Woody Shawを再評価する:おすすめレコードと聴き方ガイドで紐解くジャズ・トランペットの革新

はじめに — Woody Shaw を今もう一度聴く理由

Woody Shaw(ウッディ・ショウ)は、20世紀後半のジャズ・トランペット奏者の中でも特異な存在です。トランペットという楽器の技術的・和声的な可能性を押し広げ、ポスト・バップからモーダル、フリー要素までを柔軟に取り込んだ演奏と作曲で知られます。本稿では、彼のキャリアを切り取る「おすすめレコード」を深掘りし、それぞれの作品の聴きどころ、位置づけ、初めて聴く人への導き方を中心に解説します。

Woody Shaw を理解するための基本ポイント

  • 和声とスケールの拡張:ショウはトラディショナルなブルース進行やII–V–Iに頼らず、第四音程(フォース)やモード、半音階の微妙な扱いを用いることで独自のソロ・フレージングを作り上げました。

  • コンポジションとアレンジの両面:単なる即興の名手であるだけでなく、数多くのオリジナル曲でリズム・セクションや管編成を巧みに活かしました。

  • 音色とアーティキュレーション:鋭さと温かさを併せ持つトーン、そして長いフレーズを自然に構築する歌心が特徴です。

おすすめレコード(深掘り)

Blackstone Legacy

なぜ聴くべきか:初期リーダー作の一つで、ショウの思想的・政治的な側面と音楽的冒険心が表出した作品。編成やアレンジにおいて従来の枠を超え、管楽器群とリズム群の対話を重視した構成が印象的です。

  • 聴きどころ:オープニングから感じられる緊張感とスケールの大きさ。ショウのソロは技術に裏打ちされた強い主張と、緻密な和声処理が同居します。

  • こんな人に:ポスト・バップの枠組みを超えた表現や、社会的テーマと結びつくジャズ作品に興味があるリスナー。

The Moontrane

なぜ聴くべきか:「Moontrane」はショウの代表的なテーマとされ、彼の音楽的美学がよく表れた作品です。メロディ・モチーフの強さと、色彩感のあるハーモニーが両立しています。

  • 聴きどころ:タイトル曲(Moontrane)は一度耳にすれば印象に残るテーマ。ショウのリリカルかつ鋭いソロが堪能できます。

  • こんな人に:トランペットの「歌う」側面と高度なモーダル即興を同時に楽しみたい人。

Song of Songs

なぜ聴くべきか:より内省的でメロディックな側面を打ち出した一作。バランスの取れた編成と、繊細なダイナミクスが魅力です。

  • 聴きどころ:静と動、アンサンブルとソロの対比に注目するとショウの表現レンジの広さが見えてきます。

  • こんな人に:ウォームで詩情豊かなトランペット・サウンドを求めるリスナー。

Rosewood

なぜ聴くべきか:キャリアのハイライトの一つと評されることが多いアルバムで、ショウの作曲と演奏が完成度高くまとまっています。テクニックとメロディー感覚、アンサンブル感覚が高い次元で融合しています。

  • 聴きどころ:叙情的なバラードからハードなモーダル曲まで、ダイナミックな幅が広い点。ショウのトーンの表情付けが特に冴えます。

  • こんな人に:ショウの「総合力」を味わいたい、彼の代表作を一枚選ぶならまず候補に入れたい人。

Woody III

なぜ聴くべきか:タイトルが示す通り個人的/世代的なテーマを含んだ作品で、ショウの音楽的成熟が感じられるアルバムです。構成的にもよく練られており、各楽器の対話が聴き所です。

  • 聴きどころ:オーケストレーションの工夫や、ソロとアンサンブルの緊張関係。ショウの音楽観がより明確に出ている作品です。

  • こんな人に:作曲家としてのショウ、またアルバム全体を通しての物語性を楽しみたい人。

ライブ盤(補足)

なぜ聴くべきか:ショウはライブでこそ即興の飛躍やアンサンブルとのケミストリーが強く出るタイプの奏者です。ライブ盤はスタジオ録音とは違う緊張感と瞬発力が楽しめます。

  • 聴きどころ:曲の即興展開の自由度、メンバー間の呼吸、延長されたソロで見えるアイディアの展開。

聴き方・楽しみ方の提案

  • 入門者は「The Moontrane」から:代表曲を通してショウのメロディ感覚とソロの美学をつかむのが手っ取り早いです。

  • 深掘り派は「Blackstone Legacy」→「Rosewood」:前者でテーマ性と実験性を、後者で完成度と叙情性を確かめるとショウの幅が見えます。

  • ライブでの爆発力を確認する:スタジオ盤が持つ構成美とライブの即興性を比較すると、演奏者としてのショウの多面性が際立ちます。

まとめ

Woody Shaw は単に「テクニカルに優れたトランペッター」ではなく、和声的・構成的なチャレンジを通してトランペット表現を拡張した先駆者です。ここで挙げたレコード群は、その多面的な魅力(作曲家としての才、即興家としての直感、アンサンブル感覚)を各側面から味わえるものを選びました。初めて手に取る場合は短時間で彼のエッセンスがつかめるアルバムと、アルバムを通してじっくり聴くべき深めの作品を組み合わせるのが良いでしょう。

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参考文献