アウレリアーノ・ペルティーレの声と録音を深掘り:代表盤の聴き方と聴きどころ完全ガイド
Aureliano Pertile — おすすめレコード深掘りコラム
アウレリアーノ・ペルティーレ(Aureliano Pertile)は20世紀前半に活躍したイタリアのテノールで、ドラマティックな表現力と温かみのある声質で知られます。本コラムでは、Pertile を初めて聴くリスナーから既にファンでより深く理解したい方までを想定し、代表的な録音(レコード/CD再発盤)をピックアップしてその魅力を解説します。音楽的特徴、聴きどころ、各リイシューで注目すべき点を中心にお届けします。
Pertile の声と芸術性 — まず押さえるべき特徴
- 声のタイプ:リリコ・ドラマティコ(いわゆる“スプント”系)に分類されることが多く、力強さと柔らかさの両立が魅力です。高音の輝きだけでなく、中低域の厚み、語りかけるような表現が特徴。
- 表現の鍵:フレージングの自然さ、発語(イタリア語の明瞭さ)とレガート、感情の直截性。過度に技巧を誇示するよりも、ドラマの核心に迫る歌唱を重視します。
- 時代と録音:Pertile の主要録音は、電気録音技術以降のものが中心。古い録音特有の音響条件はありますが、現在のリマスターで十分に歌の魅力が伝わるものが多いです。
おすすめレコード(リイシュー)と聴きどころ
以下は実際に入手しやすく、Pertile の個性をよく伝える代表的な再発盤(コンピレーション/全集形式含む)です。入手可否は流通状況に依存しますが、CD/配信で見つけやすいタイトルを中心に挙げます。
- 全集/まとまった選集(Complete/Anthology)
・なかでも「Complete Recordings」や「Anthology」と銘打ったリイシューは、時期を追って声の変化や役柄幅を把握するのに最適です。初期の若々しい歌唱から、成熟したドラマティックな期までを比較できます。
・聴きどころ:同一アリアの複数録音(年代違い)が収録されていることが多く、発声の安定感、テンポ感、デクレッシェンド/クレッシェンドの使い方などを対比して楽しめます。
- レパートリー別アンソロジー(イタリア・オペラ集)
・「イタリアン・テノール名演集」的なコンピレーションに Pertile の代表的アリアが収められていることがあります。これらは入門的に聴くには便利です。
・聴きどころ:「Tosca」「Aida」「Il trovatore」など、ヴェルディ/プッチーニ系の代表アリアでの迫力と歌詞表現を確認してください。語り口の違いがよく分かります。
- 歴史的名唱選(The Record of Singing 系/歴史シリーズ)
・各時代の名手を並べるシリーズに Pertile のトラックが収められていることがあります。時代比較で彼の位置づけがよく分かります。
・聴きどころ:同時代の他テノール(たとえば Caruso など、世代差はありますが)との歌唱美学の違いを聴き比べることで、Pertile の独自性が明瞭になります。
- リマスター盤(Naxos Historical / Preiser / Marston 等の復刻)
・歴史的録音を最新の技術で整音・復刻した盤。ノイズ低減やイコライズで歌の輪郭がクリアになる一方、原音の雰囲気も残されているものを選ぶと良いです。
・聴きどころ:声のディテール(フォルテでの芯の太さ、ピアノでの繊細さ)や、バックのオーケストラとのバランスが改善されており、歌手の音楽性をより直接的に感じられます。
代表曲(聴いてほしいアリア/場面)と聴き方のポイント
Pertile の魅力を短時間で味わいたい場合、以下のような代表的な場面やアリアを探してみてください(彼のレパートリーとして広く親しまれている役・曲を中心に記載します)。各曲に対して、注目して聴くべきポイントも併記します。
- 「E lucevan le stelle」(プッチーニ:トスカ)
聴きどころ:慟哭的なクライマックスに向かう呼吸と、終始における語尾の語り口。Pertile の情感のこもった表現がよく現れる定番。
- 「Celeste Aida」(ヴェルディ:アイーダ)や「Di quella pira」などヴェルディの場面
聴きどころ:ヴェルディ特有の大きな歌い回しでの声の充実度。高音での安定性と大アンサンブルとのバランス感覚を確認してください。
- ヴェリズモ系のテノールアリア(例:『マノン・レスコー』や『アンドレア・シェニエ』など)
聴きどころ:より現実的・人間的な感情表出を求められるレパートリーでの説得力。台詞的なフレーズ処理や鋭いアクセントに注目。
聴き比べで深まる理解
Pertile の録音を聴く際は、次のような比較を行うと理解が深まります。
- 同一アリアの異年録音を比較し、声の“経年変化”や解釈の変化を追う。
- 同時代の他テノールと聴き比べ、イタリア唱法の多様性(美声志向 vs. ドラマ重視)を把握する。
- リマスター前後の盤で聴き比べ、復刻処理が表現に与える影響を考える。
音楽史・舞台史上の位置づけ
Pertile は20世紀前半のイタリア・オペラの舞台で重要な存在でした。力強いテノール像は当時の大作や新作に適合し、イタリア劇場の求めるドラマ性を体現した歌手の一人として評価されています。録音を通じて、その時代の表現様式や歌唱美学を学ぶことができます。
購入・入手のヒント
- 「Complete」や「Anthology」と銘打たれたCDは入門用に便利。多くは流通在庫や中古市場に見つかります。
- リマスター盤は音質改善が期待できますが、編集(プログラム順やトラックの切り方)が異なることがあるため、解説書(ブックレット)を確認すると良いです。
- 配信サービスでも歴史的録音が配信されていることが増えています。試聴でまずチェックするのがおすすめです。
まとめ
Aureliano Pertile は、単なる声の美しさだけでなく、ドラマを伝える力に長けたテノールです。全集やアンソロジーを通じて年代別・役柄別に聴き比べることで、その声の変遷や表現の奥行きを堪能できます。リマスター盤を選べば、史料的価値だけでなく純粋な音楽的感動も十分に味わえるはずです。まずは代表的なアリアを押さえ、次に全集で比較する流れをおすすめします。
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参考文献
- Aureliano Pertile — English Wikipedia
- アウレリアーノ・ペルティーレ — 日本語ウィキペディア
- Preiser Records(Lebendige Vergangenheit シリーズ等)
- Discogs 検索結果: Aureliano Pertile


