Cluster(クラスタ)の名盤ガイド—おすすめアルバムと聴き方・収集ポイントを徹底解説
Clusterとは
Cluster(クラスター)は、ハンス=ヨアヒム・ローデリウス(Hans-Joachim Roedelius)とディーター・メビウス(Dieter Moebius)を中心としたドイツの電子音楽ユニットです。1969年頃の初期は「Kluster」としてより即興的でノイズ寄りの実験を行い、その後「Cluster」として機械的・牧歌的・抽象的な電子音響を探求しました。コンニィ・プランクらプロデューサーやブライアン・イーノとの共作を通じて、アンビエント/エレクトロニカ/クラウトロック/実験音楽の重要な分岐点を作り出しました。
おすすめレコード(厳選)
Zuckerzeit(1974)
Cluster の“メロディとリズム”への転換点。ドラムマシンやリズミックなパターンを取り入れ、実験性とポップ感覚のバランスを保った作品です。アヴァンでありながら聴きやすく、クラウト〜電子ポップの橋渡しをする名盤として評価されています。
- 聴きどころ:機械的なリズムに乗る簡潔なフレーズと、時折見せる幽玄なメロディ。
- おすすめ盤:オリジナルのドイツ盤を狙うコレクターも多いですが、近年のリマスター再発で音質が改善された盤も聴きやすいです。
Sowiesoso(1976)
より牧歌的で温かみのあるサウンドが特徴。コンニィ・プランクが関わったプロダクションの質感と、ローデリウスの持つ美しいメロディラインが際立ちます。アンビエント寄りの静謐なトラックと、抑えめの電子音響の織り成す世界が楽しめます。
- 聴きどころ:穏やかなシンセの層、自然を思わせる音像。初めてClusterを聴く人にも入りやすい1枚。
- おすすめ盤:オリジナルLP・CD再発ともに入手しやすい作品です。
Cluster & Eno(1977)
ブライアン・イーノとの共作で、Cluster の音世界にイーノ流のアンビエント的感性が融合。コズミックで浮遊感のあるテクスチャーが特徴で、実験的ながらも構造的にまとまった楽曲群が並びます。イーノの音響処理とClusterの即興的発想が相互作用する重要作です。
- 聴きどころ:抽象的なサウンドスケープとメロディの断片が交錯するところ。アンビエントや実験音楽のファンに強く薦められます。
- おすすめ盤:イーノ名義のファンも含めて広く再発されているため、良いマスターからの再発盤を選ぶと良いでしょう。
After the Heat(1978)
イーノとのセッションを経てさらに洗練された構成力が見られる作品。実験性とメロディアスな側面がより統合され、長尺の叙情的トラックから短めの音響スケッチまで幅広い表情を持ちます。Cluster と Eno の共作群の中でも重要な位置を占めるアルバムです。
- 聴きどころ:テクスチャーの重なりと流れ、空間を演出するプロダクション。
- おすすめ盤:オリジナルと良好なリマスター盤の両方に価値があります。
Großes Wasser(1979)
よりダイナミックで構築的な側面が前面に出た意欲作。長尺の組曲的なトラックや、ドラマティックな起伏を持つ音世界が堪能できます。クラシカルな構成感と電子音響の融合が印象的です。
- 聴きどころ:音像のスケール感と起伏、アーキテクチャ的な楽曲構成。
- おすすめ盤:当時のLPは高値になることがあるので、信頼できる再発での入手も現実的です。
Curiosum(1981)
80年代初頭のエレクトロニック/ニューウェーブ的な影響を感じさせる、比較的短いフレーズと直線的なエレクトロニクスが目立つ作品。Clusterの経歴における一つの転換を示すアルバムとして聴き応えがあります。
- 聴きどころ:簡潔なモチーフの反復と、ミニマルな快感。
Qua(2009)
長年のブランクを経ての再結成作。往年のClusterらしさを保ちながらも現代的な音作りを取り入れた作品で、復帰作として好評を得ました。往年のファンにも新規リスナーにも薦められる1枚です。
- 聴きどころ:成熟したサウンドメイクと過去作への参照、しかし新鮮な視点。
各アルバムの楽しみ方・聴きどころの深掘り
初めて触れる人:まずは「Sowiesoso」や「Zuckerzeit」から。メロディが掴みやすく、Cluster の多面性が分かりやすく出ています。
アンビエント/実験好き:「Cluster & Eno」「After the Heat」をじっくり。音の余白やテクスチャーの変化に耳を澄ませると、制作時のプロセスが見えてきます。
構築性を味わいたい人:「Großes Wasser」で楽曲の起伏と音像のスケール感を体験してください。アルバム全体を通して聴くことで深みが増します。
新作志向のリスナー:「Qua」はClusterの伝統を継承しながら現在の視点を取り入れた作品。過去作と合わせて聴くと変遷が分かりやすいです。
コレクションの探し方と注意点(盤選びの視点)
オリジナル盤 vs 再発盤:オリジナルのアナログ盤は音色やマニア的価値が高いですが、盤状態や針音の有無が問題になる場合があります。リマスター再発は音像が整えられていることが多く、日常的に聴くには実用的です。
プロダクション表記を見る:Conny Plank の関与や共作者(Brian Eno)名がクレジットされているかで音の性質が想像できます。クレジットを確認して好みのサウンドを選びましょう。
版権やジャケット違い:EU盤、米盤、後年のCDブート等で収録曲順やトラックタイムが異なる場合があります。購入前にトラックリストを確認することをおすすめします。
試聴のすすめ:店舗やストリーミングで気になるアルバムをまず丸ごと聴いてから購入を判断すると失敗が少ないです。Cluster はアルバム単位での体験に価値があるため、ワンショットでの曲単位評価は片手落ちになることがあります。
おすすめのリスニング環境・プレイ順の提案
Cluster の魅力は音の「余白」と「変化」にあります。静かな環境でアルバムを通して再生するのが基本です。入門順としては(1)Sowiesoso →(2)Zuckerzeit →(3)Cluster & Eno →(4)After the Heat →(5)Großes Wasser、そして近作「Qua」を最後に聴くことで、彼らの音楽的変遷と一貫性を感じ取れます。
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