The Telescopes(ザ・テレスコープス)入門ガイド:サイケデリック/ノイズ/シューゲイザーの音響旅と聴き方
プロフィール — The Telescopesとは
The Telescopes(ザ・テレスコープス)は、イギリス出身のサイケデリック/ノイズ/シューゲイザー系のロック・アクトで、中心人物はヴォーカリスト/ソングライターのスティーヴン・ローリー(Stephen Lawrie)です。1980年代後半に結成され、当初からギターのフィードバックやドローン、エフェクトを多用した実験的なサウンドで注目を集めました。以降もメンバー交代や音楽的変遷を経ながら一貫して“揺らぎある音像”を追求し続けています。
来歴の概略
結成:1980年代後半にロンドン周辺で結成。スティーヴン・ローリーが中心人物としてバンドを牽引。
初期:デビュー期はシューゲイザー/ノイズ・ロック的な手法を基盤に、フィードバックとドローンを前面に出した音像でシーンの注目を集めた。
中期〜近年:作品ごとにサイケデリア、アンビエント、ノイズ、ドローン、電子音響的要素を行き来し、スタジオでの実験やライヴでの即興性を重視するスタンスを継続。
サウンドの特徴と制作スタイル
ギターのテクスチャ重視:クリーンなコード進行よりも、ディレイ/リバーブ/オーバードライブ等を駆使した音の塊(テクスチャ)を作り出すことを重視します。音の“揺らぎ”やフィードバックを楽曲の中心的素材にする点が特徴です。
ダイナミクスの扱い:静と轟音のコントラスト、長尺の展開、反復によるトランス感覚など、楽曲ごとのドラマ性や没入感を重視した構成を好みます。
実験的アプローチ:スタジオでのハードウェア・エフェクトや録音の偶発性を取り入れることで、作品ごとにユニークな音響世界を作っています。アンビエントや電子的要素を積極的に導入した作品もあります。
歌と声の扱い:ボーカルはしばしばエフェクト越しに配置され、楽器的な“もう一つのテクスチャ”として機能することが多いです。リリックよりも声質・佇まいによって感情や雰囲気を伝える傾向があります。
代表作・名盤の紹介(入門ガイド)
以下はThe Telescopesの入門や評価が高いとされる作品の例です。作品ごとに音像やアプローチが異なるため、聴き比べることでバンドの幅広さが分かります。
Taste(デビュー周辺の初期作) — 初期のノイズ/シューゲイザー的な手法を色濃く残した作品群。荒々しさとサイケデリックな音響のバランスが特徴。
(セルフタイトルのアルバム/90年代の作品) — より洗練されたプロダクションと実験性が混在する時期の作品。スタイルの幅が広がったことを感じられます。
近年作(2000年代以降のアルバム群) — アンビエント、ドローン、電子音響を取り入れた作品が増え、従来の轟音志向とは異なる“深い音の空間”を志向したアルバムがあります。
代表曲・注目トラック(聴きどころ)
代表曲は時期によって印象が変わりますが、以下のような聴きどころを押さえるとバンド理解が深まります。
初期の攻撃的でノイジーなトラック:フィードバックやガレージ的な粗さがエネルギーとなる曲群。
中〜後期の長尺ドローン/サイケ曲:反復と微細な音色変化で徐々に没入させるタイプの楽曲。
アンビエント寄りのインスト曲:音響的な拡がりと空間描写を重視したトラック。
ライヴ/パフォーマンスの魅力
生々しさと即興性:ライヴではスタジオ版とは違う予測不可能なノイズや展開が生じ、臨場感と緊張感が強まります。
音像の再構築:エフェクトやアレンジを変えて楽曲を別物にすることが多く、ライヴ毎に違った体験ができるのも魅力の一つです。
視覚との結びつき:照明や投影といった視覚表現と組み合わせることで、サイケデリックな没入体験を作り出すケースが多いです。
The Telescopesが持つ“魅力”を深掘り
単に“轟音が凄いバンド”にとどまらない魅力がThe Telescopesにはあります。その核となる要素を整理します。
音のテクスチャで語るロック:伝統的な歌・メロディ主導のロックとは違い、“音そのもの”を主題にする表現は、聴き手に新しい聴覚体験を与えます。
ジャンルを横断する柔軟性:シューゲイザー、ノイズ、サイケデリア、アンビエント、電子音響などを必要に応じて取り入れるため、常に新鮮な刺激を保っています。
時間をかけて深まる作品群:一聴で捕まえにくい楽曲が多く、繰り返し聴くことで細部の変化や空間感が見えてくる“聴きのめり込み”を誘います。
アンダーグラウンドでの信頼性:商業的なヒットに依存せず、自らの音響実験を優先する姿勢はコアなリスナー層からの信頼を得ています。
聴き方・楽しみ方の提案
音量と環境を整える:細かなディテールや持続音の余韻を楽しむために、良質なヘッドフォンやスピーカーでやや大きめの音量を推奨します(隣人や耳の安全には注意)。
一曲を“風景”として味わう:短い曲の連続ではなく、長尺曲を1トラックずつ集中して聴くことで没入感が深まります。
時代ごとの耳で比較する:初期の轟音期と近年のアンビエント寄りの作風を並べて聴くと、バンドの進化がよく分かります。
ライヴ音源やリマスターで違いを確かめる:スタジオ録音とライヴ録音で音の扱いが変わることが多く、別の側面を発見できます。
他アーティストへの影響と位置付け
The Telescopesはシューゲイザーやノイズ・ロックの流れの中で独自に発展し、先鋭的な音響アプローチやドローン的感覚は後続の実験系アーティストやポストロック/ドローン・シーンにも影響を与えています。商業的成功を最優先にしないアンダーグラウンド的な姿勢と、音響実験への継続的な追求がバンドの評価を高めています。
入門プレイリスト(例)
初めて聴く人には、以下の順で作品を追うとThe Telescopesの多面的な魅力が分かりやすいでしょう。
初期の轟音トラック(勢いと粗さを体験)
中期の構築的な楽曲(アレンジの妙を確認)
近年の長尺ドローン/アンビエント曲(音響空間の深さを味わう)
ライヴ録音(即興性・衝動を体験)
まとめ
The Telescopesは、ギター・ポップの範疇に納まらない“音響の旅”を提供する存在です。轟音やノイズだけではなく、空間の描写や時間の積み重ねによって深い没入体験をつくること、そして常に実験を続ける姿勢こそが彼らの最大の魅力です。初めて聴く際は、音量と集中する時間を確保して、一曲ずつ“風景”として体験することをおすすめします。
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