Clan of Xymox完全ガイド:80年代ゴシック/ダークウェーブの名盤と聴き方
イントロダクション:Clan of Xymoxとは
Clan of Xymox(クラン・オブ・ザイモックス)は、1980年代初頭にオランダで結成されたゴシック/ダークウェーブ系のバンドです。憂いを帯びたメロディ、厚いシンセサウンド、リヴァーブを効かせたボーカル、そしてポップ性と暗さを併せ持つ楽曲で、ゴス系・ダークウェーブの重要な存在として現在まで活動を続けています。中心人物はフロントマンのロニー・ムーリングス(Ronny Moorings)で、初期にはアンカ・ウォルバート(Anka Wolbert)やピーター・ノーテン(Pieter Nooten)といったメンバーも在籍し、彼らの作る陰影の深いサウンドは80年代の独特の美学を体現しています。
結成と初期の歩み
バンドは1980年代初頭に結成され、当初は「Xymox」の名でも活動しました。1980年代半ばに4ADと関わることで、ダークでドリーミーなサウンド・イメージが確立され、同レーベルに共鳴する他アーティスト(Cocteau Twins、Dead Can Danceなど)と並び称されることになります。初期作はシンセとギター、メランコリックなメロディを軸にした“暗く美しい”世界観が強く、クラブ・シーンやポストパンク/ニューウェイヴの文脈でも受け入れられました。
音楽性とサウンドの魅力
陰影のあるメロディと感情表現:ヴォーカルはしばしば寂しさや哀愁を帯び、歌詞とメロディが相まって情緒豊かな世界を作り出します。男性ボーカルと女性ボーカル(初期)による掛け合いがある楽曲も、独特の温度差を生んでいます。
テクスチャ重視のアレンジ:リヴァーブ/ディレイを効かせたギター、厚めのアナログライクなシンセ、深いベースライン、機械的で時にダンサブルなビート。これらが重なり合い、暗闇の中に浮かぶ像のような音風景を描きます。
ポップとダークのバランス:メランコリーな世界観を保ちながらも、キャッチーで耳に残るフックを持つ楽曲が多く、ゴシック専門リスナー以外にも届く普遍性があります。
進化と一貫性:商業的なアプローチを試みた時期もありますが(後述)、基本的な美学は崩れず、一貫して“暗く美しい”音像を追求し続けてきました。
代表曲・名盤(入門ガイド)
以下は「まず聴いてほしい」代表作/代表曲です。時代ごとの変化も感じられるよう、初期から商業的に注目された時期までを中心に選びました。
『Clan of Xymox』 (1985) — 4ADからのデビュー作。暗く豊かなテクスチャーとメランコリーなメロディが凝縮された名盤で、バンドの原型が最もはっきりと表れる一枚です。
『Medusa』 (1986) — 初期の流れを受け継ぎつつ、よりドラマティックな色合いが強まった作品。ダークウェーブの代表作として評価されます。
『Twist of Shadows』 (1989) — 8〜90年代の商業的な到達点。ポップ性を帯びた楽曲も増え、より広いリスナー層に届いたアルバムです。代表曲として知られるシングルが含まれ、バンドの知名度を高めました。
代表曲(楽曲単体でのおすすめ):「A Day」「Imagination」など、シネマティックでフックのあるナンバーは入門に向きます(※代表曲の印象はリリース国・盤によって差があります)。
ライブとパフォーマンスの魅力
ライブでは、アルバム以上に楽曲のダイナミクスや空間表現が際立ちます。シンセやエフェクトを駆使した厚い音像と、ロニーの表現豊かなヴォーカルが合わさり、暗く美しい世界に観客を誘います。照明やステージ演出も重要で、映像やライティングで楽曲のムードを強調することが多いです。また、初期の曲と後期のポップ寄りの楽曲を織り交ぜたセットリストは、コアなファンにも新規リスナーにも楽しめる構成になっています。
影響と受容:なぜ今でも注目され続けるのか
時代を超えた美学:当時のギター/シンセ主体のサウンドは、ポストパンクやニューウエイヴの延長にありつつも、現代のダーク・エレクトロやポストゴスに直結する要素を多く含みます。音色やムードの作り方が、いまのシーンにも響きます。
感情に直接訴える力:悲哀や孤独、美しさといった普遍的テーマをシンプルに、かつ強烈に伝える力があり、リスナーの心象風景に長く残ります。
幅広い聴き手を包む包容力:ゴシック/ダークウェーブのファンはもちろん、アンビエント、ポストパンク、80sシンセポップ好きなど多層のファンベースを持ちます。
聴き方と入門のコツ
ムードで選ぶ:まずは「じっくり浸りたい」「夜に聴きたい」気分でアルバムを選ぶと入りやすいです。初期の作品はより暗め・テクスチャ重視、後期はメロディ寄りで聴きやすい傾向があります。
アルバム通して聴く:Clan of Xymoxの魅力はアルバム全体が作る世界観にあります。曲単位で聴くのも良いですが、アルバムを通して聴くことで音の重なりやムードの変化を楽しめます。
ライブ映像やリマスター盤も併用:近年の再発やリマスター、ライヴ映像は音像が鮮明になっているので、オリジナルのアナログの雰囲気と現代的な聴きやすさの両方を味わえます。
メンバーと制作面のポイント
中心人物のロニー・ムーリングスはバンドの顔であり主なソングライターです。初期にはアンカ・ウォルバート(ベース/コーラス)やピーター・ノーテン(キー)らのコラボレーションがあり、男女のヴォーカルが楽曲に多彩な色合いを与えていました。プロダクション面では、アナログライクなシンセやギターエフェクト、深いリヴァーブ処理がサウンドの大きな特徴で、楽曲ごとに繊細なテクスチャ調整が施されています。
現在の活動状況(概観)
長年にわたりメンバーの入れ替わりはありつつも、バンドは活動を継続しています。過去の代表作を礎に、再発やライブ、ニューアルバムの発表を続けており、時代を超えて新しいリスナーを獲得しています。中心人物であるロニーのリーダーシップのもと、伝統的なサウンドを保ちつつも現代的な表現を試みる姿勢が見られます。
おすすめプレイリスト例(入門〜深堀り)
まずは:代表的なシングル/人気曲を集めたベスト的プレイリスト
深堀り:デビュー〜初期2作を通して聴く(テクスチャとムードを理解)
バランス:『Twist of Shadows』など、ポップ寄りと暗さが融合した作品で聴きやすさを体感
まとめ
Clan of Xymoxは「暗く美しい」という言葉が示す通り、情緒的で耽美な音世界を作り上げてきたバンドです。80年代のゴシック・ダークウェーブ・シーンを代表する存在として、そのサウンドは当時の文脈だけでなく現代にも響きます。初めて聴く人は、上で挙げた代表作からムードとメロディの両方を味わってみてください。アルバム単位で聴けば、より深い世界に入り込めるはずです。
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参考文献
- Clan of Xymox - Wikipedia(日本語)
- Clan of Xymox - Wikipedia(English)
- Official site — Clan of Xymox
- AllMusic — Clan of Xymox
- Discogs — Clan of Xymox


