壁紙として使われるクロスとは?種類・特徴・選び方をわかりやすく解説

1. クロスとは?

クロスとは、住宅の壁や天井に貼られる「壁紙」のことです。
建築・内装業界では「壁紙」のことを一般的に「クロス」と呼び、
仕上材として最も普及している内装材のひとつです。

クロスは、下地の石膏ボードの上に接着剤で貼り付けて仕上げる材料で、
色柄・機能性・価格帯のバリエーションが非常に広く、
部屋の雰囲気づくりに大きな役割を持ちます。


2. クロスの主な素材

2-1. ビニールクロス(塩ビクロス)

日本の住宅で最も普及しているタイプ。
表面が塩化ビニル樹脂でできており、耐久性とコスパが高い万能型です。

特徴

  • 汚れに強い
  • 水拭きができる
  • デザインが豊富
  • コストが安い
  • 防カビ・消臭・抗菌などの機能付きタイプも多い

キッチン、トイレ、リビング、寝室などオールマイティに使われます。

2-2. 織物クロス

麻、綿、レーヨンなどの織物を使用した高級壁紙。

特徴

  • 高級感がある
  • 調湿性がある
  • 質感が豊か

ホテルやモデルルームなどで使われますが、
汚れやすく施工も難しいため、一般住宅では部分的に使われます。

2-3. 紙クロス

パルプを原料にした自然素材の壁紙。
輸入クロスに多く、北欧・欧米の住宅で多用されます。

特徴

  • ナチュラルで優しい質感
  • 環境負荷が小さい
  • デザイン性が高い

ただし、耐水性が弱く、日本の湿気環境では扱いに注意が必要です。

2-4. 珪藻土・和紙調クロス

機能性とデザイン性を兼ね備えた特殊クロス。

特徴

  • 調湿効果
  • 消臭効果
  • 和風・自然素材の雰囲気

和室やトイレ・玄関などアクセントに使われます。


3. クロスの主な機能性タイプ

現代のクロスには、用途に応じた機能を持つものが多数あります。

  • 汚れ防止クロス:皮脂や油がつきにくい
  • 消臭クロス:成分が匂いを吸着
  • 抗菌クロス:細菌の繁殖を抑制
  • 防カビクロス:湿気に強い
  • 吸放湿クロス:湿度に応じて吸湿・放湿
  • 耐傷クロス:ペットのひっかき傷に強い
  • マグネット対応クロス:下地に専用シートを入れると磁石使用可

生活スタイルに合わせて選ぶと、家の使い勝手が向上します。


4. クロスの施工方法と仕組み

4-1. 下地は石膏ボード

新築・リフォームともに、壁の下地は石膏ボードが一般的。
パテで継ぎ目をならし、平滑な面をつくってからクロスを貼ります。

4-2. 糊(接着剤)で貼る

専用の糊を裏面に塗り、職人が施工。
シワや気泡を出さないための技術が必要です。

4-3. 巾木・廻縁・枠との取り合い

  • 巾木(床との境目)
  • 廻縁(天井との境目)
  • 窓枠・建具枠

これらをうまく納めることが仕上がりの美しさに直結します。


5. クロスのメリット

  • 低コストで空間デザインを変えられる
  • 無数の色柄があるためインテリア性が高い
  • 施工が早い(1〜2日で貼り替え可能)
  • 清掃性・耐久性が高いタイプも多い
  • 様々な機能クロスで生活の悩みを改善できる

6. クロスのデメリット

  • 経年で継ぎ目が開く可能性
  • 日光で黄ばむ・変色することがある
  • 引っかき傷がつくことがある
  • 湿度や下地の施工精度で仕上がりが左右される

特に築年数が経つと下地の動きにより、
クロスの継ぎ目が割れたり浮いたりすることがあります。


7. クロス選びのポイント

  • 部屋の用途に合わせる
    • トイレ→消臭・防カビ
    • リビング→デザイン性
    • 子ども部屋→耐久・抗菌
  • アクセントクロスを活用する
    一面だけ色柄を変えると空間にリズムが生まれる。
  • メンテナンス性を考える
    ペットや子どもがいる家庭では耐傷クロスが便利。
  • 予算とのバランス
    ビニールクロスは最もコスパが高い。

8. まとめ

クロスとは、住宅の壁や天井に使われる「壁紙」で、
デザイン性・機能性・施工性のバランスに優れた仕上材です。

種類や機能が豊富なので、
部屋の用途や生活スタイルに合わせることで、
快適で美しい空間をつくることができます。


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