ジェイソン・ベッカーの生涯と必聴アルバム全集:Cacophony から Perspective まで

イントロダクション

Jason Becker(ジェイソン・ベッカー)は、1980年代後半から卓越したテクニックと作曲センスで注目を浴びたギタリスト/作曲家です。若くして超絶的な速弾きで名を馳せた一方、病気(ALS)の発症後もコンピュータ支援を得て創作を続け、その音楽的軌跡は「テクニック」と「表現力」が両立する稀有な例として高く評価されています。本稿では、ビギナーからコレクターまでに勧めたい代表的なレコードを深掘りし、それぞれが持つ聴きどころや背景、楽しみ方を解説します。

Jason Becker を知るための簡単な背景

  • 1980年代:Marty Friedman と組んだユニット「Cacophony」でデビュー。超絶ギターテクニックと複雑なアレンジメントで注目。

  • ソロ活動:若くして発表したソロ作はギタリスト向けの名盤とされる一方、メロディや構成力も評価されています。

  • ALS 発症後:演奏が難しくなった後も作曲家として活動を継続。コンピュータや他ミュージシャンの協力を得てリリース/実現した作品群は、創作の意志と音楽性の深化を示します。

おすすめレコード(必聴5+α)

  • Cacophony — Speed Metal Symphony (1987)

    Becker と Marty Friedman のツインリードが炸裂するデビュー作。クラシカルな要素とメタルの速さを融合させた楽曲群は、テクニカル・ギターの金字塔的作品です。ギター・バトル、複雑なハーモニー、意外性のある曲構成を初めて体験するには最適。

    聴きどころ:二人のツイン・リードの絡み、クラシカルなフレーズを取り込んだソロ・ワーク。

  • Cacophony — Go Off! (1988)

    前作の延長線上にありつつも、さらに演奏面・アレンジ面での遊びが増した2作目。より楽曲志向が強まり、オーディエンスに向けた表現の幅が広がっています。

    聴きどころ:テクニカルさと楽曲のメロディアスさのバランス、2ギターの相互作用。

  • Jason Becker — Perpetual Burn (1988)

    Becker のソロ・デビュー作。ギター・インスト中心の構成で、彼の技巧だけでなくメロディ・構成力がしっかり示されています。若き日の“ギタリストとしての個性”が色濃く出た一枚で、テクニカル系ギタリストのバイブル的存在です。

    聴きどころ:タイトル曲をはじめとする緻密なソロ、曲ごとのダイナミクスの使い分け。

  • Jason Becker — Perspective (1996)

    ALS 発症後の創作が明確に表れた作品。ギター・ヒーロー像を超えて、作曲家としての幅を示すアルバムで、フュージョンやオーケストラ的なアプローチ、静かな叙情性などが特徴です。演奏中心の初期作とは違い“音楽”そのものを深く味わえる一枚。

    聴きどころ:メロディの美しさ、編曲の工夫、ギター以外の楽器の活かし方。

  • Jason Becker — Triumphant Hearts (2018)

    Becker が生み出したスケッチや楽曲を他のミュージシャンが協力して完成させた近年のプロジェクト。彼の作曲センスとメロディアスな側面が現代的なプロダクションと結びつき、新旧のファン双方に訴える作品です。本人の創作の連続性と、周囲の支援による“実現のドラマ”も含めて聴く価値があります。

    聴きどころ:原曲の芯を保ちながら現代的に編まれたアレンジ、楽曲ごとの表現の幅。

  • ボーナス — The Raspberry Jams (デモ/アウトテイク集)

    素材集的なコンピレーションで、制作過程や未完成のスケッチを見ることができます。Becker の創作プロセス、アイディアの萌芽を垣間見るのに最適。

    聴きどころ:原曲のラフバージョン、アイディアの発展過程。

各作品をどう楽しむか(聴きどころと聴く順)

  • 入門〜テクニカル志向のリスナー:まずは Cacophony(Speed Metal Symphony → Go Off!)、続いて Perpetual Burn。ギター・テクニックと二人の掛け合いを純粋に楽しめます。

  • 作曲・音楽性に注目したいリスナー:Perspective → Triumphant Hearts → Raspberry Jams の順が分かりやすい。ビルドアップされた作曲力とアレンジ力の変遷が聴き取れます。

  • ドキュメンタリーや背景と合わせて:彼の人生史(ALS 発症と創作継続)を知ると、後期の作品の聴こえ方が変わります。音楽だけでなく彼の克服と協働の物語としても味わってください。

音楽的意義と影響

Becker の音楽は、単なる速弾きの見本に留まらず、若年期から既に構成力やハーモニー感覚が豊かでした。Cacophony 時代の“速さと技巧”は多くのギタリストに影響を与え、ソロ期以降の成熟したメロディックな作風は作曲家としての地位を確立しました。ALS 後も制作を続ける姿勢は、多くのミュージシャンやファンにとってインスピレーションの源となっています。

レコード/盤を選ぶ際のちょっとした指針(内容に関する注意点)

  • 初期の Cacophony や Perpetual Burn は複数のフォーマット/リイシューが存在します。オリジナルの音色やミックスを重視する場合は初期盤、音質改善やボーナストラックを楽しみたい場合はリマスター盤や拡張版を検討すると良いでしょう。

  • Triumphant Hearts のような近年作は、参加ミュージシャンやプロダクションの違いが作品の印象を左右します。作品ごとに制作背景を調べて聴くと発見が増えます。

最後に:どこから聴き始めるか?

ギター中心の高揚感を求めるなら「Speed Metal Symphony → Perpetual Burn」、音楽的深みや感情表現を味わいたいなら「Perspective → Triumphant Hearts」がおすすめです。どの作品にも Jason Becker の固有の「メロディ性」と「音楽に向かう真摯さ」があるため、複数作を通して聴くことで彼の全体像が見えてきます。

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参考文献