System F(Ferry Corsten)名盤ガイド:Out of the Blueを軸にしたトランス12インチの聴き方とコレクション戦略
はじめに — System F(Ferry Corsten)の位置づけ
System F はオランダのプロデューサー Ferry Corsten が用いる代表的なエイリアスのひとつで、1990年代後半から2000年代にかけてのユーロ/ユプログレッシブ・トランス/ユーフォリック・トランスのサウンドを象徴する存在です。とくにメロディックでエモーショナルなシンセフレーズ、ドラマティックなビルドアップ、フロア映えするキック/ベース構築が特徴で、当時のクラブ/レイヴ・シーンに大きな影響を与えました。
おすすめレコード(概観)
以下は「System F 名義で聴くべきレコード(主にシングル/12インチ中心)」の厳選リストと、各アイテムに対する深掘り解説です。コレクター視点で「どのバージョンを狙うべきか」「楽曲の聴きどころ」「DJ/リスニングでの使い方」を中心に掘り下げます。
Out of the Blue — 必携のアンセム
System F を語る上で外せない代表曲が「Out of the Blue」です。カッティングなシンセリフ、シンプルで強力なリフ、そして耳に残るメロディはまさにトランスのアンセム。初期リリースのオリジナル12インチはコレクターの定番で、クラブでの体験を意識したロング・ミックス(イントロ/アウトロを含むDJ用エディット)が収録されていることが多いです。
聴きどころ:
- 前半のビルドアップから中盤にかけてのメロディ展開 — フロアの高揚を作る構造が学べる。
- シンセのレイヤー構成 — メインリフのどの周波数帯がリードしているかを意識すると、リマスターやEQでの違いが分かる。
入手の目安:
- 初期プレス(オリジナル12")は市場で人気が高く、価格や状態を比較して狙う価値あり。
- リミックス集や後年のリイシューでは現代的なリマスタリングが施されていることが多く、音質重視ならチェックを。
Solstice(および同時期のシングル類) — メロウで広がるトランス
「Solstice」系の楽曲群は、System F のメロディアスな側面を強く出しているトラック群です。浮遊感のあるパッド、スローなアルペジオ/リードが特徴で、よりチル寄りのフロアやリスニングにも適しています。
聴きどころ:
- パッドとリードの空間処理(リバーブ、ディレイの使い方)が秀逸で、ミックスの中での抜け方が参考になる。
- 中盤の静と動のコントラスト — ドロップ前後のダイナミクス設計に注目。
入手の目安:
- オリジナルの12インチやEPにはオリジナル・ミックスに加え、ラジオ・カットやリミックスが収録されることが多い。用途に応じてエクステンデッド版を選ぶとよい。
Cry(ボーカル曲)やヴォーカルをフィーチャーしたシングル群
System F 名義でもボーカル曲を出しており、ボーカルの扱い方や歌メロとトランス・シンセの相性を見るのに良い資料になります。トランスにおけるボーカル曲は、クラブ以外のラジオ再生やDJセットでの感情的なターニングポイントとして効果的です。
聴きどころ:
- ボーカルのフォルス(ぶれ)やエフェクト処理、コンピングの質感。
- インスト/インストゥルメンタルとのバランス — ボーカルを活かすアレンジの作り方が学べる。
入手の目安:
- ボーカル・バージョンとインスト・バージョンが共に収録されている盤を選ぶと、用途に応じた選択肢が広がる。
リミックス集・再発盤(後年のリワーク)
System F のクラシック曲は何度もリミックス/リワークされており、オリジナル・ミックスとは別の魅力があります。テック・ハウス寄りに再解釈されたリミックスや、現代的なマスタリングで音像が整えられた再発を聴き比べることで、原曲の良さと時代ごとの音の違いを体感できます。
聴きどころ:
- リミキサーがどの要素(リード、ベース、ボーカル)を強調したかを比較する。
- リマスタリングで低域や高域の出方がどう変わったかをチェック。
入手の目安:
- コレクターはオリジナル・プレス+公式リマスター版の両方を押さえると、時代差を楽しめる。
各楽曲・盤の深掘りポイント(音楽的視点)
メロディ設計:System F の楽曲は短いフレーズを繰り返しながら少しずつ変化させ、聴き手の期待を積み上げていくタイプが多い。フレーズの「反復」と「微差分」がドラマ性を生み出します。
コード進行と転調:トランス的には単純なコード進行でも、シンセの音色や堆積(レイヤー)の変化で劇的に聞こえるテクニックが頻出します。特に高域に厚みを出すアプローチが目立ちます。
サウンドデザイン:鋭いリード音やアタックの強いパーカッション、空間系エフェクトの連携で「広がり」を作るのが得意。原音の加工(フィルタリング、フェイザー等)から得られる「動き」の付け方は学ぶ価値があります。
アレンジのテンプレート化:イントロ(DJ向けの混ぜやすさ)→ビルド→ピーク→ブレイク→リトライの構成が明確で、DJセットでの使い勝手も非常に高い。原曲の構成をトレースして、自分の編集やブレンドのヒントにすると良いでしょう。
コレクター/リスナーへの実用的アドバイス(購入・選盤指針)
- オリジナル・プレスは概して価値が高く、状態(ジャケット・盤面)を重視して選ぶと良い。複数のプレスがある場合は曲長や収録バージョンが異なることがあるので、トラックリストを事前確認する。
- リミックス盤やコンピレーション収録版は音色・ミックスが異なるため、オリジナルの空気感を重視するならオリジナル・ミックス、現代的な音質や別解釈を楽しみたいなら再発/リミックスを選ぶのがおすすめ。
- デジタル配信とアナログはマスター/エンコードが違うことが多い。音質比較をしたい場合は同タイトルの複数フォーマットを聴き比べると勉強になる。
- 購入時は盤に収録されたバージョン(Original Mix / Extended / Radio Edit / Remix)を必ず確認する。DJ用途ならイントロとアウトロが長いエクステンデッド版が便利。
まとめ — なぜ System F を手元に置くべきか
System F(Ferry Corsten)の作品は、トランスの“核心”を理解するのに最適な教材であり、同時に純粋に感動的な音楽作品でもあります。代表曲「Out of the Blue」をはじめ、メロディとサウンドデザインに優れたシングル群を実際のレコードで揃えることで、当時のクラブ文化や楽曲制作の美学を肌で感じられます。オリジナル盤と再発盤を聞き比べることで、音作りやマスタリングの違いも学べるため、コレクションとしての満足度も高いでしょう。
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