キャブ・キャロウェイ（Cab Calloway）入門ガイド：ハーレム・ルネサンスのスキャットと必聴レコード完全解説
エバープレイ編集部Cab Callowayとは：簡単な紹介
Cab Calloway（キャブ・キャロウェイ、1907–1994）は、ハーレム・ルネサンス期に頭角を現したシンガー／バンドリーダーで、精力的なショーマンシップとスキャットを特徴とする「Hi De Ho」スタイルで広く知られます。コットン・クラブやブランズウィック／コモドア等のレーベルでの録音を通じて、スウィング〜ビッグバンド・ジャズの人気を牽引しました。独特の語りかけるようなボーカル、観客を巻き込むパフォーマンス、そして時に社会的テーマを含むレパートリーが魅力です。
おすすめレコード（聴くべき代表曲と編集盤のガイド）
以下は「曲単体（オリジナルの78回転シングル）」「テーマ別コンピレーション」「充実したボックスセット」などの観点から整理したおすすめです。購入や視聴の際に目安にしてください。
Minnie the Moocher（オリジナル・シングル／録音：1931）
キャロウェイの代表曲で、"Hi De Ho" フレーズを世に知らしめた一曲。観客参加型のコール＆レスポンス、物語性の高い歌詞、そして印象的なスキャットが聴きどころです。オリジナル・ブランズウィック盤の78回転はコレクターズ・アイテムですが、現代のリマスターCDや配信でも複数良質な音源があります。キャロウェイ入門として必聴。
The Jumpin' Jive（シングル／後年の代表演奏）
スウィング色が強く、ダンサブルで明るい編成が際立つナンバー。バンドの躍動感、管楽器のアンサンブルが魅力です。1940年前後の録音群に含まれることが多く、ダンス・ホール時代のキャロウェイを味わうのに適しています。
Reefer Man などのアーバン・ナンバー（1930年代）
社会風刺や都市生活をテーマにした曲群。歌詞の描写力、リズムの切り返し、バンドのアレンジで当時の都会文化を強く感じさせます。単発のシングルで出ていることが多いので、コンピ盤やセッション集でまとめて聴くのがおすすめです。
映画・ライブ音源：『Stormy Weather』出演など（フィルム録音・ライブ）
映像作品や映画音源に残るパフォーマンスは、キャロウェイの視覚的魅力（仕草や観客煽り）も感じられる重要な資料です。映像での演奏を補完する形で音源を探すと、スタジオ録音とは異なる熱気を楽しめます。
代表的コンピレーション／ボックスセット（スタジオ録音集）
短いシングル群が多いため、まとまった形で聴ける良質な編集盤やボックスセットがコアな聴き方になります。セッションを年代順／レーベル別に復刻した信頼できる編集盤を選ぶと、演奏者の変遷や編曲の変化を追いやすくなります。具体的には「Complete Studio Recordings」「The Complete Brunswick/Commodore sessions」など、〈完全盤〉をうたうボックス（レーベルや選集による差があります）を探すとよいでしょう。
なぜこれらのレコードが重要か：音楽的ポイントの深掘り
ショーマンシップとボーカル表現：キャロウェイはただ歌うだけでなく語るように歌い、観客の反応を音楽に取り込むスタイルを確立しました。これが「エンターテインメントとしてのジャズ」を大衆に根付かせた大きな要因です。
アレンジとバンドの編成：ビッグバンド時代のアンサンブル技術、リズム・セクションの押し出し、管楽器の掛け合いなどが、彼の録音を通じて聴き取れます。曲ごとのアレンジの違いを比較すると演奏スタイルの変遷が見えてきます。
歴史的文脈：1930年代のハーレムやコットン・クラブの文化、アルバム化される以前の78回転シングル文化、さらにその後の映画出演やツアー活動を通じて、アメリカ音楽史におけるキャロウェイの位置がわかります。歌詞や曲題に時代背景が反映されている点も聴きどころです。
若手スターの登場：キャロウェイ楽団は後に有名になった若手ミュージシャンたちの登竜門であったことが多く、彼らの初期プレイを確認できる点でも価値があります（例：ディジー・ガレスピーらが在籍した時期があることは知られています）。
レコード選びの観点（購入前に確認したいポイント）
オリジナル盤か編集盤か：オリジナル78回転の魅力はもちろんありますが、音質や入手性を考えると良質にリマスターされたCD／LP編集盤やボックスセットは初めての聴取に向きます。コレクション目的ならオリジナルを、まず音楽を深く知りたいなら評判の良い編集盤を選びましょう。
選曲と完全性：「代表曲集」的なベスト盤と「時期ごとのセッションを網羅したBOX」では得られる体験が異なります。通史的に聴きたいならセッション集、入門・名曲再生を素早く楽しみたいならベスト盤が便利です。
リマスタリングと解説：リマスターの有無、音源の復刻方針（モノラル原音重視かノイズ除去重視か）、そしてブックレットの解説や年表は音楽理解に大きく寄与します。購入前にレビューや収録曲リストをチェックしてください。
出典・カタログ情報：オリジナルのレーベル（Brunswick、Commodore、RCAなど）、録音年、マトリクス番号やマスタリング情報はコレクターが価値を判断する際に重要です。販売ページやディスコグラフィー（Discogsなど）で詳細を確認しましょう。
ライブ音源・映像の存在：時に映像資料や映画音源は、スタジオ録音とは異なる表現の豊かさを示してくれます。映像でのパフォーマンスを補完する形でコレクションに加えるのがおすすめです。
聴きどころをより深くするための聴き方ガイド
年代順に追う：初期のシングル→コットン・クラブ期→戦時中〜戦後（編成やレパートリーの変化）という順で聴くと、表現の変化がわかりやすいです。
歌詞を読む：当時の俗語や文化的参照が多く含まれるため、歌詞を確認すると楽曲理解が深まります。現代の聞き流しでは掴めないニュアンスが見えてきます。
同時期の他バンドと比較する：エラ・フィッツジェラルドやデューク・エリントン、ルイ・アームストロング等、同時代のアーティストと比較すると、キャロウェイの特徴（ショー性、語りかけるボーカル、編曲志向など）が際立ちます。
購入時の参考：価格帯と入手性（概略）
オリジナルの78回転はコンディション次第で高額になる場合があります。一方、近年はリマスターCDやLP再発、ストリーミングで容易に音源を聴けるため、まずは編集盤で音楽に慣れてからコレクターズ・ピースを狙うのが現実的です。ボックスセットや良質コンピはやや高価ですが、解説や完全性を重視するなら投資に値します。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。
また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
参考文献
- Cab Calloway — Wikipedia
- Cab Calloway — AllMusic（アーティスト・ページ／ディスコグラフィ）
- Cab Calloway — Discogs（詳細ディスコグラフィ）
投稿者プロフィール
