Lonnie Mack入門ガイド:聴くべき名盤とギター表現の読み解き
Lonnie Mack 入門:なぜ聴くべきか
Lonnie Mack(1941–2016)はアメリカ南部出身のギタリスト/シンガーで、60年代のインストゥルメンタル・ロックとブルース・ロックの橋渡しをした人物です。派手なフレーズやワイルドなビブラートを用いたソロは後のロック/ブルース・ギタリストたち(スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジェフ・ベック、デュアン・オールマンなど)に強い影響を与えました。本コラムでは「まずこれを聴け」というおすすめレコードを取り上げ、それぞれの聞きどころ、代表曲、音楽的意義を深掘りして紹介します。
The Wham of That Memphis Man!(1963)
Lonnie Mack を語るうえで外せないデビュー作的アルバム(1963年)。インストゥルメンタル曲「Memphis」は彼の代名詞的ナンバーで、原曲のロックンロールを大胆にソロ中心のインストアレンジに変換して当時のリスナーに強烈な印象を与えました。
- 聞きどころ:シングルヒットになった「Memphis」、もうひとつの代表的インストゥル「Wham!」のフレーズの鋭さ。単音フレーズとホイッスルのようなビブラートが印象的。
- 音楽的意義:エレキギターを前面に押し出したインスト曲で、ブルースやカントリーの要素をロックの文脈で再構築。以降のブルースロック/ギターインストの先駆けとなった。
- おすすめな聴き方:まずはインスト曲のフレーズ構築とビブラートの使い方を注意して聴くと、彼の技術と表現力がよく分かります。
Glad I'm in the Band(1969)
ボーカル曲を多く含むアルバムで、Mack のシンガー/ソングライターとしての側面が見える一枚。トラディショナルなブルースやスワンプ、ロックが混ざったサウンドで、ギターだけでなく歌声からも彼の個性が伝わります。
- 聞きどころ:曲の構成と歌メロのナチュラルさ、ギターが曲の感情を押し上げる使われ方。インスト中心の初期作とは違う人間味が出ます。
- 音楽的意義:歌ものを多く含むことで「ギタリスト Lonnie Mack」像に深みを与え、60年代末の根源的なアメリカ音楽(ブルース/カントリー/ロック)を横断する作品。
- おすすめな聴き方:歌詞と歌い回しに注目して、ギターがどう情感を補強しているかを追ってみてください。
The Hills of Indiana(1971)
カントリー/フォークの要素を強く取り入れたアルバムで、Mack の幅広さを示す作品です。評価が分かれる側面もありますが、ルーツ志向の深い演奏が多く聴けます。
- 聞きどころ:アコースティック寄りのアレンジや、土地感を感じさせるメロディ。ギターは控えめながらも存在感あるフレーズを散りばめています。
- 音楽的意義:ジャンルの壁を越えようとした試みとして興味深く、彼の音楽性の幅を理解する上で重要。
- おすすめな聴き方:“ロック・ギタリスト”のイメージを一度脇に置き、アメリカン・ソングライティングやアレンジを見るように聴くと新たな発見があります。
Strike Like Lightning(1985)
ロック/ブルース界の復権を象徴する復帰作的アルバム。スティーヴィー・レイ・ヴォーンなど当時の若手ブルースロッカーも彼に注目しており、ゲスト参加やプロデュース面でも当時のブルース・シーンとの接点が見えます。
- 聞きどころ:復帰作らしいエネルギーと、往年のソロ/フレーズが現代的なアレンジで再提示されている点。ギター・ワークの円熟が感じられます。
- 音楽的意義:60〜70年代の土台を持つギタリストが80年代のシーンで再評価・再出発した例で、世代間の影響の循環が見て取れます。
- おすすめな聴き方:当時のゲスト/プロデューサーの手法と比較しながら聴くと、Mack 本人の演奏の持つ独自性がよりクリアに聴こえます。
編集盤・ライブ盤で補完する聴き方
オリジナル・スタジオ盤だけでなく、コンピレーション/ベストやライヴ音源を聴くことで、録音ごとの表情の違いやライヴでの即興性を確認できます。特に初期のシングル曲(インスト中心)はベスト盤や60年代収録盤でまとめて聴くのが効率的です。
- 編集盤:代表曲を年代順に追うことで技術と表現の変遷が分かりやすい。
- ライブ盤:ライヴではより自由なアプローチや長めのソロを聴けるため、ギタリストとしての生の魅力が伝わります。
Lonnie Mack のギター表現を読む:技術と感性
Lonnie Mack の特徴は「単なる速弾き」ではなく、フレーズごとの抑揚、ダイナミクス、そして歌を模したギター・フレージングです。音色の使い分けやビブラート、ポジション間の移動で「歌うギター」を実現しており、そのアプローチは後のブルース・ロック系ギタリストの土台になりました。
- メロディ重視のソロ構築:短いフレーズの練り上げで印象を残す。
- ブルース/カントリーの融合:ピッキングやフレーズの選択にルーツ音楽が色濃く出る。
- 音色の表現力:一音一音に感情を込める弾き方が特徴。
どの盤から買うべきか(リスナー別のおすすめ)
- まずはインストの名曲を味わいたい人:The Wham of That Memphis Man!(初期録音を網羅した編集盤やベストも有効)
- 歌もの/ソングライティングも楽しみたい人:Glad I'm in the Band
- ルーツ志向・カントリー寄りの側面を知りたい人:The Hills of Indiana
- 復帰後の演奏や80年代ブルース復興との接点を知りたい人:Strike Like Lightning
まとめ
Lonnie Mack はギタリストとしての即効性と、歌心に満ちたフレーズでロックとブルースの狭間に独自の地位を築いた人物です。まずは「The Wham of That Memphis Man!」でその原点を体験し、その後に歌もの/ルーツ寄り/復帰作を辿ることで、彼の音楽性と影響力を立体的に理解できるはずです。
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参考文献
- Lonnie Mack — Wikipedia
- Lonnie Mack — Biography (AllMusic)
- Lonnie Mack Dead at 74 — Rolling Stone obituary
- Lonnie Mack — Discogs(ディスコグラフィ)


