Siouxsie and the Bansheesをレコードで聴く意味 — 初心者から深掘りまで網羅する名盤ガイド

はじめに — Siouxsie and the Banshees をレコードで聴く意味

Siouxsie and the Banshees(以下バンシーズ)は、ポストパンク期に生まれた独自の音世界と、シウシー(Siouxsie Sioux)の冷たくも官能的なボーカル、そしてバディ(Budgie)の創造的なリズムで知られるバンドです。ギターやアレンジの実験性、ダークながらもポップなメロディ感は、ゴス〜オルタナ〜インディーの後続世代に大きな影響を与えました。

ここでは「初めて買うべき1枚」「深掘りしたいコア名盤」「晩年の名作」など、目的別にアナログで揃えたいおすすめレコードを厳選して解説します。各作の音楽的特徴、聴きどころ、どんなリスナーに向いているかを中心に深堀します。

おすすめレコード一覧(概要)

  • The Scream (1978) — 出発点としての衝撃
  • Join Hands (1979) — 初期のダークな実験作
  • Kaleidoscope (1980) — 音像の拡大とポップ性の導入
  • Juju (1981) — ゴシック/摩訶不思議な傑作
  • A Kiss in the Dreamhouse (1982) — バロック的装飾と野心
  • Hyæna (1984) — メロディの強化と外部コラボの影響
  • Tinderbox (1986)/Through the Looking Glass (1987) — 変化と再解釈
  • Peepshow (1988) — シングル「Peek-a-Boo」以降の実験的ポップ
  • Superstition (1991) — 90年代に向けた完成度の高い作品

The Scream(1978) — ポストパンクの原点を体感する

デビュー作は荒々しく、冷ややかな緊張感に満ちています。短い曲の中に鋭いフレーズと独白的なボーカルが詰め込まれており、パンクのエネルギーとポストパンクの前衛性が同居します。

  • 聴きどころ:初期のスリリングなアンサンブル、シウシーの表現力の原点。
  • 誰におすすめか:バンドの出発点を追いたい人、ポストパンク好き。
  • 収集メモ:デビュー盤としてのエッジ感は初期プレスに色濃く残るが、リマスター盤も音像が整っていて聴きやすい。

Join Hands(1979) — よりダークで劇的な世界

前作より陰影が深く、劇的な演出が増した2作目。より長い曲や陰鬱なテーマを持つ楽曲が目立ち、バンドの「暗さ」を体系化した作品です。

  • 聴きどころ:コーラスや陰影を活かした構築的なアプローチ。
  • 誰におすすめか:ゴシックやダークな表現を好むリスナー。

Kaleidoscope(1980) — 音像の拡張とポップセンスの導入

本作から楽器やアレンジの幅が広がり、シンセや多彩なサウンド処理が取り入れられます。曲によってはポップでキャッチーな要素も顔を出し、バンドの商業的・芸術的可能性を示した1枚です。

  • 聴きどころ:多彩なサウンドスケープ、ポップと前衛のバランス。
  • 誰におすすめか:ポストパンクの多面性を味わいたい人。

Juju(1981) — ゴシック・ロックの金字塔

ギターのテクスチャーとリズムの緊張感が結実した「暗黒の傑作」。シンプルながらも強靭なアンサンブルと、神秘性を帯びた歌詞・歌唱が特徴です。ゴス的な美学が最も洗練されている時期の代表作と言えます。

  • 聴きどころ:ギターの冷たい表現、空間を作るリズムとボーカルの対比。
  • 誰におすすめか:ゴシック愛好者、深くドライなサウンドを求める人。

A Kiss in the Dreamhouse(1982) — 実験とバロック的装飾

本作はより劇場的で装飾的。ストリングスや管楽器、コーラスなどを大胆に取り入れ、夢と現実が交錯するようなサウンドを作り上げています。アートポップ的な側面が強く出た作品です。

  • 聴きどころ:細部のアレンジ、豊かな音色のレイヤー。
  • 誰におすすめか:実験的なポップ、アートワークやトータルパッケージを楽しみたい人。

Hyæna(1984) — メロディと外部の影響

80年代中盤の作品で、メロディアスな楽曲が増えたのが特徴。バンド外のミュージシャンとの交流やポップ性の拡張により、より幅広いリスナーに届くサウンドが展開されます。

  • 聴きどころ:ポップ性とバンドらしい暗さの同居、曲作りの成熟。
  • 誰におすすめか:ポストパンクの「入り口」としても楽しめる一枚。

Tinderbox(1986)〜Through the Looking Glass(1987)/Peepshow(1988) — 変化の時代

中期から後期にかけて、バンドは幾度かの変化を経て音楽性を更新していきます。カバー集(Through the Looking Glass)での楽曲解釈や、Peepshow のような実験的ポップの成功は、バンシーズが単なるゴスバンドにとどまらない幅を示しました。

  • 聴きどころ:既存楽曲の解釈力、サウンドの多様化。
  • 誰におすすめか:変化を追いたいコアファン、カバー解釈に興味がある人。

Superstition(1991) — 90年代の洗練

90年代に入ってからの作品は、ポップスとしての完成度が高まり、アレンジやプロダクションが洗練されています。バンドのキャリアを総括するような深みと、同時に先へ進もうとする意欲が混在する一枚です。

  • 聴きどころ:成熟した楽曲群、メロディとアレンジの高い完成度。
  • 誰におすすめか:バンドのキャリア全体を俯瞰したい人、90年代の音作りに興味がある人。

どの盤を「最初」に買うべきか(目的別ガイド)

  • バンシーズ入門:Kaleidoscope や Juju — 実験性とメロディのバランスが良く、全体像を掴みやすい。
  • 初期の衝撃を味わう:The Scream — 生々しいエネルギーを体感できる。
  • 実験性を深掘り:A Kiss in the Dreamhouse — サウンドデザインが好きな人向け。
  • 晩年の名曲群を楽しむ:Peepshow / Superstition — ポップで聞きやすく、名曲が多い。

購入・盤選びのポイント(音質・編集盤について)

オリジナル盤は当時の録音の空気感とダイナミクスが魅力ですが、リマスターやアニバーサリー盤はEQやノイズ処理によって現代的な「聞きやすさ」が加わることが多いです。どちらを選ぶかは好み次第ですが、以下を目安にしてください。

  • 音の「生々しさ」を重視:オリジナル初版やオリジナル・マスターを基にした再発を検討。
  • クリアで詳細な再生を重視:公式リマスターや高品質プレス(180g等)の再発盤が向く。
  • 収録曲・ボーナス曲が重要:拡張版やデラックスエディションはレア音源やデモを含むことがある。

最後に — バンシーズをレコードで聴くということ

Siouxsie and the Banshees はスタイルを一貫して繰り返すバンドではなく、常に変化と実験を続けた集団です。レコードで聴くことで、時代ごとの音作りやアレンジの細部がより鮮明に伝わります。入門盤から深掘り盤まで、目的に応じてコレクションを揃えていくと、その幅広い世界観をより豊かに味わえます。

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参考文献