モスクワ室内管弦楽団(MCO)の名盤ガイド:バーシャイ編曲と20世紀ロシア音楽の聴きどころ
はじめに — Moscow Chamber Orchestra(モスクワ室内管弦楽団)とは
Moscow Chamber Orchestra(モスクワ室内管弦楽団、以下MCO)は1955年にルドルフ・バーシャイ(Rudolf Barshai)によって創設された室内オーケストラで、ソビエト時代に独自の位置を築き上げました。小編成ながら緻密で透明感のあるアンサンブル、ロシア音楽に対する深い理解とレパートリーの幅広さが特徴です。LP時代から多くの名演を残しており、クラシック好きのレコード棚に欠かせない存在です。
MCOの音楽的特徴と聴きどころ
- 室内オーケストラならではの鮮明さ:弦の輪郭が明瞭で、テンポ感やアンサンブルの呼吸が聴き取りやすい。
- ロシア20世紀作品へのアプローチ:ショスタコーヴィチやプロコフィエフなど、内省的かつ鋭い表現を得意とする録音が多い。
- 古典・バロック音楽への適応力:編成を生かした軽やかなモーツァルトやヴィヴァルディの演奏も魅力的。
- バーシャイの解釈:創設者であるバーシャイは編曲家としても知られ、オリジナルから編曲ものまでMCOの音色に即した解釈を残しています。
おすすめレコード(名盤ガイド)
以下はMCOの代表的・入門的な録音をピックアップしたものです。初めて聴く方、コレクター向けにそれぞれの聴きどころと盤選びの指針も添えます。
1. ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番(バーシャイ編曲「室内交響曲」 Op.110a) — ルドルフ・バーシャイ指揮
- おすすめ理由:原曲(弦楽四重奏)を室内オーケストラに編曲したバーシャイ自身の演奏は、四重奏の親密さとオーケストラの色彩感を同時に聴かせる名演。ドラマ性と緊張感が際立ち、MCOの持ち味が最もよく出る録音の一つです。
- 盤選びの目安:オリジナルのMelodiya盤は歴史的価値がありますが、音質重視なら信頼できるリマスター盤(EMIや主要リイシュー)を探すと良いでしょう。
2. モーツァルト:セレナード/ディヴェルティメント集 — ルドルフ・バーシャイ指揮
- おすすめ理由:MCOの軽やかで透明な弦楽アンサンブルは、モーツァルトの室内風味あるセレナード類に非常に相性が良いです。装飾やバランスに過不足がなく、古典様式の爽やかさが楽しめます。
- 盤選びの目安:Melodiyaのオリジナル録音の他、欧米のリイシューで音場改善されたものが聴きやすいです。
3. ヴィヴァルディ:〈四季〉など協奏曲集 — MCO(バーシャイ期録音)
- おすすめ理由:編成の小ささを活かした機敏なリズム感と、ソ連流の温かみのある弦の音色が特徴。古楽器ではないものの、よりモダンな室内管アプローチのヴィヴァルディとして興味深い比較材料になります。
- 盤選びの目安:演奏解釈は録音年代で差が出ます。バロック演奏の歴史的変遷を聴き比べたいコレクターに向きます。
4. ロシア現代作品・20世紀ロシア管弦楽曲集(プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ小品など)
- おすすめ理由:MCOは20世紀ロシア作品の繊細な色彩表現が得意です。大フルオーケストラの録音とは一線を画す「室内的」な切り口で名曲を再提示します。
- 盤選びの目安:作曲家別のセレクション盤やコンピレーション盤に良演が多数含まれていることがあるので、トラックリストをよく確認して選ぶと良いでしょう。
5. バーシャイ&MCOによる編曲/室内オーケストラ編成のユニーク録音集
- おすすめ理由:バーシャイ自身の編曲作品(弦楽四重奏の編曲など)や、稀少な編成で録音された小品集はMCOならではの個性を強く感じられるものが多いです。既存曲の新たな表情を発見できます。
- 盤選びの目安:編集盤やコンピレーションで散逸していることが多いので、ディスコグラフィ情報を確認して網羅的に集めるのがおすすめです。
どの盤を狙うか — 初心者からコレクターまでの指針
- まずは代表的な「ショスタコーヴィチ:室内交響曲(Op.110a)」と「モーツァルトのセレナード/ディヴェルティメント」あたりを聴いて、MCOの音色が好みに合うか確認するのが良い出発点です。
- オリジナルのMelodiya LPは歴史的価値が高くコレクター向け。一方で現代のリマスター(CDや配信)は音質面で聴きやすいことが多いので用途に合わせて選んでください。
- 録音年代による演奏スタイルの差(古典に対してはテンポやフレージングの古典主義化、20世紀曲では情感寄りの解釈など)を楽しむのもMCO録音の醍醐味です。
注目の盤を探すための情報源
- ディスコグラフィサイト(Discogsなど)でリリース情報とプレス情報を確認する。
- ウィキペディアやAllMusicなどで録音年・指揮者・編成の詳細をチェックする。
- リイシューのレビュー(音質やマスタリングの傾向)を参考に、オリジナル盤かリマスター盤かを決める。
まとめ
Moscow Chamber Orchestraは、ルドルフ・バーシャイの指導下で築かれた独特の響きと解釈が魅力の室内オーケストラです。ショスタコーヴィチのバーシャイ編曲作品はもちろん、モーツァルトやヴィヴァルディなどの古典・バロック作品の録音にも聴きどころが多く、LPコレクターにも現代のリスナーにも楽しめる音源が揃っています。まずは代表盤を1〜2枚手に入れて、MCOの音世界に触れてみてください。
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参考文献
- Moscow Chamber Orchestra — Wikipedia
- Rudolf Barshai — Wikipedia
- String Quartet No. 8 (Shostakovich) — Wikipedia
- Discogs検索:Moscow Chamber Orchestra
- AllMusic検索:Moscow Chamber Orchestra


