UFOの名盤を徹底解説:シェンカー期の聴きどころとおすすめアルバム案内
UFOとは — 簡単な概要
UFOは1969年にイギリスで結成されたハードロック/ヘヴィロックの代表的バンドです。フィル・モッグ(ボーカル)を中心に、70年代中盤に加入したマイケル・シェンカー(ギター)がバンドのサウンドに決定的な影響を与え、メロディックで切れ味のあるギター・ソロと濃密なリフで多くのロック/メタル系ミュージシャンに影響を与えました。本コラムでは「レコード(盤)として特におすすめできるアルバム」を中心に、各作品の聴きどころや背景を深堀りして紹介します。
推薦の基準
以下で取り上げる盤は、次の観点を基準に選んでいます。
- バンドの代表作・音楽的到達点であること
- マイケル・シェンカー期(1973〜1978頃)の音楽的な魅力が色濃く出ていること
- ライブ含め、その後のハードロック/NWOBHM世代に与えた影響が明確であること
Phenomenon(1974) — 転換点となった名盤
Phenomenon はUFOの初期作からハードロック方向へ舵を切った重要作で、後にバンドのサウンドを形作る要素が確立された一枚です。ここでマイケル・シェンカーが参加し、ギターが楽曲の中心に据えられるようになりました。
- 聴きどころ:シェンカーの端正かつエモーショナルなソロ、フィル・モッグの抑揚あるボーカル。代表曲「Doctor Doctor」「Rock Bottom」など、バンドの“顔”となる曲が生まれた点。
- 音楽的特徴:ブルージーなルーツを残しつつも、よりコンパクトでヘヴィなリフと、ギター中心のアレンジが際立つ。
- おすすめな聴き方:バンドの「転換期」を理解したいリスナーに最適。以降の作品と並べて聴くと変化がよく分かる。
Force It(1975) — クラシック期の深化
Phenomenon の延長線上にある作品で、バンド・アンサンブルと楽曲の幅がさらに広がったアルバムです。メロディとハードさのバランスが整い、よりキャッチーな楽曲も増えました。
- 聴きどころ:ギターとリズム隊の絡み、キャッチーなコーラス。曲毎のダイナミクスが増している点。
- 音楽的特徴:より洗練されたプロダクションと、バンドとしての統一感が向上している。
- おすすめな聴き方:70年代ハードロックの“王道”を味わいたい人に向く。
Lights Out(1977) — 代表作かつ到達点
多くのファンや批評家がバンドの最高傑作の一つに挙げるのが『Lights Out』です。楽曲の完成度、演奏、プロダクションが噛み合い、UFOが商業的・批評的にも大きく飛躍した作品です。
- 聴きどころ:名曲揃いのアルバム構成。メロディアスでありつつハードなリフの力強さ、シェンカーのギターが曲の表情を決定づける。
- 音楽的特徴:厚みのあるサウンド設計とドラマチックな曲構成。バンドのキャッチーさとテクニカルさが両立している。
- おすすめな聴き方:UFO入門盤として最適。バンドの代表曲をまとまって聴きたい人に。
Obsession(1978) — 名曲群と重厚感の継続
『Obsession』は前作の勢いを引き継ぎつつ、よりダークで重厚な要素が増した作品です。制作/録音面でもプロフェッショナルな仕事が感じられ、バンドの“熟成”を実感できます。
- 聴きどころ:リフィーで厚みのある楽曲群と印象的なメロディ。アルバム全体の統一感が高い。
- 音楽的特徴:重量感あるアレンジと、サウンドの奥行き。バンドとしての表現幅が広がっている。
- おすすめな聴き方:より濃密で重めのUFO像を堪能したいリスナーに。
Strangers in the Night(1979) — 伝説的ライブ盤
『Strangers in the Night』はUFOを代表するライブ盤で、多くのファンが“ロックの名盤”として挙げる作品です。スタジオ盤とは別次元のテンションと即興性、演奏のピークが捉えられています。
- 聴きどころ:スタジオ曲の生々しい演奏、ギターとリズム隊の掛け合い、長尺曲の展開力。ライブ独特の熱量が詰まっている。
- 音楽的特徴:ライブならではのダイナミズムと臨場感。スタジオ版とは異なるアレンジや即興的なソロも魅力。
- おすすめな聴き方:UFOの演奏力やライブ・エネルギーを直に味わいたいときの必聴盤。
後期おすすめ:Walk on Water(1995) / High Stakes & Dangerous Men(1992)
90年代以降の復活作も、UFOの別の側面を示しています。特に『Walk on Water』は復帰作として評価されることが多く、フィル・モッグやオリジナル・メンバーの力量が健在であることを示しました。
- 聴きどころ:成熟したアンサンブルとメロディの深み。若い頃とは異なるが、枯れた魅力がある。
- 音楽的特徴:70sテイストを残しつつも現代的なプロダクションを取り入れた作風。
- おすすめな聴き方:クラシック期のファンが“大人のUFO”を楽しむのに向いている。
各アルバムの聴きどころ(演奏面・作曲面の深掘り)
UFOの魅力は単にリフが強いことだけではなく、メロディーとギター・フレーズの“歌う”感覚にあります。具体的には次の点に注目です。
- マイケル・シェンカーの「歌うソロ」:速弾き一辺倒ではなく、フレーズの選び方でメロディを補強するプレイが多くの曲で機能しています。
- フィル・モッグのボーカル表現:シャープな発音と抑揚で、楽曲のドラマを伝える力が強い。
- リズム隊の堅実さ:ピート・ウェイ(ベース)やアンディ・パーカー(ドラム)など、しっかりした土台があるからギターが伸びやかに弾ける。
- 楽曲の構成力:単純なリフ中心ではなく、ブリッジやパートの切り替えで展開を作る曲作りが目立つ。
どのアルバムから聴くべきか — シチュエーション別ガイド
- 入門者:まずは『Lights Out』または『Strangers in the Night』。代表曲とバンドの魅力が凝縮されています。
- ギター好き:初期〜中期(『Phenomenon』『Force It』『Lights Out』)を。シェンカーのプレイが最も楽しめます。
- ライブ志向:まずは『Strangers in the Night』を。スタジオとは違う熱を味わえます。
- 歴史を追う:初期のサイケ/スペースロック的要素からハードロック化する過程を順に聴くと変化が分かります(初期作→Phenomenon→Lights Out)。
コレクション上の注意(選び方の観点)
制作年順に聴くとバンドの変化が楽しめます。加えて、リマスター盤やボーナストラック収録盤は制作背景や未発表音源を知る手掛かりになりますので、興味があればオリジナル版と併せて聴くのがおすすめです。
まとめ
UFOは70年代ハードロックの重要な存在であり、アルバム毎に明確な個性があります。初心者は『Lights Out』や『Strangers in the Night』から入り、ギター/演奏の奥行きを楽しみたい人は『Phenomenon』や『Force It』へと掘り下げていくのが王道の楽しみ方です。各作品はそれぞれ異なる魅力を持つので、自分の好みに応じて“入口”を選んでみてください。
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参考文献
- UFO (band) — Wikipedia
- UFO — Artist Page (AllMusic)
- UFO Discography — Discogs
- The story of UFO — Louder (Classic Rock)


