マッコイ・タイナー完全ガイド:モーダル・ジャズの巨人と名盤の聴きどころを徹底解説
イントロダクション — マッコイ・タイナーという巨人
McCoy Tyner(マッコイ・タイナー)は、ジョン・コルトレーンの四重奏団での活躍を経て、モーダル・ジャズとピアノの可能性を大きく広げたピアニストです。その雄大で力強い和声、オープンなモード感、左手によるペダル的な伴奏と右手の鋭いラインの対比は、彼固有のサウンドを作り上げました。本稿では、タイナーの代表的なレコードを中心に、各作品の聴きどころ、当時の背景、そして聴き手に伝えたい注目ポイントを深掘りしていきます。
おすすめアルバム・ガイド
The Real McCoy(1967)
概要:Blue Note期を代表する名盤。タイナーがリーダーとして表現力を一段と研ぎ澄ませたアルバムで、オリジナル曲を中心に彼の作曲家としての力量も示します。
聴きどころ:大胆なコードワークとメロディの掛け合い、ダイナミクスの幅。ピアノの力強さと抒情のバランスが秀逸で、モーダルな展開とブルース的な感覚が同居しています。初心者にも入りやすく、タイナーの演奏性を一枚で把握できる作品です。
Sahara(1972)
概要:1970年代初頭のミレストーン期を代表する大作。アフリカや中東の音色を取り入れた、スケールの大きな一枚です。
聴きどころ:民族楽器やエキゾチックなリズムを活かした編曲、広がりのあるサウンドスケープ。タイナーのピアノがより「叙事詩的」に鳴り、作曲・アレンジ面での野心が強く現れています。アルバムの中心となる長尺の曲を通して、テーマの反復と変化を楽しんでください。
Echoes of a Friend(ソロ作品、1972)
概要:ジョン・コルトレーンへの追悼の意を込めたソロ・ピアノ・アルバム。伴奏が一切ないソロ録音で、タイナーの内面が直に伝わってきます。
聴きどころ:ソロならではの空間表現と時間感覚。余白を生かしたフレージング、和声の深い探求が聴き手の感情を引き込みます。コルトレーン・レパートリーや彼への想いがにじむ演奏は、タイナーの深度を実感するために必聴です。
Extensions(1970)
概要:実験的・前衛的要素とタイナーのブルース/モード感が融合した作品。編成やアンサンブルの工夫がなされた、モダン・ジャズの枠を押し広げる一枚です。
聴きどころ:和声的な拡張(タイトル通りの“extensions”)と、自由度の高いソロ回し。リズムとハーモニーの扱いに工夫が見られ、耳に残るモチーフがしばしば大胆に反復・変容します。
Today and Tomorrow(1963–64)
概要:初期Blue Note期の重要作で、トリオ編成の親密な演奏と、より編成の大きなセッションが入り混じる構成が特徴です。タイナーがリーダーとしての方向性を模索していた時期の記録として貴重です。
聴きどころ:若きタイナーのエネルギーと、リズム隊との密なインタープレイ。短い時間の中でのアイディアの豊富さ、リリカルな瞬間と力感の対比に注目してください。
McCoy Tyner Plays Ellington(1964)
概要:デューク・エリントンの曲をタイナー流に解釈したアルバム。伝統的なジャズのレパートリーを、独自のハーモニーとリズム感覚で塗り替えています。
聴きどころ:エリントンの名曲が、タイナーの手によって新たな色合いを得る過程。オリジナルへの敬意を保ちつつ、ピアノの音響的な厚みや和声の再解釈が味わえます。スタンダードの聴き方が変わる一枚です。
どこから聴き始めるか:入門と深掘りのすすめ
入門:まずは「The Real McCoy」。楽曲の魅力、タイナーらしいタッチと和声処理がバランスよく詰まっており、彼の世界観を掴みやすいです。
次の一歩:70年代の「Sahara」で作曲性と編曲のスケール感を味わい、ソロ作「Echoes of a Friend」で内省的な面を確認する、という流れが自然です。
深掘り:Blue Note期(初期のリーダー作)と、Milestone期(70年代の大作群)を行き来すると、演奏スタイルと作曲アプローチの変化がよくわかります。
解説者からの聴きどころ・ポイント
和声を「色」として聴く:タイナーの和声は厚く、オープンな5度や拡張和音を積極的に使います。コード進行だけでなく「音の色の変化」を味わってください。
左手の“核”に注目:重心を支える左手のパターンが演奏全体の大きな形を作ることが多く、そこから右手が自由に伸びる構造を見つけられます。
リズムの解像度:タイナーはリズムを多層的に扱います。ドラムやベースとの密な対話、または敢えて空間を残す瞬間に耳を澄ませてください。
音源の選び方(版・編集についての簡単な留意点)
リリース時期やレーベルによってマスタリングやトラック順が異なることがあります。初期Blue NoteやMilestone期はリマスター盤が出ていることが多いので、音の鮮度やダイナミクスを重視するなら信頼できるリマスターやオフィシャルの再発盤を検討すると良いでしょう。
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参考文献
- McCoy Tyner — Wikipedia
- The Real McCoy (McCoy Tyner album) — Wikipedia
- Sahara (McCoy Tyner album) — Wikipedia
- Echoes of a Friend — Wikipedia
- Extensions (McCoy Tyner album) — Wikipedia
- Today and Tomorrow (McCoy Tyner album) — Wikipedia
- McCoy Tyner Plays Ellington — Wikipedia
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