The Tragically Hipのおすすめ盤をレコードで聴く価値を深掘り解説
The Tragically Hip — レコードで聴きたいおすすめ盤 深掘りコラム
カナダの国民的ロックバンド、The Tragically Hip(以下ザ・ヒップ)は、詩的でカナダ的風景を描く歌詞と、Gord Downie の情感豊かなボーカル、そしてバンドとしての一体感が魅力です。本コラムでは「レコードで聴く価値が高い」主要作品を中心に、各アルバムの背景、音楽的特徴、代表曲、そしてそのアルバムがなぜ特別なのかを深掘りして紹介します。音質や盤の状態に関する再生・保管の解説は含めません。
選定基準
- バンドのキャリアを代表する作品であること
- 音楽的完成度・楽曲の強さが高いこと
- レコードで聴くことで楽曲の空気感や演奏の生々しさが際立つこと
1. Up to Here (1989)
デビュー・フルアルバム。ザ・ヒップが持つブルージーで直球なロック・サウンド、そしてGordの感情表現が飛び出す出発点です。カナダ国内でのブレイクの礎となった一枚。
- 音楽的特徴:パンク寄りの勢いとブルース/ルーツ・ロックの混ざり合い。演奏はタイトでストレート。
- 代表曲:Blow at High Dough、New Orleans Is Sinking、38 Years Old
- おすすめポイント:初期の荒々しさとメロディの強さが楽しめ、ザ・ヒップ入門にも最適。
2. Road Apples (1991)
デビュー作の勢いを受け継ぎつつ、演奏と楽曲構成がさらに洗練された2nd。彼らのライブ・エネルギーがレコーディングにも反映されています。
- 音楽的特徴:より厚みのあるアレンジと、曲ごとのダイナミクスの幅。
- 代表曲:Little Bones、Twist My Arm(アルバム全体のバランスが良い)
- おすすめポイント:初期ヒット曲を押さえつつ、バンドの成長を感じられる一枚。
3. Fully Completely (1992)
批評的・商業的にも成功した、バンドを代表する重要作の一つ。カナダの歴史や風景に根差した歌詞と、より壮大なサウンドが特徴です。
- 音楽的特徴:メロディと詩性の融合。物語性のある歌詞とドラマティックな曲構成。
- 代表曲:Wheat Kings、Courage (for Hugh MacLennan)、Locked in the Trunk of a Car(シングル的な魅力も強い)
- おすすめポイント:ザ・ヒップの“国民的”な評価につながった作品。歌詞の深さを味わいたい人に。
4. Day for Night (1994)
制作面で実験的な要素を取り入れた、暗く深い雰囲気のアルバム。サウンドプロダクションや曲展開の豊かさでアーティスティックな側面が強調されています。
- 音楽的特徴:テクスチャー重視のアレンジ、抑制と爆発のコントラスト。
- 代表曲:Nautical Disaster、Grace, Too(ライブで名高いパフォーマンス曲)
- おすすめポイント:夜のドライブや深夜の集中リスニングに適した情景的な一枚。
5. Trouble at the Henhouse (1996)
商業的にも大成功を収めたアルバムで、シンプルなロックから詩的なバラードまでバランス良く収録。バンドの成熟を感じさせる作品です。
- 音楽的特徴:メロディアスで親しみやすい曲が多く、演奏も安定。
- 代表曲:Ahead by a Century(バンドの代表的バラード)、Gift Shop
- おすすめポイント:ヒップの“定番”を集めたいなら外せないアルバム。
6. Phantom Power (1998)
音楽的な幅を広げつつ、バンドらしいアイデンティティを保った後期の佳作。シリアスな題材とユーモアが混在する構成が魅力。
- 音楽的特徴:ギターの層とリズムの工夫が目立ち、曲ごとに色が変わる。
- 代表曲:Bobcaygeon、Poets(いずれも長く愛される楽曲)
- おすすめポイント:90年代後半のサウンド感が好きな人におすすめ。歌詞とメロディの両立が秀逸。
7. Live Between Us (ライブアルバム、1997)
ザ・ヒップのライブの魅力を伝える代表的なライブ盤。スタジオ盤とは異なる熱量やアレンジを収録しており、ライブ体験を疑似的に味わえます。
- 音楽的特徴:ステージでの即興やエモーショナルな盛り上がりがそのまま伝わる録音。
- 代表曲:ライブでの定番曲群や、スタジオとは違う表情を見せる楽曲群。
- おすすめポイント:ライブ・バンドとしてのザ・ヒップの力を知るための必須盤。
8. Man Machine Poem (2016)
バンド晩年の作品。Gord Downie のボーカルと詩世界が深く響く、感慨深い一枚です。内省的でありながら力強さを保つ楽曲が並びます。
- 音楽的特徴:ミニマルなアレンジと詩的表現の融合。静と動の対比が印象的。
- 代表曲:前半からラストまで通して一貫したトーンを持つ作品群(アルバム単位で聴く価値あり)
- おすすめポイント:バンドのキャリア全体を振り返りたいときに聴くと、特別な感慨を得られます。
アルバム選びのコツ(音楽的視点)
- 初めて聴くなら:Up to Here → Fully Completely → Trouble at the Henhouse の順で。初期のエネルギーからメロディ重視の成熟へと流れる。
- 歌詞を重視するなら:Fully Completely、Day for Night、Man Machine Poem。Downie の言葉遣いや物語性を味わってほしい。
- ライブ感が欲しいなら:Live Between Us。スタジオとは違う熱量が楽しめます。
- 深夜や静かな時間に聴くなら:Day for Night や Man Machine Poem が向いています。
聴きどころの具体例(トラック単位)
以下はアルバム単位ではなく「この曲を聴いてほしい」という観点でピックアップしたものです。
- New Orleans Is Sinking(Up to Here)— 初期の荒々しさとキャッチーさの好例。
- Wheat Kings(Fully Completely)— 歴史的モチーフを下敷きにしたナラティヴ性の高い曲。
- Grace, Too(Day for Night)— ライブでの盛り上がりを想像させるドラマ性。
- Ahead by a Century(Trouble at the Henhouse)— メロディと情緒のバランスに優れるバンドの代表曲。
- Bobcaygeon(Phantom Power)— 風景描写とメロディの幸福な結合。
まとめ — なぜレコードで聴く価値があるのか
The Tragically Hip は詩性とバンドとしての演奏力が両立している点が魅力で、アナログレコードで聴くと曲の間の呼吸や演奏の温度感がいっそう伝わります。代表作を順に聴くことで、初期の勢いから成熟、そして晩年の深みへと続く物語を体感できます。本稿で挙げたアルバムを軸に、自分だけのお気に入りの一枚を見つけてください。
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参考文献
- The Tragically Hip — Wikipedia
- The Tragically Hip — AllMusic(ディスコグラフィとレビュー)
- The Tragically Hip — Discogs(リリース情報)
- CBC — 記事(Gord Downie とバンドの背景)
- Official The Tragically Hip


