The Breeders アルバム徹底解説:聴きどころと初回プレス・リマスターの選び方
The Breedersとは
The Breeders(ザ・ブリーダーズ)は、Pixies のベーシストとして知られるキム・ディール(Kim Deal)を中心に結成されたオルタナ/インディ・ロック・バンドです。1990年代初頭の米英インディ・シーンで独自の存在感を放ち、ローファイな感触とポップなメロディ、それに少しひねくれたアレンジが同居するサウンドで多くのリスナーを獲得しました。コア・メンバーとしてはキム・ディール、ケリー・ディール、ジョセフィン・ウィッグス、ジム・マクファーソンらが知られています。
おすすめレコード(総論)
The Breeders をレコードで楽しむなら、代表的なスタジオ・アルバムを軸に揃えるのが基本です。各アルバムは制作背景や音像が大きく異なるため、アルバムごとの「聴きどころ」と「どのプレスを狙うか」を押さえるとコレクションの満足度が上がります。以下では主要作を深掘りしていきます。
Pod(1990)
概要:デビュー作にあたるアルバム。スティーヴ・アルビニ(Steve Albini)が録音に関わったことでも知られ、乾いた生々しい音像と、実験的で緊張感のあるアレンジが特徴です。
- 聴きどころ:ミニマルで剥き出しのバンド・サウンド、キムの声と不協和なギターの対比。ポストパンク〜オルタナ的な緊張感を味わえます。
- 代表曲(収録曲の雰囲気を示す):アルバム全体が一つの世界観なので、曲ごとの完成度よりも通して聴くのがおすすめ。
- プレス選び:オリジナルの初版(4AD レーベルの初回プレス)はコレクター人気が高いです。近年のリイシューは音量やイコライジングが異なることがあるため、サウンドの好みに応じて選ぶと良いでしょう。
Last Splash(1993)
概要:バンドの代表作にしてブレイク作。ポップ・センスとノイズ志向がバランス良く混ざり合い、「Cannonball」などのヒットを生みました。よりキャッチーで多面的な楽曲が並ぶため、The Breeders を知るうえで最重要の1枚です。
- 聴きどころ:フックの効いたメロディと独特のコーラス、ギターの音色やリズムの切れ味。作品としての完成度が高く、繰り返し聴くほど味が出ます。
- 代表曲:Cannonball(バンドの“顔”となった1曲)、Divine Hammer など。
- プレス選び:オリジナルの90年代初期プレス(4AD/Elektra 系)はコレクター的価値が高いです。20周年や再発盤(リマスター、デラックス盤)も音質やボーナストラックの有無で選択肢になります。シングルのB面収録曲や別テイクに価値がある場合も多いので、シングル盤を合わせて狙うコレクターも多いです。
Mountain Battles(2008)
概要:活動再開後の作品で、実験性と抑制された音作りが目立つアルバム。前作群とは違う落ち着きと深みがあり、バンドが成熟したフェーズの側面を示します。
- 聴きどころ:アレンジの隙間、声の表現力、前作のポップさとは異なるテクスチャー志向。じっくり聴き込むことで発見があるタイプの作品です。
- プレス選び:リイシューや通常盤が中心で、オリジナル盤自体は比較的入手しやすい傾向にあります。音像の細部を味わいたいなら高品質プレス(重量盤等)を検討すると良いでしょう。
All Nerve(2018)
概要:オリジナル・ラインナップが再集結して制作された“復活作”。往年のブリーダーズらしさと、現時点での円熟味が同居した作品で、ファン/批評家ともに高評価を得ました。
- 聴きどころ:オリジナル・ラインナップの化学反応、メロディの磨き上げ、ライブでの再現性の高さ。過去作の要素を継承しつつ新鮮さも保っています。
- 代表曲・シングル:復活の旗印となったシングル(例:「Wait in the Car」など)が注目されました。
- プレス選び:近年のリリースなので新品プレス(180g などの重量盤やリイシュー)を素直に選ぶのもおすすめです。ブックレットやアナログ音質のリマスター具合を確認すると良いでしょう。
どのプレスを狙うか(コレクター向けガイド)
レコードの価値判断は「音質」「希少性」「付属物(ポスター、インナー、ダウンロードコード等)」の三本柱で行うのが実用的です。The Breeders の場合は以下を目安にしてください。
- オリジナル初回プレス(1990〜1993 年前後)→ 収集価値が高く、当時のサウンドをそのまま体感できる。
- 公式リマスター/アニヴァーサリー盤(例:20 周年など)→ 音質改善やボーナス音源の追加により満足度は高い。ただしオリジナルと音質の好みは分かれる。
- 輸入盤 vs 国内盤 → ラベル(4AD、Elektra 等)の違い、マトリクス表記によるプレス差があるので、ディスコグラフィ系サイト(Discogs 等)でプレス情報を確認すると安心。
- シングル盤のB面・エクスクルーシヴ音源 → コレクター的に面白い発見が多い。Cannonball 系のシングルは複数バージョンが存在します。
サウンドの聴き分け方(視点)
アルバムごとに違った体験が得られるのが The Breeders の魅力です。以下のポイントに注目して聴いてみてください。
- プロダクションの質感:Pod の「生っぽさ」vs Last Splash の「ポップさ/厚み」
- ボーカルの使い分け:キムとケリーのコントラストやコーラスの処理
- 楽曲の構造:短いフックの反復か、展開を大切にした曲か。ライブ感が強いトラックはアナログで聴くと魅力が増します。
- 音の空間表現:リマスター盤はレンジが広がる一方で、オリジナルのバランス感が失われることもあるため、好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
購入・試聴の実務的アドバイス(簡潔)
購入前は試聴・確認を怠らないことが最重要です。特に中古市場ではプレスのバリエーションが多く、同じアルバムでも音の印象が変わります。信頼できる出品者やレビュー、マトリクス(runout)情報をチェックすると失敗が少なくなります。
The Breeders が残した影響と聴く意味
The Breeders は90年代オルタナ/インディ・ロックの重要な分岐点となる存在で、女性の声の使い方や簡潔ながら耳に残るメロディ作り、バンドらしい生演奏感を重視した楽曲で多くのミュージシャンに影響を与えました。レコードで聴くと当時の空気感やダイナミクスがより鮮明に伝わるため、アルバム単位で揃える価値は大いにあります。
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参考文献
- The Breeders - Wikipedia
- The Breeders — 4AD(公式ページ)
- The Breeders | AllMusic
- The Breeders — Discogs(ディスコグラフィ)
- Pitchfork(アルバムレビュー検索)


