reeves はテクニックの豊かさだけでなく、「歌うことの意味」を常に再定義しているアーティストです。ライブでの瞬間的な美しさ、トリビュートでの解釈力、モダン作品でのサウンド感……いずれもレコードで聴くと味わい深さが増します。まずは一枚をじっくりと繰り返し聴き、その上で異なる作品を比較してみてください。リーブスの奥行きが少しずつ見えてくるはずです。
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