The Rootsの名盤LPを徹底解説|深掘りコラムで選ぶおすすめアルバム
The Roots おすすめレコード — 深掘りコラム
The Roots は生楽器を前面に押し出したヒップホップ・バンドとして1990年代半ばから現在までシーンを牽引してきました。本稿では、バンドの音楽的変遷や聴きどころを踏まえつつ、レコード(LP)で所有する価値の高いおすすめアルバムをピックアップして深掘りします。各作品の音楽的特徴、アルバム単位での聴きどころ、代表曲を中心に解説します(再生・保管・メンテナンスに関する技術的な説明は含めません)。
Organix(1993)
インディーズ期のセルフリリース作。ラップとジャズ/ソウルの生演奏がまだぎこちなく混ざり合っている初期の姿を知るうえで貴重な一枚です。実験性と若さが反映されたアレンジ、バンドとしての息づかいが感じられます。
- おすすめポイント:The Roots の“生バンド”としての原点が詰まっている。初期の楽曲構造やブラック・ミュージック的なアプローチがダイレクトに聴ける。
- 代表曲:バンドのライブで今でも題材になるような初期楽曲群(アルバム全体で雰囲気を掴むことを推奨)
- LPでの聴きどころ:生ドラムやブラスの存在感、アンサンブルの粗いけれど熱量ある瞬間。
Do You Want More?!!!??!(1995)
ジャズ~ソウルの直接的な引用とヒップホップ的なビート感を融合させた名作。サンプリングに頼らず生演奏を核にしたアプローチが強まり、テクスチャーの豊かなアルバムです。
- おすすめポイント:ジャズ志向のインストやブレイクの使い方が巧みで、アルバム全体の流れが非常に聴き応えがある。
- 代表曲:バンドサウンドを前面に出したナンバー、アルバムの流れで聴くのが良い。
- LPでの聴きどころ:細かな演奏表現や空気感が良く出るため、バンドの「演奏」を味わいたい人向け。
Illadelph Halflife(1996)
サウンドがよりダークでヘビーになり、社会的・都市的テーマを扱うトーンが強まった作品。メンバーのライミングとバンドアンサンブルがより結びつき、表現の幅が拡がります。
- おすすめポイント:攻撃的で重厚なトラック構成、リリックの緊張感。バンドとしての輪郭が明確になる時期。
- 代表曲:アルバムを象徴する強い曲調の数曲(アルバム通して雰囲気を体験するのが良い)。
- LPでの聴きどころ:ローエンドの押し出しやドラムのタイトさ、ベースラインの存在感が魅力。
Things Fall Apart(1999)
The Roots の商業的ブレイク作であり、バンドとしての完成度が高まった作品。ストーリーテリングや人間ドラマを含むリリック、緻密なバンドアレンジが同居しています。ここから広い層への認知が進みました。
- おすすめポイント:バンドの表現力とポップセンスが融合した完成度の高いアルバム。ヒップホップのアルバム構成の見本とも言える。
- 代表曲:「You Got Me」や「The Next Movement」など、シングル・ライブともに強い楽曲を収録。
- LPでの聴きどころ:ヴォーカルとバンドの掛け合い、アルバム構成(曲間の流れ)をLPで通して聴くと発見が多い。
Phrenology(2002)
ジャンル横断的で実験的な試みが際立つ作品。ロック、ソウル、ファンク、電子音楽的な要素も取り込みつつ、ヒップホップの核を保った挑戦的なサウンドが特徴です。
- おすすめポイント:多彩なサウンドスケープとポップな楽曲が同居。バンドの柔軟性が聴ける。
- 代表曲:「The Seed (2.0)」はロック色とソウルが混ざった名曲で、アルバムの象徴的存在。
- LPでの聴きどころ:ギターやストリングスの質感、曲ごとのダイナミクスの振れ幅。
The Tipping Point(2004)/Game Theory(2006)
2000年代中盤の2作品は、それぞれ異なる方向性を持ちながらバンドの多面性を示しました。『The Tipping Point』はよりソウルフルでメロディアスな面、そして『Game Theory』はライミング/リリカル面での強さや社会観を押し出した作品として位置づけられます。
- おすすめポイント:ポップ性とアンダーグラウンド感のバランス、リリックの深さ。
- 代表曲:各アルバムからのシングル曲やコアな楽曲群が魅力。
- LPでの聴きどころ:メロディラインや歌心の強い曲はLPでの余韻が美しい。
How I Got Over(2010)
一転して内省的かつ抑制の利いた名盤。ゴスペル/ソウルの影響を感じさせる温かいアレンジが特徴で、批評家からの評価も高い作品です。歌とアンサンブルのバランス、空間の作り方に成熟を感じます。
- おすすめポイント:静かながらもエモーショナルな表現、歌の存在感。
- 代表曲:アルバム全体を通じた物語性や空気感が魅力で、曲単位より通しでの鑑賞を推奨。
- LPでの聴きどころ:繊細なコーラスやアコースティックな音色の温かさ。
Undun(2011)
コンセプトアルバムとして高い評価を受けた一作。物語性のある構成と、サウンドデザインの緻密さが特徴で、ヒップホップという枠組みを越えてアルバム芸術として楽しめます。間奏やインストが効果的に使われ、通して聴くことで強い没入感が得られます。
- おすすめポイント:一つの物語を音楽で描く完成度の高さ。叙情性と悲哀が同居する。
- 代表曲:アルバム全体が一つのドラマになっているため、曲を追って聴く構成が推奨される。
- LPでの聴きどころ:サウンドスケープの細部、アルバム構成の起伏をLPで体験すると深みが増す。
…And Then You Shoot Your Cousin(2014)
ダブルアルバムでブラック・アメリカンの暴力やエンターテインメント文化を風刺的に描いた挑発的な作品。コンセプチュアルでありながらサウンドの幅も広く、議論を喚起する内容です。
- おすすめポイント:社会批評性とアート志向の強さ、実験的なサウンド。
- 代表曲:複数のキャラクターや視点を巡る楽曲群が並ぶ。
- LPでの聴きどころ:物語構築のための演出や声の配置、トラックの繋がり。
所有/購入時の選び方(アルバム視点でのアドバイス)
どの作品をLPで揃えるかは「何を聴きたいか」によります。以下は選び方の目安です。
- バンドとしての演奏力やジャズ色を楽しみたい:初期〜中期(Organix/Do You Want More?/Illadelph Halflife)
- ヒット曲やバンドの代表作を一枚で味わいたい:Things Fall Apart
- ロックやポップ寄りの実験性を楽しみたい:Phrenology
- アルバム単位の物語性やコンセプト作品を深く味わいたい:Undun、…And Then You Shoot Your Cousin
- 静かな歌心や成熟した表現を聴きたい:How I Got Over
まとめ
The Roots はアルバムごとに表情を変え続けるバンドです。生演奏主体のサウンド、リリシズム、コンセプト作の巧みさなど、LPで所有することでアルバム単位の構成美や演奏の生々しさがより深く味わえます。まずは自分が何を重視するか(演奏力、代表曲、実験性、物語性)を軸に一枚選んでみてください。聴き進めるほどにバンドの幅広さと奥行きを発見できるはずです。
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