Psychic TV ヴァイナル完全ガイド:初期からクラブ期までの聴きどころと購入戦略
Psychic TV 入門 — なぜヴァイナルで聴く価値があるのか
Psychic TV(サイキック・ティーヴィー)は、Genesis P‑Orridge を中心に1981年に結成された実験的ポストパンク/インダストリアル〜電子音楽プロジェクトです。膨大かつ断続的にメンバーや音楽性を変えながら活動してきたため、サウンドの幅が非常に広いのが特徴です。初期の儀礼的な実験音楽、80年代のポップ寄りの楽曲、そして後期のアシッド・ハウス/テクノ路線まで、レコード単位で明確に世界観が切り替わることが多く、ヴァイナルでアルバムごとの空気を体験するのに向いています。
おすすめレコード(フェーズ別に詳解)
以下は「代表的で入手価値が高く」「その時期の音楽的特徴をよく表している」レコードを中心にセレクトしました。リリース年や細かい流通形態は版によって差があるため、購入時はディスコグラフィの確認をおすすめします。
Force the Hand of Chance(初期:実験/ポップ化の橋渡し)
この作品はPsychic TVの初期方向性をよく表した一枚。アコースティックな曲、コラージュ的な音響実験、ポップ的なメロディが混在しており、Genesisの儀礼主義的アプローチとポップ感覚が同居します。ヴァイナルでは、アルバム全体のダイナミクスやアナログならではの空気感が際立ち、曲間のノイズや間が重要な“作品体験”になります。初期のゲストや編成の違いを味わう意味でもオリジナル盤(または信頼できる早期リイシュー)を探す価値があります。
Dreams Less Sweet(初期の実験性を深めた作)
より儀礼的で実験的な色合いを強めた作品。ヴォーカルの扱い、朗読的パート、環境音のコラージュといった要素が多く、ポップ性よりも「儀式/劇場性」が前面に出ます。アルバム単位でのストーリーテリングを重視するリスナーには特におすすめ。ヴァイナルで聴くと楽器の定位や空間表現が深く、ライブのような臨場感が得られます。
Godstar(シングル/コンセプト周辺)
Brian Jones(ローリング・ストーンズのメンバー)を題材にした楽曲/関連シングル群。ポップ寄りの構成でキャッチーな面があり、初期の実験性と商業的アプローチの狭間を示す興味深い例です。12インチシングルなどはコレクターズアイテムとしても人気があります。シングル単位での曲の魅力を確認したい場合に探すと良いでしょう。
Jack the Tab – Acid Test(アシッド/クラブ期の黎明)
Psychic TVがハウス/アシッド・ハウスの文脈に深く関わった時期の代表作的なコンパイル/企画作品。クラブ向けのループやリズム中心のトラックが多く、従来の儀礼的音響から一転してダンスフロア指向の音像が描かれます。この路線は後のテクノ/アシッド・シーンをフォローするうえで重要で、アナログのベース感や低域の抜け具合が楽しめるためヴァイナルでの再生が効果的です。
Towards Thee Infinite Beat(クラブ/ダンス路線の深化)
アシッド/テクノ寄りのプロダクションへ踏み込んだアルバム群の代表的作品。4つ打ちビートやループ、サンプル処理を多用しており、クラブやリスニングの両面で完成度が高い作品です。曲ごとのリミックス感やエディット感が強いため、12インチや特殊カットの盤を合わせて聴くと楽しさが増します。
A Pagan Day ほかアコースティック/フォーク寄りの希少作
Psychic TVのカタログには、静的でアコースティック寄りの“意外な”音像を持つ作品も存在します。こうした作品はヴォーカルの質感やギターの微細なニュアンスが重要になるため、良好なヴァイナルで聴くと別の魅力を発見できます。流通が限られた初期プレスやカセット由来のリリースも多いため、コレクターズマーケットでの探索が楽しめます。
編集盤/レアトラック集(変遷全体を追うために)
Psychic TVはシングル、限定盤、コンピレーションが非常に多いので、編集盤やベスト的なコンピも入門には便利です。単一のアルバムで全容を掴めないプロジェクトなので、時期ごとの代表曲を集めた編集盤で変遷を追うのをおすすめします。
選び方と買うときに見るべきポイント(プレイ/保存の話は除外)
「どの時期が好きか」を明確にする:実験的な儀礼音響が良いか、ポップ寄りの曲が良いか、アシッド/クラブ系が良いかで狙うレコードは変わります。各アルバムは時期ごとの“世界観のカプセル”です。
オリジナル盤かリイシューか:オリジナルは市場で高価になっているケースが多い反面、正規リイシューは音質改善や充実したライナーノーツが付くこともあります。盤面やインナーの状態、ジャケットの印刷差異(初回特典やステッカー・インサートの有無)を確認しましょう。
バージョン違いに注目:シングルの12インチ・リミックスやコンピ収録バージョンなどが異なる場合があるので、聴きたいバージョンがどれか事前に確認するとよいです。
ゲスト/メンバー表記を見る:Psychic TVは参加メンバーが流動的なので、誰が参加しているかで音の色が大きく変わることがあります。気になるミュージシャンがいる盤を狙うのも手です。
入手難易度と価格感:初期の限定盤やオリジナル12インチは相場が高め。手頃に始めたい場合は信頼できるリイシューや編集盤、中古店の良品を探すとコストが抑えられます。
聴き方の提案(アルバムごとの楽しみ方)
通して一気に聴く:初期のアルバム(Force the Hand of ChanceやDreams Less Sweetなど)はアルバム全体が一つの“儀式”として機能するので、通しで聴くのが最も体験的です。
時期を分けてプレイリスト化:儀礼/ポップ/クラブの3フェーズに分けて聴き比べると、同一人物(Genesis)の表現の幅がはっきり分かります。
シングルや12インチでリミックス差を楽しむ:クラブ寄りの時期はリミックス違いで全く別の曲体験になるので、12インチを中心に揃えて比べるのも面白いです。
コレクター向けの実践的アドバイス(購入戦略)
ディスコグラフィとマーケットを併用:購入前にDiscogsなどで該当タイトルの版違い(マトリクス、レーベル表記、インサートの有無)を確認して、販売ページの写真と照合する習慣をつけると安心です。
リイシュー情報のウォッチ:近年は再評価を受けてリイシューが出ることがあるため、欲しいタイトルが高額のときは再発情報を待つのも戦略です。
部分購入で幅を取る:すべてオリジナルを揃えるのは難しいため、核心となるアルバムはオリジナルや高品質盤、残りはリイシューやコンピで補うとコストと満足度のバランスが良くなります。
まとめ:何を買うべきか
初めてPsychic TVに触れるなら、まず「Force the Hand of Chance」と「Dreams Less Sweet」で初期の世界観を把握し、その後「Jack the Tab」や「Towards Thee Infinite Beat」などのクラブ寄り作品で方向性の変化を追うのがわかりやすいルートです。シングルや編集盤は断片的な魅力を集めるのに最適で、ヴァイナルでの聴取はアルバムごとの空気感やダイナミクスをより濃密に体験させてくれます。
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