Judy Collinsの名盤徹底解説:レコード蒐集に役立つおすすめアルバム集
Judy Collins — レコード蒐集におすすめの名盤コラム
Judy Collins(ジュディ・コリンズ)はフォークの伝統を受け継ぎつつ、優れたソングライターの作品を早くから採り上げて世に知らしめたシンガー。抑制の効いた表現力と透明感のあるソプラノで、60年代〜70年代のフォーク/ポップ史において重要な役割を果たしました。本コラムでは、音楽的な魅力・歴史的意義・レコードとして手に入れる価値の観点から、特におすすめのアルバムをピックアップして掘り下げます(再生・保管・メンテナンスの技術的解説は含めません)。
A Maid of Constant Sorrow(1961)
デビュー作にあたるフォーク・アルバム。伝承歌やバラッドを丁寧に歌い上げることで、Judy Collinsの出発点がよく分かる作品です。アコースティックで素朴なアレンジの中に見える彼女の声のニュアンスは、その後のレパートリー選択にも直結しています。
- 注目曲:伝承曲群(アルバム全体がフォーク伝統曲の解釈)
- 聴きどころ:若い時期の素直な歌唱、民謡的表現の基礎
- コレクター上の価値:初期の音楽性を確認するための必聴盤
Golden Apples of the Sun(1962)
引き続きフォーク寄りの選曲ながら、より洗練された歌唱が光る2枚目クラスの作品。伝承曲に加え、当時のフォーク・リバイバルの文脈にある曲を取り上げています。
- 注目点:伝承歌の現代的な提示とコリンズの表現の深化
- 聴きどころ:物語性のある曲で見せる表情の変化
In My Life(1966)
転機となるアルバム。カバー中心ながら、ビートルズなど当時の名曲群や新進ソングライターの作品を自分のものにしていく姿勢が明確に出てきます。特にレナード・コーエンの楽曲をいち早く取り上げ、コーエン自身の注目度を高めたことでも知られます。
- 注目曲:初期に紹介したコーエン作品(代表的に「Suzanne」などを最初期に録音したことが評価されています)
- 聴きどころ:フォーク伝統から現代シンガーソングライターの曲へ橋渡しする解釈力
- 意義:彼女のレパートリー選定センスが確立したアルバムの一つ
Wildflowers(1967)
Judy Collinsの代表作のひとつ。Joni Mitchellの「Both Sides, Now」を取り上げたことで大衆的な存在感を得た作品です。楽曲の良さを際立たせるアレンジと彼女の声の透明感が見事に結実しています。
- 代表曲:「Both Sides, Now」 — Joni Mitchellの曲をいち早く取り上げたカバーで広く知られる
- 聴きどころ:抑制の利いた歌唱とドラマティックなクライマックスの作り方
- 文化的意義:60年代フォーク〜ポップの接点を示す重要作品
Who Knows Where the Time Goes?(1968)
同名曲(Sandy Dennyの作品)を含むこのアルバムは、カバーのセンスと選曲力がさらに成熟した一枚。フォークの伝統曲だけでなく同時代のシンガー/ソングライターの佳曲を掘り下げる姿勢が顕著です。
- 注目曲:タイトル曲ほか、Joni Mitchell曲や同時代曲の名演
- 聴きどころ:深まる表現力と緻密なアレンジ
- 歴史的位置づけ:コリンズが“解釈者”として確立したフェーズ
Judith(1975)
70年代期の大ヒット作で、劇的な編曲やポップ寄りのアプローチが見られるアルバム。特にSondheimの「Send in the Clowns」を取り上げたバージョンはJudy Collinsの代表曲の一つとして長く愛されています。
- 代表曲:「Send in the Clowns」 — 劇的な感情表現が評価され、彼女のレパートリーの中でも特に知られた一曲
- 聴きどころ:フォークの出自を感じさせつつ、ポップ/バラードとしての表現範囲を拡げた点
- コレクター向けメモ:70年代の作風を好むリスナーに強くおすすめ
Colors of the Day: The Best of Judy Collins(1972)
代表曲をまとめたベスト盤。初期から中期までの名演を一枚で俯瞰でき、入門盤として、また復習用コンピとしてとても重宝します。オリジナル・アルバムを集める前に雰囲気を掴むには最適です。
- 注目点:必聴トラックをまとめて聴ける利点
- 聴きどころ:年代ごとの変遷を短時間で追える編集
選曲と解釈力——Judy Collinsの“強み”
Judy Collinsをレコードで追う価値は、単に良い歌声が聴けるというだけに留まりません。彼女は才能あるソングライターを早期に見出し、オリジナルより先に世に知らしめることが多かった点で、フォーク/シンガーソングライター史への貢献度が高いです。Joni Mitchell、Leonard Cohen、Sandy Dennyらの楽曲を早くから取り上げた彼女の選曲眼と、その曲を“自分のものにする”解釈力こそが、アルバムを通して味わうべき大きな魅力です。
どの盤を優先して探すか(購入ガイド的視点)
- フォーク初期の素顔を知りたいなら:A Maid of Constant Sorrow, Golden Apples of the Sun
- 代表曲で入門するなら:Wildflowers(Both Sides, Now収録)
- 「解釈者」としての力量を堪能したいなら:In My Life, Who Knows Where the Time Goes?
- 70年代ポップ寄りの名演を求めるなら:Judith
- まずはダイジェストで:Colors of the Day(ベスト盤)
聴きどころを深堀り:楽曲ごとの注目点
- Both Sides, Now(Joni Mitchell作) — 言葉の中の視点の揺らぎを、彼女の静かながら表情豊かな歌唱で表現。シンプルな伴奏と対比される声の細部が魅力。
- Suzanne(Leonard Cohen作) — 詩的な語りとメロディを丁寧に紡ぎ、コーエン作品の持つ神秘性を別の角度から可視化。
- Send in the Clowns(Sondheim作) — ブロードウェイ由来の劇的要素をスムーズにポップ/フォークの枠で歌い上げる稀有なアプローチ。
入手時のひとことアドバイス(アルバム選びの観点)
音楽的背景や時代の流れを追いたいなら最初は年代順に聴くのがおすすめです。代表曲だけ知りたい場合はベスト盤から入り、気に入ったアルバムのオリジナルLPや詳細な再発を探すと、演奏背景や曲の並びがより楽しめます。また、ジャケットやライナーノートも当時の制作意図や演奏者クレジットを知るヒントになるので、可能であれば紙の盤の形で目を通すのをおすすめします。
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参考文献
- Judy Collins 公式サイト
- Judy Collins — Wikipedia(英語)
- Judy Collins — AllMusic
- Judy Collins — Discogs(ディスコグラフィ)


