QVGAとは何か?320×240の基本定義と歴史・実務活用を詳解する完全ガイド

QVGAとは — 基本定義

QVGAは「Quarter VGA(クォーター・ブイジーエー)」の略で、解像度が320×240ピクセル(横320ピクセル × 縦240ピクセル)の表示モードを指します。VGA(640×480)のちょうど1/4の画素数(ピクセル数)であることから「Quarter(1/4)」が付けられました。一般的にアスペクト比は4:3で、携帯端末や組み込み機器、初期のデジタルカメラやビデオストリーミングで広く使われました。

技術的な詳細

  • ピクセル数: 320 × 240 = 76,800 ピクセル。
  • アスペクト比: 標準的には4:3(横長)。機器によっては縦向き(240 × 320)で使われることも多い。
  • 色情報(ビット深度)の例:
    • 8ビット(パレット索引): 76,800 バイト(約75 KB)
    • 16ビット(RGB565など): 153,600 バイト(約150 KB = 150 KiB)
    • 24ビット(True color): 230,400 バイト(約225 KB)
  • フレームバッファの考え方: 単一バッファで上記のサイズ。ダブルバッファ(描画/表示切換)を行う場合は2倍のメモリが必要。
  • 帯域・転送量の目安: 例えば16ビットカラーで30fpsの生データを転送する場合、153,600 バイト × 30 = 4,608,000 バイト/s(約4.39 MiB/s、=約36.86 Mbps)の帯域が必要。圧縮やエンコーディングを利用することで必要帯域は大幅に下がる。

QVGAの由来・歴史的背景

QVGAはPC用のVGA(Video Graphics Array、640×480)が基準となって登場しました。VGA自体は1987年頃にIBM関連で普及した表示仕様で、以降様々な「派生」解像度(SVGA、XGA、QVGAなど)が生まれました。特に携帯電話やPDA、初期のスマートフォン、組み込み機器では、処理能力・バッテリ・メモリ・通信帯域が限られていたため、QVGAはコストと性能のバランスが良く好んで採用されました。2000年代前半の多くのフィーチャーフォンや初期のカメラ付き携帯がQVGAやその縦向きバリエーションを採用していました。

利用用途と実例

  • 携帯電話の画面表示(初期のスマホ・フィーチャーフォン)
  • 組み込み機器(計測器・車載ディスプレイ・家電のUI)
  • ビデオ会議やウェブカメラ、低帯域のビデオストリーミング(MMSや低解像度ライブ配信)
  • ゲーム機のミニ画面や昔の携帯ゲーム(解像度を抑えることでGPU負荷を軽減)

利点と欠点

  • 利点:
    • メモリ消費が小さく、フレームバッファが少ない(コスト削減)。
    • 描画・エンコード処理の負荷が低く、低消費電力の実装が容易。
    • 低帯域の通信環境でも転送しやすい。
  • 欠点:
    • 表示密度が低く、文字や細かいUIが潰れやすい(現代の高DPIディスプレイでは不利)。
    • 拡大・縮小時に画質劣化(ジャギーやぼけ)が目立つ。特に最近のフォント/UIには不向き。
    • 高解像度コンテンツの表示や複数ウィンドウ表示には適さない。

QVGAのバリエーションと関連解像度

QVGA自体は320×240に固定されますが、横幅を広げた「WQVGA(Wide QVGA)」や、高さを統一した派生解像度が多数存在します。WQVGAは厳密な標準がなく、400×240、432×240、甚至は 480×272 のような幅広サイズを指すことがあり、機器やベンダーによって呼び方が異なります。縦向きにした240×320も携帯端末ではよく見られる表現です。

現代におけるQVGAの扱い方(実務的注意点)

  • スケーリング: QVGA画像を現代の高解像度画面に表示する際、単純拡大(nearest neighbor)ではブロック状になりがち。滑らかに見せたい場合はバイリニア/バイキュービック補間を用いる。
  • アスペクト比の維持: 元の4:3と表示デバイスのアスペクト比が異なると上下左右に黒帯(レターボックス/ピラーボックス)が生じるか、歪めて表示する必要がある。
  • ピクセル比: 一部の古い機器では画素が正方形でない場合もあるため、画素比(pixel aspect ratio)に注意する。
  • 色深度とフォーマット: 組み込み機器ではメモリ削減のためRGB565(16bit)がよく使われる。表示品質とメモリのトレードオフを検討する。

実務での計算例(フレームバッファと帯域)

例:RGB565(16bit)で単一フレームのバッファサイズ

  • ピクセル数 = 320 × 240 = 76,800
  • バイト数 = 76,800 × 2 = 153,600 バイト ≒ 150 KiB
  • 30 fpsでのデータレート = 153,600 × 30 = 4,608,000 バイト/s ≒ 4.39 MiB/s ≒ 36.86 Mbps

ダブルバッファを使う場合は必要メモリを2倍にすること、表示転送がDMAや専用コントローラで行われる場合はCPU負荷が軽減される点にも注意してください。

まとめ

QVGA(320×240)はVGAの1/4に相当する古典的な解像度で、かつては携帯機器や組み込み機器で広く使われました。利点は低メモリ・低帯域・低消費電力であること、欠点は解像度が低く現代の高精細表示にそぐわない点です。用途や設計制約(メモリ、帯域、電力)を踏まえて、まだ有効に使える場面は多く存在します。実装時はバッファサイズや帯域、スケーリング方法、アスペクト比の扱いを慎重に設計することが重要です。

参考文献