Humble Pie(ハンブル・パイ)徹底解説:結成から代表曲・名盤・ライヴの魅力まで
Humble Pie — プロフィール
Humble Pie(ハンブル・パイ)は、1969年にイギリスで結成されたロックバンドです。スティーヴ・マリオット(元Small Faces)がフロントマン兼ギタリストとして中心に立ち、ピート・フランプトン(初期)やクレム・クレムプソン(後期)といった強烈なギタリストを擁したことでも知られます。ブルーズ、ソウル、ロックを土台にしたヘヴィでグルーヴィーなサウンド、そしてライヴでの爆発的なパフォーマンスが彼らの代名詞です。
結成と主要メンバーの変遷
結成当初のラインナップは以下のとおりです:
- スティーヴ・マリオット(ボーカル、ギター) — Small Faces出身。ソウルフルで歯切れの良い歌声、強烈なステージ存在感が特徴。
- ピート・フランプトン(ギター、ボーカル) — 若きメロディメーカー。後にソロで大成功を収める。
- グレッグ・リドリー(ベース) — しっかりしたグルーヴとコーラス。
- ジェリー・シャーリー(ドラム) — タイトでダイナミックなリズムの要。
1971年ごろフランプトンが脱退し、クレム・クレムプソン(Colosseum出身)が加入。これによりサウンドはよりハードでブルージーな方向へ傾き、1970年代初頭の充実期を迎えます。
音楽性と魅力の深掘り
Humble Pieの魅力は大きく分けて以下の要素に集約されます。
- スティーヴ・マリオットのボーカルとソングライティング
マリオットはソウル/R&Bの影響を強く受けた歌唱を持ち、張りのあるシャウトと繊細なフレーズを自在に使い分けます。自身の楽曲では、ブルージーでストレートなロック・ナンバーから、泥臭いグルーヴ曲まで幅広く表現しました。 - ギターの対比 — フランプトン期とクレムプソン期
初期のフランプトンはメロディアスでリリカルなソロを得意とし、バンドにポップなアクセントを与えました。クレムプソン加入後はより泥臭くハードなギター・アプローチとなり、マリオットの荒々しい歌と見事に噛み合ってヘヴィなロックに変化します。この“二つの時代”による音楽性の違いもHumble Pieの魅力の一つです。 - ライブならではの即興性とエネルギー
スタジオ録音よりもライヴでの評価が高い点も特徴です。長尺のジャム、泥臭いグルーヴ、観客を巻き込む熱演が目立ち、ライヴ・アルバムがバンドの真価を伝える重要な記録になっています。 - ブルーズとソウルの根底
ブルーズ・ロックやソウルの要素が随所に流れ、単なるハードロックに留まらない深みがあります。カバー曲の解釈力(例:R&B系のナンバーをロックに噛み砕く手腕)も評価されます。 - リズム隊の万能性
ジェリー・シャーリー(dr)とグレッグ・リドリー(b)は、激しいブギーからスローなブルースまで安定したグルーヴを提供。これがフロント陣の自由な表現を支えています。
代表曲・名盤の紹介と聴きどころ
ここでは初心者にもおすすめのアルバムと曲をピックアップし、それぞれの聴きどころを解説します。
- As Safe as Yesterday Is (1969)
初期の作品。マリオットのソングライティングとフランプトンのメロディアスなギターが共存する作品群が魅力。バンド結成直後の多彩さが聴けます。 - Town and Country (1969)
アコースティック寄りの実験的なトラックも含む異色作。バンドの幅広い音楽性を感じられます。 - Performance: Rockin' the Fillmore (1971) — ライヴ盤
ライヴでの迫力を伝える代表的レコード。特に「I Don't Need No Doctor」(W. Pickettカバー)の爆発力は圧巻で、バンドの真骨頂が詰まっています。 - Smokin' (1972)
クレムプソン加入後の代表作として広く知られるアルバム。「30 Days in the Hole」など泥臭いロック・チューンが充実。ハードでファンキーなサウンドを好むリスナーに最適です。 - Thunderbox (1974) / Rock On (1971) など
70年代中頃の作風はよりロック寄りに。商業的には波があるものの、ツアーと連動した演奏力は安定しています。
代表曲(聴きどころ)例:
- 「I Don't Need No Doctor」 — ライヴでのエネルギーとマリオットのシャウトが際立つ。
- 「30 Days in the Hole」 — ステディなリフと覚えやすいサビ、マリオットらしいシニカルな歌詞。
- 「Hot 'n' Nasty」 — ファンキーなグルーヴとロックの融合を示す曲。
ライブバンドとしての評価と録音の魅力
Humble Pieは“ライヴ・バンド”としての評判が高く、多くのリスナーはライヴ録音でバンドの本質を知ります。スタジオ盤は曲構成やアレンジが緻密に作られているものの、観客との掛け合い、長尺のインプロヴィゼーション、リフの重みといった要素はライヴでこそ生きるためです。ライヴ盤は当時の熱量やテンポ感、余裕のあるソロ展開をダイレクトに伝えてくれます。
影響と遺産
Humble Pieは70年代初期のロック・シーンにおいて、ブルーズ/ソウルを取り入れたヘヴィなロック像の一端を示しました。直接的に「このバンドが元祖」と言い切れるほどの単一の流れを作ったわけではないものの、ライヴでの豪快さや泥臭さ、楽曲のストレートさは後のハードロック/ブルーズロック系バンドに少なからぬ影響を与えています。また、メンバー個々のキャリア(特にフランプトンのその後の成功やマリオットのSmall Faces時代を含む評価)はロック史に残る逸話となっています。
現在聴く際の薦め方
- まずはライヴ盤(Performance: Rockin' the Fillmore)でバンドのエネルギーを体感する。
- 続いてSmokin'やThunderboxでヘヴィ/ファンキーな聴き味を味わう。
- 初期のAs Safe as Yesterday IsやTown and Countryを聴いて、フランプトン期のメロディアスさや編曲の幅を見る。
- 曲ごとにフランプトン期とクレムプソン期を聴き比べると、バンドの進化と個性の違いが鮮明にわかる。
まとめ:Humble Pieの核心
Humble Pieは、強烈でソウルフルなボーカル、ギターの鮮やかな対比、そしてライヴでの爆発力を武器に、1970年代のロックに独自の位置を築いたバンドです。スタジオ録音の完成度も高い一方で、彼らの真価はやはりステージ上の即興性とグルーヴにあります。ロック、ブルーズ、ソウルの交差点を探るリスナーにとって、Humble Pieは非常に魅力的な存在と言えるでしょう。
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参考文献
- Humble Pie — Wikipedia
- Humble Pie — AllMusic (Biography & Discography)
- Humble Pie — Discogs (Discography)


