Paul Carrack 完全ガイド: Ace・Squeeze・Mike + The Mechanics からソロ作まで聴き方と必聴アルバム
はじめに
Paul Carrack(ポール・キャラック)は、ソウルフルで温かみのある歌声と確かなソングライティングで長年にわたり支持されてきた英国のシンガー/ソングライターです。Ace、Squeeze、Mike + The Mechanics といったバンドでの活躍に加え、ソロ作でも一貫して良質なポップ/ソウル作品を発表してきました。本コラムでは「はじめて彼を掘る人」「コレクションを深めたい人」の双方に向けて、聴きどころや背景を踏まえたおすすめレコード(アルバム/重要シングル)を深掘りして紹介します。
キャリアの大まかな流れ(簡潔に)
- Ace:キャリア初期、代表曲「How Long」で注目を浴びたグループ。
- Squeeze:ゲスト参加/短期加入的な形で名曲「Tempted」などでリード・ボーカルを担当。
- Mike + The Mechanics:1980年代〜90年代にかけてのヒット群で重要なヴォーカリストの一人。
- ソロ:ブルーアイドソウル寄りの質の高い作品を継続的に発表。アレンジや編成を変えた再解釈作も特徴。
おすすめレコード(必聴・核心的作品)
以下はジャンルや時期を跨いで「Carrack の魅力を最短で味わえる」作品群です。各項目で背景、聴きどころ、購入時のポイント(盤そのものの音質・エディションについては一般論)を解説します。
Ace — Five-A-Side(収録:How Long)
なによりまず聴くべきはAce時代の代表曲「How Long」が収められた作品。ポール・キャラック自身による作曲/歌唱で、メロディの美しさと“肩の力の抜けた”ソウルフルな歌い回しが強く印象に残ります。ポップでありながらR&Bの血が通っているため、キャラックの声質を知るうえで理想的な入門曲です。
聴きどころ:緩やかなビートの中で際立つキャラックの中低域の歌声、シンプルで効果的なキーボード/Hammond系サウンド。
Squeeze — East Side Story(収録:Tempted)
Squeeze のアルバムにゲスト参加したトラック「Tempted」は、バンドのポップ・センスにキャラックのソウルフルな歌が合わさって独特の色合いを生んだ名曲です。ロック/ニューウェイブ的な土台に“黒っぽい”ヴォーカルが乗ることで曲全体の温度感が変わります。Squeeze の中でも異彩を放つ1曲として、必ずチェックしたいトラック。
聴きどころ:コーラスワークとの対比、キャラックの語るようなフレージング。
Mike + The Mechanics — 代表的なアルバム群(初期〜中期)
Mike + The Mechanics の作品群では、ポール・キャラックが歌う曲がバンドのサウンドに深みを与えています。ロックの枠組みを保ちつつ、ソウル/ポップ的な歌唱が曲の情感を増幅。シングル・ヒットだけでなく、アルバム全体を通して聴くことで彼の歌唱表現の幅がよくわかります。
聴きどころ:メロディ重視の曲構造に対する丁寧な表現。バンドサウンドとヴォーカルの融合具合を堪能してください。
Paul Carrack(ソロ) — Suburban Voodoo(初期ソロ作)
ソロとしての初期作は、シンプルながらソウル/ポップの核がしっかりしており、キャラックのソングライティングが光ります。プロダクションは過度に飾らず、歌とメロディ、マイナーなコード進行の使い方などで大人のポップスを実感できる一枚です。
聴きどころ:作曲センス、メロウなバラードから軽快なナンバーまでのバランス。
Paul Carrack — A Different Hat(再解釈/編曲が魅力の一枚)
このアルバムはオーケストラやストリングスを導入して既存曲を再解釈した作品で、編曲の妙とキャラックの歌い回しが新しい側面を見せてくれます。曲自体はよく知っているものでも、アレンジ次第でここまで印象が変わるのかと驚かされるはずです。
聴きどころ:ヴォーカルと大編成アレンジの対話。歌の間合いや細かいニュアンスが際立ちます。
Paul Carrack — 近年作(例:Soul / Blue 系のアルバム群)
近年のアルバムでは、よりソウル/ブルース寄りのアプローチや、ジャジーな編曲を取り入れた作品が多く、長年のキャリアで磨かれた“歌い手”としての深みを感じさせます。キャリアを通しての集大成的な側面を聴き取りたい場合は、最新作や近年作を追うのがおすすめです。
聴きどころ:歳月を経た声の表情、抑制された感情表現、アレンジの洗練。
深掘り:各作品の“聴きどころ”テクニカル解説(ボーカル/楽器面)
ボーカルの特徴:中低域に芯があり、語りかけるようなフレージングが得意。大見得を切るタイプではなく、フレーズの微妙な強弱と語尾の処理で感情を伝える歌い手です。バラードでもアップテンポでも説得力があります。
アレンジ面:ピアノ/オルガン系キーボードと控えめなブラス、ストリングスを効果的に使うことが多く、“英国的ポップ感”とアメリカン・ソウルの要素が混ざった音作りが魅力です。
作曲傾向:シンプルなコード進行の中で印象的なメロディラインを作るのが得意。歌詞は感情の機微を丁寧に描くタイプで、普遍的なテーマ(愛、後悔、希望)を扱うことが多いです。
コレクションするときの視点(何を基準に選ぶか)
- 代表曲でキャリアを把握する:まずは「How Long」「Tempted」「The Living Years」などの代表曲を押さえると、その延長線上で好みの時期やプロダクションが見えてきます。
- ソロ作で歌の幅を聴く:彼の“素”の歌声を楽しみたいならソロアルバム。アレンジの実験的な作品(オーケストラ編成など)も多く、違った顔が楽しめます。
- バンド作でロック寄りの一面を:Mike + The Mechanics 周辺のアルバム群は、よりロック/ポップ志向で、キャラックの歌がバンドコンテクストにどう溶け込むかを聴けます。
まとめ:Paul Carrack を軸にした“聴き方”の提案
短く言えば、まずはAce の「How Long」で歌声に親しみ、Squeeze の「Tempted」で意外性を味わい、Mike + The Mechanics のヒット群とソロ作で表現の幅を確かめる――この流れが自然です。ソウル/ポップ両面のバランスが良く、プレイリストを作るときにも曲間の違和感が少ないのが彼の強み。レコードで集める場合も、単発のシングルではなくアルバム単位で聴くと彼の持ち味がよく伝わります。
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