エルモア・ジェイムスのスライドギターを聴く:入門からコレクターまでのおすすめレコードと聴き方
イントロダクション — よみがえるスライドの王者、エルモア・ジェイムス
エルモア・ジェイムス(Elmore James)は、エレクトリック・ブルースのスライドギターを代表する存在です。粗く荒削りでありながら切れ味のあるスライド・サウンド、そして唸るようなボーカルは、後のロック/ブルース奏者に多大な影響を与えました。本稿では「レコード(購入して聴く価値のある盤)」にフォーカスして、入門盤からコレクター向けの深掘り盤まで、おすすめをセレクトして解説します。
おすすめレコード(入門〜定番)
「Dust My Broom」(シングル原盤、1951)
エルモア・ジェイムスを象徴する一曲。デルタ系の伝承曲に由来するこのナンバーを、硬質で煌びやかなスライド・ギターリフで電化した点が革新的でした。オリジナルのシングル(Trumpetなどの初期リリース)を聴くと、スタジオの空気感や録音の生々しさが直に伝わります。音楽史的にも必聴です。
「The Sky Is Crying」(代表的なシングル/タイトル曲を収めた編集盤)
哀愁のあるスローブルースで、エルモアの表現力がよく分かる楽曲。単曲でも名作ですが、この曲をタイトルにした編集盤(Best Of系)は代表曲を効率よくまとめており、入門者に向きます。バラエティ豊かなテンポ感と曲ごとの演奏表現が比較できる点が魅力です。
「ベスト/編集盤(初心者向けコンピレーション)」
「Best of Elmore James」「The Sky Is Crying: The Best of Elmore James」といった編集盤は、シングル中心に作られた彼のキャリアを一気に俯瞰できます。代表曲に加え、B面やライヴ音源・未発表テイクを収録した版もあり、まずは名曲を押さえたい人に最適です。
おすすめレコード(中級〜コレクター向け)
「初期レコーディング集(Trumpet / Flair / Meteor期のコンプリート集)」
1950年代初頭〜中期のシングル群をまとめたコンプリート/アンソロジー。初期の「Dust My Broom」をはじめ、エルモアがエレクトリック・スライドを確立していく過程が追えます。録音環境や伴奏陣の違いから生まれる音色の変化、テイク違いの比較が楽しめるため、歴史的観点で深掘りしたいコレクター向けです。
「完全盤/ボックスセット」(複数のセッションを網羅したもの)
レコーディング・セッションごとの未発表テイクや別ミックスを網羅したボックスは、ディープリスナー向け。エルモアの演奏ニュアンスや即興の変化、同一曲の異なるアプローチが聴き分けられ、演奏技術やスタイルの理解がより深まります。
現代リマスター盤(音質重視の再発)
オリジナルのヴィニール特有の空気感を保ちつつ、ノイズ低減やEQ補正で聴きやすくしたリマスター盤は、家でじっくり聴くのに向きます。原盤の雰囲気を損なわない良心的なリマスターを選べば、細かなスライドの倍音やアンプの歪み感もクリアに再現されます。
各盤を聴くときのポイント(音楽的な聴きどころ)
スライドの音質とフレージング — 弦を滑らせる際のアタック感、弦を押さえないことで発生する倍音、指板上での音程の移動を意識して聴いてください。エルモア独特の“ぎらつき”と“歌うような”スライド・ラインが際立ちます。
歌とギターの関係性 — 彼のギターは単なる伴奏ではなく、歌の延長あるいは応答として配置されることが多いです。コール&レスポンス的にギターが“返す”瞬間を探すと面白いです。
テンポ感とグルーヴ — 同じ曲でもテイクやリリースごとに微妙にテンポやリズムの取り方が変わります。スロー・バラードの引き摺るようなグルーヴと、アップテンポの直線的なドライブ感の差を楽しみましょう。
伴奏の編成と録音の違い — ピアノやサックス、リズムギターの有無、録音スタジオの違いが音像に大きく影響します。初期のシングルと後期のセッションを聴き比べると、サウンドの変遷が分かります。
購入や選盤の心得(何を基準に買うか)
まずは曲で選ぶ — 「まずは名曲を押さえたい」なら代表曲をまとめた編集盤が手堅い出発点です。初めて聴くときはベスト盤で“当たり曲”を見つけ、その後に個別シングルやセッション集へ深掘りすると効率的です。
音質重視ならリマスター/CDや配信の高音質版も検討 — オリジナル盤の雰囲気も魅力ですが、細部のニュアンスをしっかり聴きたいときは、信頼できるリマスター盤を選ぶのが近道です。
コレクターはセッション別・完全盤を狙う — 未発表テイクや別ミックスを楽しみたい場合は、セッションを網羅したアンソロジーやボックスセットがおすすめです。
締めくくり — エルモア・ジェイムスの楽しみ方
エルモア・ジェイムスの音楽は、単に「スライドが巧い」という以上に、歌心と激しい表現の同居が魅力です。代表曲を何度も聴いて「リフ」を覚え、次に別テイクや初期シングル、そして編集盤と段階を踏んで深掘りしていくと、彼のプレイスタイルやブルースの流儀が自然に見えてきます。音楽史的価値と演奏の生々しさ、両方を味わえるのがレコード探求の醍醐味です。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


